誰もわかってくれないと思ってしまうのはなぜ?要因ややわらげる方法を解説

ECブログ

いつも一緒にいる友達とささいなきっかけで仲たがいした日、他人の成功を耳にして自分だけが置いて行かれたような気がした日、胸に秘めた悩みを思い切って打ち明けたのにも関わらず「よくある話」などと言われて求めてもいないアドバイスをされた日。モヤモヤとした気持ちのままベッドに倒れ込んで「どうせ誰もわかってくれない」と心の中でつぶやいた経験、きっと誰にでもあるのではないでしょうか?
一つひとつは小さなことであっても、それらは心の奥底に澱(おり)のようにとどまり漂い続けます。今回は「誰もわかってくれない」と思ってしまう要因について考えてみましょう。

* この記事の要点 *
・「誰もわかってくれない」と感じる原因は、自分の気持ちをうまく言葉にできないから?
・他者との違いを認め、100%の理解を求めすぎないことで心が軽くなることも。
・日頃から気持ちを整理する習慣を持つこと、他人に期待し過ぎないことが大切。
目次△▼△

「誰もわかってくれない」と思ってしまう要因

人は根源的に「理解されたい」「共感されたい」と願う生き物です。だからこそ「誰もわかってくれない」という感覚はとても孤独でつらいものです。悲しいことがあったとき「この気持ちを共有できる人がいない」という状態では心が満たされず、まるで世界に自分ひとりだけが取り残されたような気分になることでしょう。自分の存在やこれまでの努力が無意味に感じられ、そのような状態が長引くと「私には価値がない」「自分は受け入れられていない」といった自己否定に近い感覚が生まれることもあります。

自分の気持ちを言葉にできない

会話や態度、メールやSNSなど、コミュニケーションの種類はさまざまですが、それだけ方法があっても自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手な人がいます。日常会話や事務的な情報交換に不便がなくても、自分に気持ちを表現しようとすると言葉につまってしまうのです。
頭の中に浮かんでいるアイデアや複雑な感情も言葉にしなければ誰にも伝わりませんし「なかったこと」になってしまいます。そんなふうに気持ちの共有がうまくできないことを、本人は「誰もわかってくれない」と思い込んでいる可能性もあります。
言葉にする(言語化)、名前をつけるという行為は物事や特定の個人を識別するだけでなく、その名を呼ぶことで「そのものの存在を認める」ことでもあります。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』の冒頭で主人公の千尋が湯婆婆と契約をする際に名前をとられてしまうシーンがあります。物語の最後に自分の名前を取り戻した千尋は両親を連れて現実世界に帰りますが、名前を取られるとは人間性を奪われることを意味しているともいえます。

理解してもらいたい相手との価値観の違い

言葉にして伝えるところまではできた、それでも「わかってもらえない」と感じてしまうのは、話を聞いて理解してもらいたい相手と自分自身の価値観の相違も大きく関係しています。人の話を聞いているとき「言っていることはわかるけど理解できない」と感じた経験はありませんか。
親子や恋人など親しい関係であっても相手のすべてに共感できるわけではありません。言葉や文脈などの理屈の部分では理解できるけれども、自分の価値観ではどうしても受け入れられない(納得できない)という状況は起こるものです。それでも丁寧な話し合いを進め、わからないなりに寄り添うことができればいいのですが、気持ちに余裕がないと人と自分の価値観の相違を認められず、それを否定や拒絶と受け取ってしまうことがあります。

過去の経験によるトラウマや思い込み

過去に人間関係で傷ついたり、親しい相手に裏切られたりしたことがあると他人に対して「どうせわかってもらえない」という諦めた見かたをするようになります。
どのような人も最初に親しくなるのは親(保護者)であり、親との関係をベースにして人間関係を広げていきます。幼少期から思春期までは心身の成長が著しく、進学などの環境の変化だけでなく自分のあり方や人間関係にも思い悩む時期です。そのようなとき、思い切って悩みを打ち明けたにも関わらず、親に「そんなことで悩むなんて」と馬鹿にされたり、「あなたの年齢ではよくあること」などと軽く流されたりした記憶は、最も親しい相手に「わかってもらえなかった」経験として残り、子供の心に深い失望感と他者への不信感を植えつけます。

他人に対する期待が高すぎる

他者に求める期待や理想のギャップが大きいと自分で自分を苦しめます。話を聞いてもらうだけで相手に感謝できる人がいる一方、自分の気持ちを100%受け入れてもらえなければ友達(恋人)じゃないと考えるタイプの人もいます。後者はどれだけ水をやっても干上がってしまう砂漠のように心理的な飢餓状態にあるといえるでしょう。
落ち着いて周囲を見回してみれば、多くの人は家族や友人、職場の同僚などあなたのことを思ってくれる人や暖かく見守ってくれる人を見つけられるはず。ですが「わかってほしい」という気持ちが強すぎるあまり、彼らの存在に気がついていないのです。

孤立やコミュニケーション不足

人と交流する機会が少ないと孤立感や疎外感を抱くようになるものです。これは山籠もりや隠遁(いんとん)生活を送る人に限った話ではありません。人に頼るのが苦手な人、自分ひとりで抱え込んでしまう性格の人がふとしたきっかけから孤独を深めてしまうこともあるでしょう。
周囲に人がたくさんいるからいいというものではなく、人に囲まれた中でも孤独感を感じることがあります。むしろ「こんなにもたくさんの人がいるのに(自分を)わかってくれる人はいないのだ」という思いは絶望感を増大させます。一方で必ずしもすべての人にわかってもらう必要もありません。たったひとりの相手の言葉に救われ、人生が変わることは少なくないのです。

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「誰もわかってくれない」という気持ちをやわらげる方法

それでは「誰もわかってくれない」という気持ちはどうすれば解消できるのでしょうか?

