人のせいにしてしまう人の心理状態とは?特徴や対処法について解説

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ロボットや聖人君子でもない限り、間違いやミスを犯さない人間は存在しません。「失敗は成功のもと」と言われるように、失敗した原因を追究して改善を重ねることがその人の成長につながります。しかしながら、自分に非があってもそれを認めようとせず、自分の行動に責任を取ろうとしない人がいます。今回は人のせいにしがちな人の特徴や対処法についてご紹介します。

* この記事の要点 *
・人のせいにしてしまうのは自信のなさや承認が足りてないことの裏返し。
・失敗した責任を自分自身で引き受けないと、それ以上の成長は望めない。
・感情的に「誰が悪いか」を探すのではなく「何が起きたか」の事実に目を向けよう。
目次▽▲▽

人のせいにする人の特徴

人のせいにする人は一貫して他責思考で考えます。物事がうまくいかなかったり、問題が発生したりした際にその原因を「自分」ではなく「他人」に見出そうとします。

責任をとることを極端に嫌う

何かしら想定外のトラブルが起こった際、人のせいにする人がまず口にするのが「私はやってない」「自分は悪くない」という言い訳です。目の前のトラブルに対処することより、自分が責任をとらなくてはならない状況をなんとか避けようと、すぐ他人や周りの環境のせいにします。小さな子供であればそんな姿も可愛らしいかもしれませんが、自分で自分の責任をとれない大人が周囲から信用されることはありません。

被害者意識が強い

責任を負うのを嫌がるだけではなく「自分は悪くないのに巻き込まれた」という顔で被害者のようなポーズをとろうとする人もいます。そうすることで自分に向くかもしれない批判を避けようとしているのです。
意図的に振る舞っている場合もありますが、物事を客観的に見る力が弱く自己中心的になりがちなので、自分自身がその思い込みを信じ込んでしまっているケースも。自覚がないだけに後者の方がよりやっかいかもしれません。

承認欲求が強く、プライドが高い

失敗やトラブルに遭遇したとき、すぐに「自分が悪かった」と自分のミスを認めることができないのは、これまで築き上げた経験に対する自負やプライドゆえ。「他人に弱みを見せたくない」「周囲からできる人だと思われたい」という承認欲求の裏返しとも言えるでしょう。
自分自身が“できない自分”を受け入れられないため、責任の所在を他人に放り投げることで心を守っているとも言えますが、失敗を人のせいにしてまで守っているのが偽りの自尊心だとしたら皮肉なものです。

他人の行動を厳しくジャッジする

職場で部下の小さな非を見つけると、相手が謝罪するまでネチネチと責めるタイプの上司がいます。問題の原因を追究する作業自体は大切ですが、その上司がかつて似たようなレベルのミスをしていて、そのミスを認めず他人に責任を押し付けていたとしたらどうでしょう。矛盾ある対応を「誰にも気づかれていない」と思っているのは自分だけで、きっと部下からは「あの人は自分には甘いのに他人には厳しい」と噂され、上からも「信用できない人間に仕事をまかせるのはやめておこう」と思われてるはずです。

自己反省や内省の習慣がない

人のせいにする人の辞書に「反省」という言葉はありません。問題の原因はいつも自分以外にあると考えているからです。
失敗した際に必要以上に落ち込んでクヨクヨと思い悩んでも仕方ありませんが、みずからの行動を振り返って「ああすればよかった」「あの判断は間違っていた」と正しく後悔する時間を持つことで、同じ過ちを繰り返さずに済みます。過去の自分を否定するようでつらい作業ですが、その痛みに耐えた人だけが成長することができます。自己反省や内省の習慣を持たない人は失敗から学ぶことはできません。

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人のせいにする人の心理とは?

人のせいにする人は、いったいどのような心理が働いているのでしょうか。

自分を守りたいという防御本能

人は誰でもむやみに傷つきたくはありませんが、人のせいにする人はそんな気持ちが人一倍強いようです。いつも「あの人の指示が悪かったから」「周りが協力してくれなかったから」と問題の原因を人に押し付けて、周囲への不満ばかりを口にしているのは、自分の非を認めると“完璧でいたい自分”のイメージが損なわれ、自尊心が傷つくようで耐えられないから。目の前の不都合な現実から目をそらして自分を守ろうとしているのです。

自尊心の低さを隠そうとしている

表面的には強気に振る舞っていますが、内心は自分に自信がない人も少なくありません。気持ちが不安定で劣等感が強く、いつ周囲に本当の自分(ダメな自分)を見破られてしまうかとビクビクしています。このようなタイプの人にとっては「自分が悪い」と考えることは「自分はダメな人間である」という思いを強固にするものですから、絶対に認めるわけにはいかないのです。

