人望が厚い人ってどんな人?ある経営者が廃業危機に陥って気づいたこと

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「人望(じんぼう)がある人」と聞いて、どのような人を思い浮かべるでしょうか? 皆から慕われて、頼りがいがあり、リーダーシップを発揮する人物でしょうか。

職場や学校、地域のコミュニティなどの集団生活において、人望のあるなしは大きな意味を持ちます。とはいえ、肩書があるから、立場が上だから……という理由だけで人は動かないものです。

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人望が厚いとは?

人望とは人々から信頼され、慕われることを意味する言葉です。皆に好かれて、尊敬を集めるような人物に対して使われ、その人物に対しての周囲からの「信頼や好意の度合い」を表しています。

さらに「人望が厚い」という表現は、広範囲にわたる人々から深い信頼感や尊敬を得ている場合に使われます。

人柄や実績、リーダーシップなどの要素が絡みますが、何かひとつ突出した要素というよりは、普段の言動や人格をふまえた総合的なバランスで判断されることが多いようです。それぞれの要素がバランスよく一体化した結果として「あの人は人望が厚い」と人々からの支持につながるのかもしれません。

政治家や指導者、経営者などは積み上げた実績やキャリアだけではなく、人望の有無が選挙結果や社内での影響力などの、進退に関わることにまでつながる場合があります。

「人気」という言葉と少しニュアンスは似ていますが、人気が比較的、短い期間で移り変わるのに対し、人望は時間をかけて築かれるため、簡単には評価が変わらず崩れにくいものです。

人気は世間や大衆からの評判を指しますが、人望は個人の内面的な資質や人間性への信頼、深い人間関係をベースにした評価であり、職場や学校、家庭などの集団で重要な役割を担う人物に対して使われることが多いようです。

人望に似た意味の言葉

人望に似た言葉は「人気」だけではありません。敬意を意味する「尊敬」や相手を信じて頼る「信頼」、道徳的にすぐれた人間性を示す「人徳」なども似た意味を持っています。

信用と人望の意味を含む「信望(しんぼう)」という言葉もあります。それぞれの言葉によって、言葉の成り立ちや使われるシーンなどの微妙な違いはありますが、いずれも他者から肯定的に評価されるという意味の言葉です。

人望が厚い人の特徴

どのようなことが周囲からの信頼や尊敬につながっているのでしょうか?人望が厚い人の特徴を5つあげてみます。

1. 誠実な人柄

人望が厚い人は誠実で思いやりある人柄であることが多いでしょう。周囲の人々に対して公平で、どのような立場の人に対しても分け隔てなく接するので信用されます。

人の相談を親身に聞き、後輩や部下がミスをした際はまるで自分のことかのように対応してくれるので、下に立つ者は「自分のうしろにはあの人がいる」という安心感のもとで、自信を持って仕事に取り組めます。

相手に真摯に向き合う姿勢は、そこにいるだけで現場の士気を高める効果があります。部下は仕事を「やらされている」のではなく「この人のもとで働きたい」とやりがいを感じ、自ら自発的に動こうとします。

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2. 成長し続けようとする向上心

人望がある人は向上心が高く、自分だけでなく周囲の人と一緒に成長しようとします。スピードに追い付けない人を見つけたら、自分が遅れるとわかっていても手を差し伸べます。

これまでの経験から、長い目で見ればそちらの選択が全体としてプラスの効果をもたらすと知っているからです。目の前の個人的な利害よりも、その先にある大きな成果を見据えているのです。

失敗してもそれを成長の機会ととらえるなど、前向きで挑戦を恐れない姿は信頼や尊敬を集めます。「この人と一緒にいると自分も成長できる」と刺激を受ける人も多く、自然と人が集まってきます。

3.人をまとめるリーダーシップ

他者を導きながらも皆の意見や立場を尊重し、協力して目標を達成する強いリーダーシップを持っています。個人の特性を見極めて適切な役割を与えるなど、チーム全体の力を引き出す能力にも長けています。

