2024年10月31日
すぐにとりかかったほうがいいのは分かっているけれど、つい「あとでやろう」「まだ時間があるから大丈夫」という思考が働き、やるべきことを先延ばしにしてしまうことはありませんか?
始められない、やめられない。そんなダラダラ癖は後回しにしない力、つまり「行動力」を高めることで解決できるかもしれません。
行動力とは、思いついたことや大事なことをすぐに実行に移す力のことで、成功や目標達成に不可欠なスキルです。
夢やキャリアなどは頭の中に描くだけでは絵に描いた餅、どんなにすばらしくても行動することなくして実現することはありません。目標に向かい確実に一歩前進したければ、目の前にチャンスが現れたときにチャンスをつかむ方法を具体的に考え、準備してやってみることです。もし行動してみた結果が思い描いていたものと違うなと感じたら、また考えて動いてみる。
「始めて」「やり続ける」行動力があれば、少しずつ成長を繰り返して、いつの間にか目標を達成している――。行動力の差は人生の差といってもよいでしょう。
まずは、行動力がある人の特長をみていきましょう。
行動力がある人は、自分の身の回りに起こる出来事を何かと前向きに捉えます。失敗しても「次はうまくいく」と気持ちを切り替えたり、トラブルや困りごとも「これは成長のチャンスだ」と視点をうまく切り替えたりすることで対処します。前向きな姿勢は、行動し続けるための原動力です。
行動力のある人は、たとえ100%の確信がなくても「まずはやってみよう」と決断することができます。新規事業や少し背伸びが必要なチャレンジであっても「絶対に失敗しない完璧なタイミングを待つ」のではなく、たとえそこに多少のリスクや不確実性があったとしても「今できる最善の選択」をパッと決めて動きます。
反対に決断力が弱いと、ダラダラと選択肢を比較してしまい、結局どれも選べずに行動に移せなかった、時機を逃してしまった……ということも。
残業しているわけではないのに、「本当にこんなにたくさんのタスクを一人でこなしているの!?」と、信じられないくらい仕事のできる人がいます。
そうした人は、能力の高さもありますが、自分をマネジメントする力に長けているのです。やるべきタスクをしっかりとすべて把握して、予定に落とし込み、時間内にやり遂げる。行動力のある人は、仕事と時間の管理がうまい人です。
人生はとかく思いどおりには進まないもの。予想外の出来事が起きても、柔軟に対応できるのが行動力のある人の特長です。 たとえ思いどおりにならない場合でも、さっと気持ちを切り替えて別の方法を試してみたり、新しいやり方を考えたりたりする柔軟な発想力の持ち主でもあります。
パナソニックの創業者・松下幸之助氏が「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければそれは成功になる」という言葉を残しています。
成功のコツは、一度「やる」と決めたら、成功するまで続けること。行動力のある人は、最初の「やる」という決断だけでなく、その後も行動し続ける力があります。
反対に、行動力がない人は思い描く夢があったとしても「やるのかやらないのか」「何をするか」が定まらず、なかなか行動につながりません。例えるなら、前に進むための車輪はついているものの、動かすためのエンジンが搭載されていない車のようなものです。ここでは行動力のない人の特徴を見てみましょう。
行動力のない人は、決めなければならないこと、やらなければならないことを先送りにしがちです。特に、嫌なことや面倒なことになるとその傾向が顕著に現れます。
先延ばしにするというのは、今の楽をとっているだけ。きっと後でさらなる面倒がやってきます。さらにいえば、「どうしようかな」と迷っているうちに、チャンスを逃してしまう原因にもなりかねません。
行動力がない人は自分に自信がなく、現状をネガティブに捉えがちです。過去の失敗経験に引きずられてしまい、「また失敗したらどうしよう」「こんなことをしたら変に思われるかも」と、チャレンジするワクワク感よりも不安が先に立つことが多く、結局何もできなかったという場合も。
適度な不安は物事をより良いものにしたり、準備を整えたりするために役立ちますが、過度な不安は行動を止める強すぎるブレーキとして働いてしまいます。
計画することに時間をかけすぎて、実際に行動へ移すまでに時間がかかりすぎるのも行動力のない人の特徴です。初めてのことや新しいことに取り組む時、事前に調査したり新たな知識を学んだりしてしっかり準備することは必要です。しかし、それが「石橋を叩きすぎて壊れて渡れなかった」となっては元も子もありません。
行動力がある人に共通する思考は「まずやってみる」。
何事もまずはやってみることで、たとえ思い描いた結果と違ったとしても、行動した結果から学び、早い段階で軌道修正することができます。なんでもやってみるなんて無駄な労力だと思うかもしれませんが、あれこれやってみた結果、ゴールまでの最短距離が見えてくるので、結果的に目標達成が早まります。
完璧主義ではなく改善主義は行動力がある人のメリットです。
あれこれやってみるとは行動範囲を広げること。偶然の出会いや新しい学びに出会うきっかけになります。自分の関心があるイベントやセミナーだけでなく、友人や上司に紹介されたものにも積極的に参加したり、新しいプロジェクトへの参加を積極的に引き受けたりすることで、人や情報との偶然の出会いは増えていきます。自分が知らなかった情報や、思いがけない分野での可能性を見出すことにもつながるでしょう。