完璧主義による自己否定の表れ

何事も「100点でなければ意味がない」と考える完璧主義な人は、自分自身に対して少しのミスも許せません。テストの点は状況を伝える数字でしかなく、そのときの自分が「やれるだけやった」という達成感が何よりも大切。現状を知って次につなげればいいのですが、どうしてもそうは思えないようです。誰でもない自分自身がありのままの自分を受け入れられないのですから、なかなかつらい状況です。

幼少期からの環境的な影響

完璧主義な性質は幼少期の保護者との関わりも大きく影響しています。子供の頃に失敗して厳しく叱られたり「なんでこんなこともできないの!」と責められたりした経験があると、失敗に対して「絶対に避けるべきもの」という印象を持ちます。昔の学校などで責任を取ることを罰と刷り込まれた影響もあるかもしれません。
さらに親や教師が子供の思いをまったく汲もうとせず、一方的に叱られる経験を重ねると「自分の非を認めると叱られる」「正直に謝るのは損じゃないか」と考えるようになり、人のせいにする癖がつきます。

他人をコントロールしたい願望

他人に責任を押し付けることで、その相手をコントロールしようとする心理が働いている可能性もあります。「あなたが悪い」「あなたのせいだ」と言って相手の罪悪感を刺激すると、相手のことを自分の都合がいいように動かしやすくなります。あからさまな攻撃ではなく「きっと私の説明が悪かったんでしょうね」「お忙しいから間に合わなくても仕方ないですね」など、丁寧な言葉で遠回しに相手を攻撃する人もいます。真面目で責任感の強い相手にほどこれらの言葉が効くことを知っているのかもしれません。

人のせいにする人の対処法

職場や家庭など自分の近くに人のせいにするタイプの人がいる場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

過度に巻き込まれない距離をとる

人のせいにばかりする人のそばにいると、ときに理不尽に責任を押し付けられてしまうかもしれません。相手が親族や同僚の場合は完全に遠ざけるというわけにもいきませんが、心理的にも物理的にもできるだけ適度な距離を保っておくのが得策です。

事実ベースで冷静に対応する

罪を憎んで人を憎まずではありませんが、本来であれば問題が生じた際は「誰が悪いか」を決めるよりも「何が起きたか」を見定めることが優先です。その際は第三者的な視点で対応することを忘れないようにしたいもの。感情に訴えるのではなく事実を重ねて責任の所在を明らかにすることで、身に覚えのないミスを押し付けられるなどの面倒ごとに巻き込まれるのを避けられます。

必要以上に謝らない

自分に非がないにも関わらず毎回押し切られるままに謝っていると、相手を「この人なら責任を押し付けてもいい」と勘違いさせてしまいます。アメリカなど一部の文化圏では、謝ることが「過失の証拠」と解釈されて訴訟リスクにつながるケースも少なくありません。曖昧な態度は相手の自分勝手を許していることにもなりますから、慎重に言葉や態度を選ぶことも大切です。

信頼できる第三者を介す

人のせいにする人に捕まって状況がこじれそうなときは、信頼できる第三者に間に入ってもらいましょう。職場であれば上司や同僚、家庭の問題であればカウンセラーや行政の窓口に相談してみるのはいかがでしょうか。状況を客観的に見られる立場の人に間に入ってもらうと主観のぶつかり合いや泥沼化を防ぐことができます。

境界線を明確に伝える

関係のないところで自分のせいにされるのを避けるためには、自分の立場や境界線をはっきりさせておくのも有効です。あらかじめ「私の業務の範囲はここからここまで」と請け負う仕事の範囲を明確にして、「最終決定は上長の役目」と責任の所在を確認しておくことで、後のトラブルを防ぐことができて自衛にもつながります。

人のせいにし続けるとどうなる?

自分で責任をとらず人のせいにし続けると、どのような影響があるのでしょうか。

成長の機会を失う

2002年からNHK教育テレビ(Eテレ)で放送されている番組「ピタゴラスイッチ」では身近な材料を使ってビー玉を転がす「ピタゴラ装置」という人気コーナーがあります。一つひとつはシンプルな動きながら、それが連鎖すると複雑で面白い仕組みに発展するさまは、子供の想像力や論理的思考力を育てるだけでなく大人も魅了されます。
実際にテレビで放送されるのは成功したテイクだけですが、その裏では50回以上の失敗があります(ときどき失敗テイクをまとめた特集が放送されています)。それだけ数多くの失敗が繰り返されているということは、同じ回数の修正や微調整が行われているということ。成功に至るまでの手間や準備にかけた時間を想像すると途方に暮れますが、その結果があの「ピタゴラ装置」だと思うと感慨深いものがありませんか?
失敗やミスは誰にとっても「できれば避けたいもの」ではありますが、同時に「貴重な成長の機会」です。失敗したという事実やその責任から目を背け続けていると、いつか自分にとって本当に大切なものまでも見逃してしまうかもしれません。