立場や権力によって独裁的に人々を従わせるのではなく、その人望によって自然と人がついていきたくなるというまれな存在です。

先述の項目とも重なりますが、揺るがぬ本質や哲学が軸にあるため、周囲の人が「この人のためだったら」と自ら動きたくなるのです。

立場によって無理やり人を従わせていた人間は、それを失うと同時に取り巻きも失いますが、人望が厚い人に限ってそのようなことは起こりません。

4.すぐれたコミュニケーション能力

人望がある人は概してすぐれたコミュニケーション能力を持っています。オープンな対話を重んじ、対立する意見にも耳を傾けることができるため、立場上は相反する関係の相手とも信頼関係を築けます。

会話では、基本は他者の意見を聞き深く理解しようとしますが、時に自分から強いメッセージを発信することもあります。そのメリハリをつけるのがうまいのです。

相手が小さな子供であっても、大人と同じように接するという人もいるでしょう。実際、南アフリカの元大統領でノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラは子供との対話を大切にし、自宅にはよく子供たちが集まり、ともに話し合う機会があったといいます。

5.何事にも対応する柔軟性

変化を恐れない柔軟な考え方も人望がある人の特徴です。過去の成功体験にしがみつくことなく状況に応じて臨機応変な態度を決めることは、経験や実績を積み重ねてきた年配者ほど難しいものです。

不要な思い込みをスッパリと切り捨て、いつまでも新しいことにトライしようとする柔軟な姿勢とみずみずしい感性は周囲の人から一目置かれます。

新しい挑戦はつねに失敗というリスクをともないますが、それをプラスに転換できることも少なくありません。

失敗した際にまず自らのミスを認め、どこに問題があったかを検証してすばやく改善しようとする姿勢――つまり、困難な状況にあってもそれを乗り越えようとする底力が尊敬を集めるのです。

現状に甘んじることなく、成長し続けようとする姿に人々は信頼感と憧憬の念を抱くのかもしれません。

「三方悪し」から抜け出す「三方よし」の考え方

柔らかいくちどけで人気の「くりーむパン」で知られる八天堂の森光孝雅代表は著書で、かつて破産寸前に追い込まれたどん底の経験と、再建に至るまでの道のりをつづっています。

当時の自分の驕りによる無理な拡大で倒産危機に陥ったことで、社内や人に目を向ける大切さを痛感し「お客様を喜ばせようと思ったら、まず社員を喜ばせないとダメだ」という考えに思い至ったといいます。

「『三方よし』という言葉をご存じでしょうか?自分がよくなるだけではなく、社員やお客様、お取引先など、事業にかかわるステークホルダー(利害関係者)全体が満足し、笑顔になることをめざす考え方です。(~中略~)

なぜ、私の事業は「三方悪し」になってしまったのか。今、考えれば原因は明らかです。私自身に『何のために』がんばるのかという事業の目的、経営の拠り所となる“座標軸”が欠けていたからです。考え方の基準と言ってもよいでしょう。

もちろん、その基準が『自分のため』になるかどうかでは、座標軸とは言えません。自分の満足や幸せのために相手を利用しよう、周囲を変えていこう。そんな考え方では誰からも信頼も応援もされず、事業が行き詰まり『三方悪し』となってしまうからです。この“何のため”をよく考えないまま、なんとなく事業を始め、自分の夢を先行させた私は、まさにその典型でした」

出典:森光孝雅『廃業の危機を味わって本気で取り組んだ人を大切にする三方よし経営』

このような考えに至った森光代表は“第二の創業”を経て、人を大切にする「三方よし経営」を理念にかかげ、国内のみならず海外展開するまでに成長しました。「人がついてくるリーダーとは?」のヒントを与えてくれるエピソードです。

人望がない人がやりがちなこと

続いては、人望がない人がやりがちなことを紹介します。人望が厚い人がやりそうもないことを思い浮かべてみると、イメージが湧きやすいかもしれません。

人によって態度を変える

人望がない人は、しばしば自分が優位に立ちたいがために他人を見下したり、無視したりします。本人は気づかれていないつもりかもしれませんが、周りは意外と見ているものです。

