公開日:2026年02月26日
「もっと認められたい」「頑張ったことを評価してほしい」
そう感じたことはありませんか?私たちは誰しも、他者からの承認を求める心を持っています。それは決して悪いことではなく、人が社会の中で生きるうえで自然な望みです。しかし、承認欲求が強くなりすぎると、他人の評価に振り回され、自分らしさを見失ってしまうこともあります。
この記事では、承認欲求の意味や種類、強くなってしまう要因、強い人の特徴、メリット、デメリット、さらに周囲との向き合い方まで解説します。自分の中の承認欲求を正しく理解し、前向きな力として活かすヒントを見つけていきましょう。
承認欲求とは、自分の存在や行動、成果を他者に認めてもらいたいという心理的な欲求のことです。人間は社会的な生き物であり、誰かと関わりながら生きています。その中で、自分は必要とされているか、価値のある存在か、役に立っているかといった確認を他者からの反応を通して行っています。
評価や共感、賞賛は私たちに安心感や自己効力感を与えるもの。心理学者のマズローが理論化した欲求5段階説でも、人間の基本的な欲求の中で「承認欲求」は上位に位置づけられており、人間の成長や自己実現に不可欠な欲求とされています。ただし、この承認欲求は「強すぎても弱すぎても」問題が生じます。重要なのは、そのバランスです。
承認欲求とよく似た言葉に「自己顕示欲」があります。承認欲求は他者から認められたいことですが、自己顕示欲は自分を積極的に目立たせたいということです。
承認欲求は「評価してほしい」という受け身の要素が強いのに対し、自己顕示欲は「見せたい」「主張したい」という能動的な要素が強いのが特徴です。自己顕示欲が強すぎると、話を独占する、自慢話が多い、他人の話を聞かないといった傾向が出ることがあります。一方で、承認欲求はもっと根源的な「安心したい」「受け入れられたい」という欲求に近いものです。
承認欲求には、他者承認欲求と自己承認欲求の大きく分けて2つの種類があります。
他者承認欲求とは、周囲から評価されることで満たされる欲求です。上司から褒められたい、SNSで「いいね」がほしい、周囲にすごいと思われたいといった感情は、この欲求に基づいています。他者承認欲求が強いと、成果を出す原動力になる一方で、評価されないと不安や落ち込みを感じやすくなります。特にSNSでは承認が数値化されるため、「評価は自分の価値」と無意識に結びついてしまう危険性があります。
自己承認欲求とは、他人の評価に頼らず、自分で自分を認めたいという欲求です。自分なりに頑張れた、昨日より成長できた、失敗しても挑戦できたといった自己評価が中心になります。自己承認欲求が育っている人は、他者の評価に振り回されにくく、自分軸で行動できます。
他者承認欲求と自己承認欲求の2つのバランスが取れていることを健全な状態といってよいでしょう。

人が誰かに認められたいと強く願う背景には、主に三つの要因が隠されています。
子供時代に、条件付きの愛情(成績が良いときだけ褒められるなど)、厳しい比較、十分な肯定体験が少ない、といった環境で育つと、大人になってから承認を強く求める傾向があります。「認められないと存在価値がない」という思い込みが形成されやすいのです。
現代は承認が可視化される時代。いいねの数、フォロワー数、再生回数など、これらは一見客観的な指標ですが、心理的には非常に強い刺激を与えます。SNSは承認欲求を刺激し続ける設計になっているため、依存しやすい環境が整っています。
自己肯定感が低いと、自分で自分を認められません。その結果、「他人からの評価がないと不安」という状態になりやすくなります。承認欲求が強い人の多くは、実は心の奥で「自分を自分で信じきれていない」という不安を抱えています。
ここからは承認欲求が高い人の特徴を見ていきましょう。
承認欲求が高い人は、他人からどう思われるかが判断基準になります。服装は自分の好みより他人基準で選ぶ、本音よりも評価を優先する、嫌われないように振る舞うというように、他人の目が常に気になってしまいます。こうした行動を続けていると、自分の感情を抑え込んでしまうことも。
SNS投稿後に何度も通知を確認する、反応が少ないと落ち込む。これは典型的な承認欲求の現れです。
他人からの評価を強く求めているため、褒め言葉が大きなエネルギー源になります。しかし同時に、否定にも敏感です。
言った相手はそんなつもりがないにも関わらず、批判を人格否定と受け取ってしまう傾向があります。そのため、対立を避けたり自己主張を控えたりする、または過剰に防御的になるといった行動に出ます。