信頼を失いやすくなる

問題を人のせいにする人は、上からも下からも信用されません。表面上はうまく立ち回っているように見えても、一緒に仕事をすればいつかどこかで本質がばれてしまうもの。何かトラブルがあったら「自分のせいにされてしまうかも」と思われて誰も深く付き合いたがらず、気づけば周囲から人がいなくなってしまう可能性も。信頼は築くまでには長い時間がかかりますが、失うのは一瞬。失ってから気付いても遅いのです。

心の健康にも悪影響が出る

「自分のミスを人のせいにした」という事実をもっとも近くで見ているのは自分自身ですから、必ず心のどこかに罪悪感のようなものが残ります。最初は小さなしこりかもしれませんが、時間が経つにつれてそれを抱えていること自体をストレスと感じるようになり、最終的には心がむしばまれてしまう可能性もあります。その場では難を逃れたつもりでも気持ちがラクになるのは一時的なこと。根本的には解決していませんから、長い目で見ると自分の首を絞めているのと同じことです。

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人のせいにする人を正すためには?

人のせいにする人がそこにいるせいで周囲にまで良くない影響が及んでいる場合、その人物に対しどのような働きかけができるでしょうか。

感情を責めずに事実を伝える

ここまでお伝えしてきた通り、なんでも人のせいにする人は責任を持つことに強い恐怖があります。そのせいで素直に謝ることができず言い訳ばかりしてしまうのです。まるでキャンキャン吠える小型犬のように自分自身を守ろうとする相手を責めるのは逆効果。こちらが感情的になればなるほど、相手も後に引けなくなってしまいます。そんなときは、できるだけそこにある「事実」だけを伝えるようにしてください。感情よりも論理で向き合うことで相手の反省をうながします。

なぜその発言が問題なのかを説明する

「それは違うんじゃないか」「本当はあなたのせい?」と否定や疑いから入るのではなく、「その言い方だと責任転嫁に聞こえてしまうよ」とあくまで冷静に説明することで、相手も「自分が悪かったのかもしれない」と自覚しやすい空気をつくります。

具体的な改善策を一緒に考える

人のせいにする人に「それはやめた方がいい」と言うだけでは、相手は抽象的な指示のように感じて何をすればいいのかわかりません。対話を通じて相手の変化をうながすためには、いくつかの具体的な提案を付け加えてみましょう。事前に責任を持つ範囲を確認したり「次からはどう対応するのがいいか」を一緒に考えたりするのもいいですね。

成長を期待していることを伝える

すでに起こってしまったことを非難するだけでなく、やり方に口を出すのは「期待しているから」と伝えると相手の態度も徐々に変化していきます。諦めずに「あなたならもっとできる」「責任をとる力がある人だと思っている」など前向きな言葉をかけ続けることで、向上心や責任が刺激される人もいるでしょう。
なんらかのきっかけでやる気や自信を失い、自暴自棄になっているタイプの人に対しては、その人が抱えた課題やストッパーとなっていることに気付いて丁寧に対応することも大切です。

本人のタイミングを尊重する

表面的には納得したように見えても、本人の腹に落ちなければ意味がありません。そのためにはある程度の時間がかかります。特に子供が相手の場合は必要以上に焦らず急かさず、その子のタイミングを尊重したいものです。こちらの思いを伝えた上でただ「待つこと」も大切な働きかけです。
大人の場合も周囲ができることは限られますから、最後は本人の意思の問題です。ひとりの人間がこれまで身に付けてきたやり方や考え方を無理に変えることはできません。できたとしても必ず反動があるということを覚えておきましょう。

まとめ

今回の記事では人のせいにする人の特徴や、そのような人が周囲にいる場合の対応方法について考えました。何度もお伝えしている通り、人は失敗を重ねて成長していきます。大切なのはその失敗に対してどう向き合うかです。
実際に仕事などでミスを犯したとき、少しパニック状態になって「誰か変わってくれないかな」と思うのは当然です。ですが、そこでグッと我慢して「自分の責任を自分で持つ」という経験を積み重ねていくことでしか見られない景色もあるのではないでしょうか。

ニューモラル出版

\ この記事の監修者 /

ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。

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