近年、ドラマ化もされた深見じゅん氏による漫画『悪女(わる)』では、落ちこぼれの主人公が先輩の助言を受けながら、さまざまな部署での経験を力にステップアップする姿が描かれます。

先輩が“出世の裏技”として最初に教えたのは、会社の清掃スタッフの名前を覚えることでした。後に主人公は重要な場面で彼女たちに助けられることになります――。

現実は漫画のようにはいかないかもしれませんが、人によって態度を変えるような不誠実な姿は一瞬で周囲の評価をなくします。

責任を他人に押し付ける

何か問題が起きたときに自分の責任を認めず、他人に責任転嫁するような人は人望を失います。

そんな姿を目にした人は「盾になってくれない人のもとでは失敗できない」と考え、新しいことやリスクの大きい仕事に挑戦しなくなります。「信頼できない上司と働きたくない」と考えて離れていく人もいるでしょう。

責任や失敗を人に押し付けることで、一時的にはうまくいくかもしれませんが、自分の利益を優先して他人のことを配慮しない振る舞いを続けていては、いつか周囲から人が去り、共感や支持も失ってしまうことでしょう。どんなに優秀な人でもひとりでは仕事を完結できません。大切な仲間を失ってからでは遅いのです。

人望が厚い人になるために

ここまで人望の厚い人は仕事や人に対し「誠実であること」が何よりも大切と説明してきました。最後は人と接する上で意識したい振る舞いや日々の習慣を紹介します。

謙虚であること

立場が上がるほど大切なこと、それは謙虚さです。人は実力や功績をただ誇示するのではなく、自らの弱さや限界を認めてそれでもなお成長しようとする人物に対し、心から応援したい、協力したいと感じるものです。

謙虚な人は現状に満足せず「自分にはまだ学ぶことがある」と考えます。自分の意見を絶対とせず立場の上下関係なく人の意見を尊重しようとする姿勢は、多様性が重要視される時代のリーダーにふさわしいといえます。

聞き上手になる

人は「話を聞いてもらうこと」で気持ちがラクになったり、すっきりしたりするものです。話を聞いてくれた相手に対して一体感や仲間意識が芽生える「バディ効果」と呼ばれる心の働きもあります。

ビジネスであれば上司が部下の話をじっくり聞く場をもうけることで、双方の信頼感を深めることもできるでしょう。聞き手に徹するというのは意外と難しいものですが、それができる人は好感を集めます。

ノートルダム清心学園理事長を務めた渡辺和子さんは、著書『美しい人に』(PHP研究所)の中で「ほんとうに忙しい人と話しているのに、その人が、私以外に用事がないかものように耳を傾けてくださったり、話をしてくださるとき、心にほのぼのとあたたかいものを感じます」と語っています。

出典:「読むだけで人間力が高まる88話」ニューモラル仕事と生き方研究会刊

こうした心のゆとりを失わないことも、また人望の厚い人の条件といえるかもしれません。

感謝の気持ちを表現する

他人がしてくれたことに対して、いつも感謝の気持ちを伝えられているでしょうか?

家族だから、自分より立場が下の人だから「やってもらって当たり前」というような態度は、相手が使った時間やその労力に思いが至っておらず、想像力に欠けています。そのような態度を続けていては、そのうち誰もその人のことを助けたいと思わなくなってしまいます。

他人への礼や感謝を軽んじる人が、尊敬に値しないと受け取られるのは当たり前のことです。感謝は人と人とのつながりを強め、お互いに信頼関係を深めるための基盤です。

小さなことでも感謝の気持ちを表現するなど、どのような人に対しても「ありがとう」と伝える習慣を大切にしたいものです。

まとめ

人望とは物や金銭などの目に見えるものではなく、肩書やキャリアのような実績があるからといって、必ずしも得られるものでもありません。誠実な人柄や人を導く力に対して人々が抱く敬愛や信頼感という心の動きです。


人が人を見る目は一朝一夕で変わるわけではありませんが、コツコツと日々を重ねていくことで「あとから信用がついてくる」ということもあるでしょう。まずは自分の目の前にある人や仕事に対して誠実に向き合うことから始めてはいかがでしょうか。

\ この記事の監修者 /

ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。

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