自分の気持ちを整理して表現する

自分がわからないことを、人にわかるように伝えることはできません。「わかってもらえなかった」と嘆く前に、自分で自分の気持ちを整理しておくことが大切です。
普段から自分の状態を言葉にすることを続けていると、たとえ心が揺れる出来事があっても「私はいまこんなふうに感じているんだな」と気持ちや感情を冷静に整理することができるようになります。頭の中でつぶやくだけでも構いませんが、日記やメモに書くと頭の中がさらにクリアになるでしょう。
気持ちを表現するのが苦手な人ほど、ため込んだものを一気に放出しようとする傾向があります。それほど親しくもない相手から唐突に深刻な悩みや感情をぶつけられて、受け止めきれずに戸惑ってしまうのは当たり前です。そんな状況を避けるためにも、日頃から「さっきの○○がうれしかった」「嫌だった」など相手を傷つけない程度の小さな自己主張に取り組んでみましょう。ちょっとした気持ちのガス抜きにもなります。

信頼できる人に話をする

臨床心理士の玉井仁さんは著書『私、合ってますよね?』で、話を聞いてもらう効果について解説しています。

「人につらいことを聞いてもらってラクになったというのは、相手がそのつらい気持ちを受け止め、共感してくれたのを感じられたからでしょう。嬉しい気持ちを共有すると、うれしさが大きく感じられるという例もあります。確かに、安全な人との関係の中では、そのように不快な感情をやわらげたり、うれしい感情を大きくしたりということができるのです」

出典:私、合ってますよね?しちゃう、できない、やめられないの正体

人に話すことで、自分について「本当はどう思っているのか」「何がつらいのか」など自分の本当の気持ちが明らかになることがあります。これは一種のカタルシスともいえるでしょう。必ずしもすべても理解してもらう必要はなく「話を聞いてもらうだけでも心が軽くなる」という人もいます。

自分自身を肯定する習慣を持つ

「わかってもらえない」という感覚の裏に「こんな自分ではダメだ」「もっとちゃんとできていれば理解されたはず」という自己否定が潜んでいることがあります。そのようなケースでは他人との関わりよりも、自分を認めることや受け入れることについて考えた方がいいでしょう。他人の評価に揺さぶられやすい人ほど、自分との関係を整えることで大きく変わります。仕事や家事に取り組む自分を「いつもよくやってるよ」とねぎらってみる。失敗したとしても「まぁいいか」「トライしたことが偉い」と考えてみる。自分を肯定する習慣は自分自身をラクにします。

他者に対する期待を見直す

玉井さんは「誰もわかってくれない」と憤る人に対し、「相手に求め続けるだけでは、決して自分の感情の面倒を見られるようにはなりません」とも伝えています。持て余した感情を他人に押し付け、相手に「わかってもらう」ことだけを求め続けるのではなく、すでにそこにいる相手との関係性に感謝することから始めてみましょう。
どれほど言葉をつくしても、目の前の相手の気持ちを100%理解することは不可能です。そんなふうに考えてみると、音楽や映画などの芸術はある意味「自分の気持ちを伝える」ことの代替であり、さらにそれを鑑賞することは「他者を理解しよう」とする試みにも見えてきます。

専門家のサポートを利用する

特別なきっかけがなく「誰もわかってくれない」という感覚が長く続く場合は、医療機関やカウンセリング、地域の相談窓口などの第三者のサポートを頼ることをおすすめします。専門家の視点から今のあなたに必要なアドバイスをもらえるはずです。

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「誰もわかってくれない」と思ってしまうのは病気の可能性もある?

周囲とのコミュニケーションに難しさを感じたり、常に孤独感を感じていたりする場合はうつ病や社会不安障害、認知のゆがみなどのメンタルヘルスの問題に由来する可能性があります。すみやかに専門的な機関とつながり、カウンセリングや治療などのサポートを受けることを検討してみましょう。
誰に相談したらよいか分からないという方は、以下の厚生労働省の相談窓口を利用してみましょう。https://kokoro.mhlw.go.jp/agency/ (働く人のメンタルヘルス·ポータルサイト「こころの耳」)

まとめ

人間は親子の関係にはじまり友達、恋人など相手を変えながら、近づいたり離れたりして成長していきますが「誰もわかってくれない」というのはもどかしいものです。ただ、人と人とのつながりが希薄になっているといわれる時代に「誰かに理解してもらいたい」「誰かとつながりたい」という感覚があるのは素敵なことであり、この感覚は人が生涯を通して付き合っていく普遍的な悩みといえるかもしれません。そのような中で自分を大切にしながらも他人への要求をうまく調節することができれば、格段に生きるのがラクになります。自分のいいバランスを見つけられたらいいですね。

ニューモラル出版

\ この記事の監修者 /

ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。

ニューモラルブックストアでは、よりよい仕事生活、よりよい生き方をめざす、すべての人に役立つ本や雑誌、イベントを各種とりそろえています。あなたの人生に寄りそう1冊がきっと見つかります。

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