本当の優しさとは?見せかけの優しさとの違いも解説

ECブログ

「いつも自分ばかり損な役回りをしている気がする」

「周りに気をつかいすぎて本当の自分が分からない」

「いい人を演じるのに疲れた」

ふとした時にそのような気持ちになって、優しい自分でいるのに疲れることはありませんか。
幼いころから家庭や学校で、友達に優しくしよう、思いやりの心で接しようと教えられて育った人は少なくないはずです。だからこそ職場や家庭、友人関係でも「優しい人」として振る舞うことが当たり前になっている人がいます。
優しさは人間関係を円滑にするすばらしい特性にもかかわらず、優しさ疲れしてしまうのはなぜなのでしょうか。そこには本当の優しさと見せかけの優しさの誤解があるのかもしれません。

* この記事の要点 *
・優しさ疲れしている人は、優しさと甘さを誤解している。
・本当の優しさも見せかけの優しさも表面上の行動は同じ。違いは根底にある気持ち。
・してあげたいことではなく、相手が必要としていることは何かを考えてみる。
目次▽▲▽

優しいの意味とは

「優しい」に似た印象を持つ言葉に親切や温かさなどがありますが、単に相手に親切にすることが優しいというわけではありません。
よかれと思ってした親切が相手にはありがた迷惑だったり、そっとしてほしいのに必要以上に声をかけられてストレスに感じていたりするかもしれません。そこに欠けているのは、相手の言葉にならない気持ちを察し、必要な手助けをする深い配慮です。優しさとは、表面的な対応ではなく、相手の立場や気持ちに寄り添った言動といってよいでしょう。

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『まんがでわかる とことん優しい人はうまくいく-いい人で損しない3つの原則』より

優しさの表現には言葉と行動がある

優しさは、目に見える行動だけでなく、日常の何気ない言葉にも表れます。日本人は空気を読むことに長けているからこそ、ああだこうだと言葉にしなくてもよいと思いがちですが、たった一言の優しい言葉に救われることがあるのも事実です。

言葉の表現

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、オンラインによるコミュニケーションの機会が急増しました。
便利になった一方、必要なことだけを話すオンラインのコミュニケーションからそぎ落とされたもの、それが「雑談」です。目的地までの移動の間や開始時間より早く会議室に着いたときなど、自然と始まっていた、あの雑談です。目的のない無駄話と思われていた雑談は、実は相手との心理的な距離を縮めたり、気軽に話せる雰囲気づくりに役立ったりしていました。雑談が消えたことでコミュニケーションにストレスを抱えた人は思いのほか多かったようです。
雑談とまではいかなくても、オンラインでのコミュニケーションが増えた今の時代だからこそ、「一言多め」を心がけるのは大切なことでしょう。「大丈夫?」「無理しないでね」「お疲れさま」のような、たった一言、相手を気づかう言葉も優しさです。そうした言葉は「あなたのことを大切に思っています」「あなたの存在を認識しています」という愛あるメッセージとして相手に伝わります。

行動の表現

時間や労力を割いて行動で示す優しさは、言葉以上に相手に伝わります。
残業続きでヘトヘトの同僚に「体を壊さないようにね」と声をかけてさっさと帰るよりも、「あの資料まとめようか?」「どれから手伝う?」と具体的に手を差し伸べるほうが何倍も喜ばれるかもしれません。
ただし、気をつけたいのは、優しさへの見返りを求めないことです。「あのとき助けてあげたのに私のときは助けてくれなかった」「お礼の一言もなかった」などと見返りを求めるのは、本当の優しさではなくあなたのエゴです。母親が赤ちゃんのおむつを替えてあげたからといって、おむつ交換代の請求書を渡すことなんてないように、あげたらあげっぱなし。それが優しさです。

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本当の優しさとは

優しい人でいることに疲れてしまうのはなぜなのでしょうか。
「それは優しさと甘さとを誤解しているから」と指摘するのは、人間学のエキスパートで、『とことん優しい人はうまくいく――いい人で損しない3つの原則』監修者の廣池慶一さん。
あなたは、優しさと甘さの違いを説明できるでしょうか。

ごく普通に優しい人がうまくいかない理由、それは優しさを間違って理解しているからです。私たちが優しさと考えているものの正体、それは「甘さ」です。
優しさとは相手に思いやりを形にして示すことである、という理解は正しいのですが、問題は言葉や行動の形さえそれっぽくできていれば良いと思い込んでいる人がとても多いという点です。


甘さとは、自分自身の立場や都合、相手の機嫌を優先させる行動を指します。相手の気分を害さないことを優先したり、短いスパンで見れば相手に喜ばれても、長いスパンで見ると相手の成長を妨げてしまったりする行動も甘さです。自分が好きか嫌いか、快か不快かを軸に物事を選択するのも、自分への甘さからです。

出典:廣池慶一編『とことん優しい人はうまくいく――いい人で損しない3つの原則』

本当の優しさは、相手の成長や幸せのために、必要なときには厳しい選択をしたり、手を出さずに見守る強さも併せ持っています。
ここからは、本当の優しさについて詳しく見ていきましょう。

