2024年04月12日
あなたの周りに人と話すのが得意で、気づくとなぜか周囲に人が集まっているような社交的な人はいますか? 学校や会社などの人間関係において、ある程度の社交性はコミュニケーションに欠かせません。社交性が人生に与える影響や大人になってからスキルを高める方法をお伝えします。
社交(しゃこう)とは、一般に人と人との交際や社会での付き合いを意味します。少し格式ばった響きがあり、「社交界」など上流階級の華やかな交際の場をイメージする人もいるかもしれませんが、会社の歓迎会や忘年会などの会合、友人たちとのちょっとしたホームパーティーも立派な“社交”です。
それが「社交性」「社交的」という言葉になると、人付き合いが得意で周囲とうまくコミュニケーションがとれる協調性を持ちながら、良好な対人関係を築くことができる性質を意味します。
社交性が高いといわれる人にはいくつかの特徴があります。
社交性が高い人は、いうまでもなくコミュニケーションスキルに秀でています。
人の話をスムーズに理解すると同時に、自らの考えを分かりやすく伝えることができるため、どのような相手でも自然と会話が弾みます。話題が豊富で会話の引き出しが多く、誰とでもすぐに打ち解けるので、「あの人とまた話したい」と初対面の人からも好感を持たれます。
連絡がマメでメールやチャットのレスポンスもすぐに返すので、どのようなやり取りでもスピーディーに進みます。
社交性の高い人は、相手の様子を見て必要な言葉をかけるなど、他者の感情や立場に寄り添うことができます。
言葉で説明されなくても、その場の雰囲気や表情から「この人はこんなことを考えているのかな」「今はこうしてほしいのかも」と読み取り、自然と相手の気持ちに沿った対応や声かけができます。相手との共通点を見つけるのも得意でフレンドリーな人柄なので、人から悩みや相談ごとを持ちかけられることも多いかもしれません。
変化を恐れないというよりも、むしろ変化する状況を楽しむことができるタイプです。
新しい環境に置かれても、持ち前のオープンマインドでどんどん人間関係を広げていきます。初対面の人と話すのが苦にならないので、気づけばすっかりその場に馴染んで、誰よりも顔が広くなっていることも……。学校や職場にそういう人、いますよね?
自分自身に対して揺らぎない自信を持ち、いつもポジティブなオーラをまとっています。
そのような明るい雰囲気も周囲に人が集まる所以(ゆえん)でしょう。どのような立場の相手に対しても臆さず、驕(おご)らずに接するので、上からも下からも信頼されます。
このタイプの人は「自己肯定感が高い」ともいえます。必要以上に他人と比べることなく、ありのままの自分の価値を他者からの評価に求めないため、精神的にも安定しています。
社交性が高い人は好奇心が強く、身内や近い間柄だけでなく知らない世界やそこで暮らす人々にも興味を持っています。
さまざまな背景を持つ人と積極的に関わろうとするので、自然と人脈が広がります。そうして出会った誰かと誰かをつなげることも好きで、人の集まるパーティーや会合などには必ず参加します。こうして、人間関係の輪がますます広がっていくのです。
人との関わりは人生の大きな部分を占めています。ですから、社交性のあるなしはビジネスの場はもちろん、普段の生活にも影響します。
人間関係のハブ(中心)的役割を担うことが多く、仕事終わりや休日も「あの人がいないと始まらない」などと友人や同僚からの誘いが絶えません。本人も人から必要とされ、好きな人たちに囲まれる時間に充実感や幸せを感じています。
幅広い方向にネットワークがあるので、困った際には助けを求めればすぐに誰かが反応し協力してくれます。そのような時は精神的にも仲間の存在に助けられることでしょう。
社交的というと、人間関係において「広く浅く」のイメージがありますが、家族や近しい友人などの深いつながりを大切にする人も少なくありません。家族や恋人など親密な関係の相手との深い会話やスキンシップはストレスを緩和させ、気持ちの安定にもつながります。
ビジネスではそれぞれに役割を持ち、チームで動く場面が多いもの。個々の能力はさることながら、チームとしての力を最大限に発揮できるか否かが、ビジネスでの成否に影響します。お互いにコミュニケーションをとり、チームワークを高めることがとても重要です。