小さな子供が初めて自分で洋服を着られたとき、大げさなくらい「やった!できた!」と喜びを表現するように、できるというのは嬉しいもの。1度できてしまうと、今まで苦戦していたのがウソのように、すんなりとできてしまうようになってしまうことも。
大人も同じで、1度 できるとそれが自信に なります。成功体験という 過去の経験 があれば、次回似たような出来事があっても「自分ならできる」というイメージを持つことができるのです。
対面でもオンラインでも、自分が動けば自然と人とのつながりが生まれます。目標を達成するための情報、チャンス、協力者は人とのつながりがあってこそ得られるものです。
さらに、行動力のある人は特に周囲の目に留まりやすく、頼りやすいとか任せたら安心という良い評価にもつながります。仕事の報酬は仕事ともいわれます。周囲の信頼で得られたチャンスを元に新たなチャンスをつかみ、さらなる成長へとつながるのも行動力があればこそでしょう。
行動力は生まれつきの性格だけでなく、日々の意識や習慣の積み重ねによって徐々に育てることができます。鍛えるためのヒントをご紹介します。
最初から大きな目標を立てるのではなく、達成しやすい小さな目標を設定してみましょう。小さな成功を積み重ねることで、自信がつき、徐々に大きな目標に向かって進むことができます。
失敗を恐れずに挑戦することが、行動力を鍛えるための重要なステップです。
とはいえ、誰だって失敗して嫌な思いはしたくないもの。そこで、おすすめなのが失敗してしまう原因そのものと向き合って根本的な課題解決に取り組むことです。
ビジネスコンサルタントの三枝理枝子さんは、自分自身の行動を変えるセルフワーク「ビジネス禅」を提唱し、次のように述べています。
仕事をしていて「同じような失敗を繰り返してしまう」「いつもここが課題の原因である」ということはありませんか?
出典:三枝理枝子『幸せを感じる人間力の高め方』モラロジー道徳教育財団
なぜそのことが起きてしまうのか、自分でも何となく問題点に気がついてはいるものの、忙しいことを言い訳にしたり、深く考えるのが面倒だったりして、その都度とりあえず目の前の問題を解決し、リカバリーする対処方法だけでは、また同じことを繰り返してしまうでしょう。
三枝さんは、問題の本当の原因に行きつくために、失敗や苦手なことがあったらビジネス禅のステップの1つ、「なぜ」を最低3回は繰り返して追究してみようと提案します。
例えば、なぜこんな失敗をしたのだろう。それは手っ取り早く進めたかったから
なぜ手っ取り早く進めたかったのだろう。それは言われてやらされた仕事だから
なぜやらされ仕事なのだろう。……といったようにです。
(前掲書)
早起きして自分だけの朝時間をつくることもおすすめです。
学生であれビジネスパーソンであれ、夜はダラダラしてしまうことはあっても、朝は、学校や仕事が始まるまでの限られた時間しかありません。この時間でこれをやると集中して取り組むこともいいですし、頭のクリアな朝の時間帯に、その日のスケジュールを組み立てることで、やるべきことが整理されて1日の充実度が変わります。
人は、朝が1日の中でもっとも集中して物事に臨みやすく、なおかつ自分をコントロールする力も高まるといわれています。反対に、夜は脳内の疲労物質アデノシンの量が多く、脳のパフォーマンスが落ちるといわれています。
夜は新しいことに挑戦する意思力と集中力が残っていないのですから、リラックスタイムと割り切り、「行動するなら朝」と生活スタイルを変えてみるのも行動力を鍛える1つの手です。
行動力がある人というと、つい「一人で突き進む」イメージを持ちがちですが、実は周囲のサポートがあってこそ、難しいチャレンジに取り組めている場合があります。
自分をよく理解してくれている人からの励ましやサポートは、安心感や自信につながり、行動の背中を押してくれるでしょう。特に、初めて挑戦することや目標が大きい時ほど周囲のサポートは心強いものです。
また、周囲にサポートを求めること自体が、行動力の一部でもあります。自分から助けや意見を求めるのは勇気のいることですし、そのためには素直さや柔軟さが必要です。
行動力のある人は「自分だけでやるべき」という先入観にとらわれず、周囲の助けを積極的に借り、時にはアドバイスを受けながら次のステップに進めます。
行動力の土台は、無理なくできる「小さな一歩を継続する」ことで形成されていきます。
やる気さえあれば動けると思っていても、実際は行動しない人は行動しない習慣が染みついているので動きません。人は、動く練習をしていると徐々に動ける体質になっていくもの。そうして少しずつ成功体験を重ねていくと、自分の中に「行動すればできるんだ」という自己信頼が生まれます。この自己信頼こそが行動力のエンジンです。
チャンスは目の前にいつ現れるか分かりません。つかみ逃さないよう、日々コツコツと行動力を磨きましょう。
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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