相手を尊重する気持ち

凶悪な犯罪者でもない限り、まずは相手を一人の人間として尊重し、意見や感情を尊重することが優しさの基本です。多様性が重視される現代において、さまざまな価値観やバックグラウンドを持つ人々と接する機会が増えています。自分と全く同じ価値観を持つ人などこの世に存在しません。相手への尊重を欠いて生まれるのは対立です。違いを否定せず、「自分とは違うけれど、そういう考え方もあるんだな」と、まずは受け止め、尊重する気持ちが大切です。

自分の意見を持つ

相手に合わせるだけではなく、自分の考えをしっかり持って接することも優しさです。
場の空気を読んでしまう代表的なものといえば「会議」でしょう。場の空気を壊したくないために衝突を避け、自分の意見を胸にしまえば、その場は一つにまとまったように見えるかもしれません。しかし、本当にチームの成長や成功を願っているのなら、たとえメンバーと意見が違っても、議論がストップするとしても、建設的な意見は伝えるのが優しさです。

相手のために厳しい言葉をかける勇気

必要ならば相手に嫌われる勇気を持つことも優しさには必要です。ときには相手の未来を思って、耳が痛いことを伝えなければいけない場面もあるでしょう。
例えば、同僚がオフィシャルな場に、TPOにふさわしいとは言い切れない服装で来たとします。目をつぶってやり過ごすか、あえて「この場にふさわしくないのでは?」と伝えるか。
見て見ぬふりをするのは簡単です。しかし、多少気まずい思いをするかもしれませんが、後で本人が恥をかいたり、評価を下げられたりするのを防ぐため、あえて言葉をかけることが、長い目で見れば相手のためになります。

見返りを求めない

相手が喜ぶ良いことをしたら、感謝の一言が返ってきて当然と思い込んでいませんか。与えたら返ってくる対等な関係を示す「ギブアンドテイク」を望んでいると、優しさは行き詰まります。

良い行動をするときに「自分さえ良ければ」「自分にとって損か得か」という自己中心の心が働けば、その行動は自己満足にすぎません。独り善がりで、相手にとっては押しつけやありがた迷惑になりかねません。
私たちは目に見える形や行動に気をとられがちですが、大事なのはその根底にある「どのような心を働かせるか」なのです。

(前掲書)

親が子供へ注ぐ愛情には目論見がないように、本当の優しさとは「ギブアンドギブ」、つまり与えっぱなしで見返りを求めません。
とはいえ、私たちは知らず知らずのうちに「テイク」を受け取っている点も見逃せません。人に親切にすると心が温まるような、なんとなく幸せな気持ちになることがあります。これは、親切にすると幸せホルモンとも呼ばれている「オキシトシン」という物質が脳内で分泌されるためだということが脳科学の研究でわかっています。
たとえお礼の一言がなくても、実は、親切をした時点ですでに「幸せな気持ち」という見返り(テイク)をもらっているのです。

相手の自立を助ける

相手の自立を手助けし、成長を支えるのも優しさです。
昨今、子育てで問題視されているのが、カーリング育児(先回り育児)と呼ばれる、過干渉な育児です。親が子供にとっての障害を先回りして片付けたり、子供へ過度に手出し・口出ししたりすることで、子供の自立を妨げることが指摘されています。
補助輪を外した自転車で何度も練習をして、転んでは起き上がりながら一人で乗れるように手助けするのが本当の優しさです。親が永遠に後ろから自転車を支えてあげることは出来ないのですから。

相手の立場に立って考える

自分の価値観で判断せず、相手の背景や状況を理解しようとする努力も優しさです。人は皆、異なる経験や価値観を持っています。円柱を上から見れば円ですが、真横からは長方形に見えるように、自分が「正しい」と思うことでも、相手にとってはそうではないかもしれません。

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本当の優しさと見せかけの優しさの違い

本当の優しさと、やればやるほど疲れる見せかけの優しさ、その違いはどこにあるのでしょうか。2つを分けるポイントを確認しておきましょう。

相手のためか、自分のためか

同じ仕事を頼まれて引き受けたAさんとBさんがいるとします。
「同僚が困っているから力になりたい」と思って引き受けたAさん。
「ここで断って、協力的じゃない人だと思われたら損だ」と考えて引き受けたBさん。
仕事を引き受けるという2人の行動は表面上は同じですが、根底にある動機は全く異なります。
最近は「SDGsウォッシュ」という言葉を耳にすることもあります。持続可能な開発目標SDGsに取り組んでいるように見せかけて、実態が伴っていない行動を指したものです。心が伴わない優しいフリは何かの拍子にボロが出ますし、何より優しいフリを演じるのはとても疲れることです。