人は繰り返し接したものや人に対して、自然と好印象を抱きます。これを心理学では「単純接触効果」と呼びます。ゼロから信頼関係を構築するのには時間がかかりますが、普段からオフィス内での雑談や社員交流の機会があれば、早い段階でチームとしての一体感を醸成(じょうせい)できます。よい人間関係は仕事の満足度を高め、結果的に生産性を高めます。
また、社交的な人は社員同士の関係を取り持つ「調整役」としても活躍します。人脈があること、顔が広いことも非常に大きなアドバンテージですから、上司や同僚から重宝され思わぬキャリアアップにつながる機会もあるでしょう。
一方、社交性が低いタイプの人にはどのような要因があるのでしょうか? その人が持つ性質に加え、過去の失敗経験などが影響している場合もあるようです。
人前に出るのが苦手で緊張や不安を感じやすい性格は、社交的に振る舞えない原因のひとつです。コミュニケーションの問題は“慣れ”で解決する部分も多いもの。苦手だからといって、人が集まる空間を避け続けていると、大人になっても苦手意識を引きずってしまいます。
内向的な性格の人はひとりでいることを好みますから、もともと社交的な性格とは真逆のタイプです。本人が不便を感じていなければ問題ありませんが、学校生活や仕事での関係構築など最低限の社交性が必要になる場面では、うまく気持ちを切り替えないと困った状況になる場合があります。
人前で恥ずかしく嫌な思いをした記憶が周囲の人と交流をすることに恐怖心を抱かせている場合があります。過去のネガティブな経験が、人との関わりに前向きになれない理由かもしれません。
進学や就職など、新しい環境に飛び込むタイミングで社交性を高めたいと思っている人もいるでしょう。大人になってからでも考え方や習慣を変えることで社交性を高められます。
昔は田畑に水を引くことも一人の力ではできませんでした。そういった大きな作業は人々が協力し合って、初めてできることだったのです。ですから、挨拶によって人間関係を良好に保つことは不可欠でした――。
現在は働き方が変わり、共同作業でなければ成り立たない仕事ばかりではありませんが、人間関係において挨拶の効果が大きいことに変わりはありません。
まずは、いつも無言ですれ違っていた人と挨拶を交わしてみることから始めてみませんか?
もしかして、最初は自分も相手も少し戸惑うかもしれません。しかし、そこから徐々に短い会話が生まれ、他人から顔見知りへ、さらには友人へと関係が発展するなど、挨拶という“小さな一歩”が人生を変えるような出会いにつながるかもしれません。
社交性を高めるのに効果的なのは、まず相手に興味を持つことです。なにも無理をして、興味のない会話に興味のあるふりをする必要はありません。表面的な会話はお互いに居心地が悪く、自分も息切れしてしまいます。
必要なのは自分自身の感度を高め、普段から周囲にアンテナを張っておくこと。会話の内容や身につけているもの、デスクの上に置いてある本など、ふと目にとまったことが会話の糸口になります。そこで興味のあるものを見つけたら、「お好きなんですか?」「私も読みましたよ」などと自分との共通点を伝えてみましょう。意外なトピックスから会話が広がるかもしれません。
社会に出てからのコミュニケーション能力は、スキルでありテクニック、意識次第で大人になってからでも身につけることが可能です。
積極的に人の集まる場所に出かけたり、多くの人と会話したりしなければいけないような空間にあえて身を置くなど、この手のスキルは経験によって磨かれます。
初めは気疲れしますが、時間をかければ自然とその場の雰囲気に合った立ち振る舞いができるようになるもの。途中で諦めず、慣れるまで続けることが大切です。
近ごろは、テレビ番組で活躍するお笑い芸人やアナウンサーなど、人前で話す仕事のプロたちが「人を惹きつける話し方」や「コミュニケーション能力」をテーマにした本を出しています。そうした人たちの書籍やセミナー、YouTube動画などから学ぶことも多そうです。
多くの人はどのような立場にいても他者との交流なしに生きることはできません。コミュニケーションを楽しみ、充実した人間関係を育むことができる人は「人生を楽しめる人」ともいえそうです。
すれ違う人と挨拶を交わす、他人に興味を持ってみる、いろいろな情報にアンテナを張る――など、大人になってからも社交性を高めるために実践できることはたくさんあります。まずはできるところから取り入れてみませんか?
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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