2023年11月23日
メールに電話、会議に打ち合せ……。1日の大半の時間が「自分以外の誰か」とのコミュニケーションに費やされているという人は少なくありません。人間関係が苦手な人にとっては、毎日の仕事自体がストレスの連続です。苦手が少しでも克服することができたら、日々のストレスは軽くなり、毎日がグッと働きやすく、生活しやすくなるでしょう。
では、どうすれば克服することができるのか。人間関係が苦手な人の特徴を押さえつつ、具体的な克服方法をシチュエーション別に見ていきましょう。
まずは「人間関係が苦手!」という人によくみられる特徴です。
思っていることがうまく伝えられなかったり、誤解されてしまった経験があったり、「ちょっとした雑談」をするのが苦痛という人を含めて、人と話すこと自体が得意ではありません。
他人と打ち解けたり、関係性を深めたりする上では、自分の強みだけでなく、悩みや弱点なども含めて、自分をさらけ出していくことが必要になります。ありのままの自分が相手に受け入れてもらえるのか……。そんな強い不安が自己開示へのブレーキになります。
人の目を気にしすぎて、コミュニケーション全般に積極的になれず、人間関係に対しても苦手意識が強くなりがち。自分に自信を持てない人の特徴でもあります。
もともと気が弱く、人前でハキハキするのが苦手なタイプです。人見知りで、初対面の人と関係をつくることに、人一倍ストレスを感じてしまいます。
あまり親しくない相手には、常に一定の距離を置き、警戒心を緩めようとしません。自分から相手のテリトリーにも踏み込まず、あえて人間関係を深めようともしないのが特徴です。
他人の話に関心を持てず、興味を持って耳を傾けたり、あいづちを打って聞いたりすること自体にストレスを感じがちです。会話が弾まないため、人と話すこと自体に苦手意識を持つ人も少なくありません。
人と関わるということは、多少なりとも相手の時間やペースに合わせる必要があります。そもそも1人の時間が好きな人には、自分の時間やペースが乱されることがストレスです。
人がよすぎて、引き受けられる状態ではないのに、人から頼まれると嫌とはいえません。
関係性が広くなると、頼まれる機会も増えるため、つい人間関係をつくること自体に苦手意識を抱きがちです。
人のためより、自分の利害が優先。人との関係を「損得勘定」で判断しがちな人は、相手の信頼を得にくく、人間関係がうまくつくれません。また、自分と同じように自己中心的な人ばかり近づいてくるため、人づきあい自体がストレスフルになりがちです。
会話の中で、シーンとしてしまう「沈黙」の時間が怖いため、人と話す機会自体を避けようとするタイプです。実際は1~2秒であっても、恐怖心があるため、それが何倍にも長く感じてしまうものです。
では、どうすれば人間関係の苦手意識を克服していけるのでしょうか。友人、職場、恋人、親族の4つのシチュエーション別に見ていきましょう。
本来、気を使わずにつきあえるはずの友人に対し、気を使いすぎると、心が疲れてしまい、友人関係自体がおっくになります。友人だからといって、LINEやメールの返信やリアクションを含めて、相手のペースに合わせすぎず、自分のペースを守ることを意識しましょう。
またお互いを理解できていないと、探り合いのようになり、余計な気を使い過ぎてしまいます。少しずつ自分の悩み、弱みを打ち明けるなど自己開示をすると、相手も自分のことを
話すようになり、お互いが理解できるようになります。どのようなこだわりがあって、何をされたら嫌なのか。「自分らしい」ペースをわかってもらえる関係づくりが、友人関係の苦手意識を克服するカギです。
職場では、好き嫌いにかかわらず、自分以外の誰かと情報を共有し、協働し合わないと成果が出せません。仲良くならずとも、誰とでも一定の温度感でコミュニケーションがとれる状態をめざしましょう。