短期的な満足か、長期的な幸せか

見せかけの優しさは、その場しのぎや耳障りの良い言葉で終わることが多いです。
例えば子供がスーパーで駄々をこねたとき、どのような対応をすることが多いでしょうか。根負けして欲しがるものを買いその場を収めるのか、子供の気持ちを受け止めつつ、今日は買わないと決めたなら頑として買わないと貫くのか。
床に寝転んで大声で泣き叫ぶわが子を前にすると周りの目が気になり、親としては一刻も早くその場を収めたいと考えるでしょう。しかし、よくないと思いながら要求を受け入れてしまえば、一度味を占めた子供は、駄々をこねれば自分の要求は通るのだと理解します。
間違った方法で、許容できないことを主張し続ける人間から、人が離れていくのは簡単に想像できます。長い目で見てそのような大人になるのか、生きていく中では我慢することも必要だと理解し、正しい形で自分の思いを伝えられる大人になるのか。どちらがよりよい人生を生きられるかは明らかでしょう。

自己犠牲か、健全な自己尊重か

優しさが難しいのは、「相手のため」を突き詰めると自己犠牲になるからです。良いことをしているつもりでも、その行動のエネルギーが自己犠牲では心身を擦り減らし、長続きしません。
他人のために働くことが前提の介護や看護の仕事、またはボランティアに関わる人のバーンアウト(燃え尽き症候群)は以前から問題視されています。「自分は無理をして体が壊れても仕方ない。とにかく目の前の人を助けたい」と自己犠牲の心が強すぎるために心身が疲れ切り、意欲が湧かなくってしまうのです。相手の無理難題にもどうにか応えようと努力したり、ヘトヘトになっても自分の心身をいたわることを二の次にしてしまったり。
そこまで犠牲的でないにせよ、「部下のフォローをしていたら残業が続き、体調を崩した」「子供のことを優先していたら自分のことが後回しになり、正直疲れてしまった」という経験はないでしょうか。
自己犠牲による優しさが短期間であればいいのですが、何か月、何年と続けば心身に不調をきたします。心が擦り切れるまで人に優しくして、気づいたら自分がダメになっていた。これでは元も子もありません。自分をないがしろにした優しさは長く続かないのです。

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『まんがでわかる とことん優しい人はうまくいく-いい人で損しない3つの原則』より

本当に相手を思うにはどういうことを意識すべき?

相手にとって必要なことを考える視点が、本当の優しさには欠かせません。それは、まるで、一流のコンシェルジュが顧客の漠然とした要望から、本当に求めているものを引き出し、想像を超える喜びや感動を提供するようなものです。
ここでは、本当に相手を思うために意識すべきポイントを考えます。

相手の幸せを第一に考える

万人に喜ばれる優しさの型はない、と考えておいたほうがよいでしょう。自分がしてあげたいことと、相手が望んでいる幸せは必ずしも一致しないのですから。
目の前の相手は、今、何に困っていて何を望んでいるのでしょうか。優しさを形にする前に、立ち止まり考えてみましょう。

相手を変えようとしない

本当に相手のことを思うのであれば、「こうすべき」と自分の価値観を押し付けるのではなく、相手自身の選択を尊重することです。自分の物差しで相手を測り、自分の理想に近づけようとするのは、優しさではありません。
たとえそれが、相手が正しくないことや失敗をしたときであってもです。人は、他人の間違いや失敗を見ると、すぐに責めたり注意したりして相手を正そうとしがちです。しかし、間違いを正論で非難されると、傷ついたり反抗心が芽生えたりして、かえって反省の芽を摘んでしまうことが少なくありません。
相手の考えや行動をこちらの思い通りに変えるのは至難の業です。コントロールできるのは自分自身だけ。本当に相手を思うなら、あなたにできることは本人が自分で気づき、変わろうとするのをサポートすることです。

自分も大切にする

普段は優しくできるのに、心にも時間にも余裕がなくて優しくできないときがありますよね。そんなときは自分自身を労い、心と体を守ることを忘れてはいけません。自分に優しくできてこそ、相手に優しくできるものです。
一流のホテルコンシェルジュには、最高のサービスを提供するために、まず自分自身を満たし、「快」の状態でいることを大切にする人が多いそうです。それによってはじめて外の情報に目が向き、質の高い情報をインプットできるからだといいます。
健康で心が満たされていること。それが長く優しい人でいるための前提条件です。

まとめ

優しさとは、単なる親切心や甘やかしではなく、相手の成長と幸せを心から願い、ときには厳しい選択をする深い思いやりです。私たちは、言葉や行動をいかにも優しそうに見せることは得意ですが、それは見せかけの優しさ。「誰のため、何のため」というマインドをセットで考えることで、本当の優しさに近づけます。
見せかけの優しい人で疲れてしまう自分から卒業し、円満な人間関係、充実した仕事が待っている「とことん優しい生き方」をめざしてみてください。

ニューモラル出版

\ この記事の監修者 /

ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。

ニューモラルブックストアでは、よりよい仕事生活、よりよい生き方をめざす、すべての人に役立つ本や雑誌、イベントを各種とりそろえています。あなたの人生に寄りそう1冊がきっと見つかります。

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