そのために有効なのが「挨拶」です。特に出勤時の挨拶や、退勤時の「お先に失礼します」の挨拶など、話しかけても不自然ではないタイミングを使って、相手の名前を呼んだり、一瞬目を合わせておくだけでも、印象がよくなり、日ごろのコミュニケーションがスムーズになります。協調性が重んじられる日本では、仕事での人間関係をうまく築けること自体が評価にもつながります。どうしても苦手意識がぬぐえない場合は、まずは「これも仕事の評価のため」と割り切って、アクションしてみましょう。
恋人とはいえ、いきなりプライベートに踏み込んだり、行動を監視したりするなどの「干渉」をし過ぎないことが第一です。干渉されることを「愛情」と感じる人もあれば、重荷に感じる人もいるもの。自分の価値観を押し付け過ぎず、恋人とはいえ、お互いの自由な時間も尊重し合う姿勢が、関係を長続きするポイントです。
「あえて知らない余白の部分」を残しておくことで、相手への関心が長続きする効果も期待できます。
親族や家族はつい「わかってくれずはず」という甘えが先に立ち、寄りかかり過ぎてしまいがちです。家族だからといって、食べ物の好みは違うように、考え方や価値観も同じになるわけではないという前提のもと、「違い」を尊重しながら、いい関係を保つことが大切です。また、「家族だから当たり前」ではなく、してもらったことには言葉や行動で感謝を示しておくと信頼関係が強まり、それが頼り頼られる安心の人間関係づくりにつながります。
人間は環境の影響を受けやすく、仕事でも人生でも、自分の思い通りにいかない事態に直面すると感情が乱れたり、ストレスを抱えたりしがちです。そのようなマイナス感情の時に、ふだんは言わない余計な一言や態度をみせてしまい、それまでの関係が崩れてしまうこともあるもの。
「築城10年落城1日」という言葉がありますが、人間関係も同じです。そうならないためにも、ストレスが溜まり、イライラした時の対処法をみてみましょう。
人は睡眠が不足すると、自律神経が乱れ、ちょっとしたことでイライラしたり、体調を崩したりしやすくなります。また脳の働きも低下し、相手を受け容れる「心のゆとり」も失われがち。「ちょっと疲れてきたな」と思ったら、早めに布団に入り、睡眠をしっかりとって、自分を整えましょう。
ちょっとしたジョギングやウォーキングをすることによって、精神を安定させ、脳を活性化するセロトニンが分泌されます。近所を散歩したり、緑の多い公園などで体を動かして過ごしたりするのもよいでしょう。頑張りすぎるとかえって疲れてしまうので、「ああ、スッキリした」と思えるくらいの軽さを目標にするとよいようです。
温かい湯船につかると体が温まると同時に体全体に水圧がかかります。それによって、血液の流れがよくなり疲労回復につながります。また、湯船につかるとフワッと浮力がかかるので、重力から解放されて体の緊張がほぐれる効果も期待できます。
ストレスのサインに気が付いても、自分1人でなんとかしなければと深刻になり過ぎないことも大切です。追い込まれる前に信頼できる人と話すことは、大切なストレス対処法です。信頼できる人がただ「うん、うん」と頷いてくれた、共感してくれたというだけで、ずいぶんと気持ちが楽になるものです。
私たちは日々、さまざまな人間関係の中で生きています。
雑談が得意でなくても、1人で過ごす時間が好きでも、関わる人にどのような気持ちを向けるかという心の姿勢だけは自分自身でコントロールしやすいのではないでしょうか。
直接言葉を交わしたりコミュニケーションをとったりすることがなくても、その人を思うという温かい心をしっかりと向けることができたらすてきですね。
とはいえ、人生で出会うすべての人と、心の底から分かり合える人間関係を築くことは困難です。だからこそ、苦手な人間関係で自分を追い込まみすぎず、よい加減で、自分らしく人との関係を味わう気持ちのゆとりを持ちたいものです。
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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