認められるために「完璧」を目指します。しかし根底に自信の不足があるため、常に不安と隣り合わせになります。
承認欲求は「厄介なもの」「手放すべきもの」と捉えられがちですが、実は使い方次第で大きな強みになります。ポイントは、他人の評価を依存の対象ではなくエネルギー源として活用できるかどうかです。
承認欲求が強い人は、「認められたい」という気持ちを原動力に努力を続けることができます。たとえば、上司に評価されたいから資格を取る、お客様に喜ばれたいからスキルを磨く、周囲に認められたいから成果を出そうと工夫するというように、承認欲求は成長の推進力になります。
特に仕事の現場では、「見てもらえている」「評価されている」という実感がある人ほど、主体的に動きやすくなります。承認欲求があるからこそ、現状に甘んじず、自分を高めようとする姿勢が生まれるのです。
承認欲求がある人は、「相手からどう見られるか」を意識しています。これは一見ネガティブに思えますが、裏を返せば他者への配慮が働きやすいということ。人間関係が円滑な人は、相手を傷つけない言い方を選んだり相手を気づかって感謝をきちんと言葉にしますよね。
反対に、承認欲求が極端に低い人は、いわゆる「空気を読まない」状態になりやすくなります。時に無遠慮な言動をしたり、他者の感情への配慮が不足してしまうこともあります。その意味で、適度な承認欲求は、人と人との関係を円滑にする社会的潤滑油の役割を果たしているのです。
承認は非常に強力なモチベーションです。「よくやったね」と言われた、「あなたに頼んでよかった」と言われた、「助かった」と感謝された。こうした言葉は、内側から活力を生み出します。
また、承認欲求が高い人は、他人のポジティブな反応を敏感に受け取りやすいため、やる気を持続させやすいという特長もあります。営業職や接客業、教育、チームリーダーなど、人との関わりが多い仕事では、この性質は大きな武器になります。
承認を得たいという気持ちは「どう伝えれば伝わるか」「どうすれば好印象か」を考えるきっかけになります。声のトーンを工夫する、相手の話もよく聞く、タイミングを読むといった相手のことを考えた行動はコミュニケーション能力の向上につながります。承認欲求が高い人は、無意識のうちに対人スキルを磨く傾向があり、結果的に「感じの良い人」「話しやすい人」と評価されやすくなります。
承認欲求が強い人は、他者からどう評価されるかを意識するため、周囲との関係を大切にしようとする傾向があります。信頼を得たいという思いから協力的に行動し、皆で成果を上げようと努力することも少なくありません。特に、協働の中で成果が評価される環境では、承認欲求は人と人とをつなぎ、協力を後押しする力として働きます。

承認欲求が高い人との関係は、うまく向き合えば良好に保てますが、対応を誤ると疲弊しやすいのも事実です。大切なのは、相手を否定せず、しかし自分も消耗しない距離感を保つことです。
承認欲求が強い人は、「見てもらえている」という感覚を求めていますが、ここで重要なのは具体性です。「すごいね」といった抽象的な称賛は一時的な満足しか与えない一方で、「この資料、データの整理がとても分かりやすかったよ」といった具体的な承認は安心感につながります。
また、毎回大げさに褒める必要はなく、「気づいているよ」や「見ているよ」というメッセージが伝われば十分です。実践する際のポイントとしては2つ、結果だけでなく努力も評価すること、そしてその場ですぐ言葉にすることです。
承認欲求が強い人は、他者評価に依存しやすい傾向があるため、「あなたはどう思う」と問い返すことが有効です。たとえば、相手から「どう思う?うまくできてるかな」と問われたとしましょう。そこに「私は良いと思うよ、あなた自身はどう感じているの?」と返せば、その一言が他者承認から自己承認への橋渡しになります。また、「あなたが納得できているなら、それが一番大事だよ」とか「自分の判断を信じてもいいと思うよ」といった言葉も効果的です。相手を突き放すのではなく自立を支える。そのような関わり方を心がけると、承認欲求が強い人とも適度な距離感が見つかるはずです。
承認欲求が強い人は、時に過度な確認や評価の要求を繰り返します。「もういい加減にして」と突き放してしまっては、人間関係は一気に気まずいものに。そんなときは「今はこれ以上評価できないけれど、方向性は合っていると思うよ」と、拒絶ではなく「枠」を示してみましょう。
また、繰り返し評価を求められるときは「今日はここまで」「この件は自分で判断してみようか」と優しく線引きをしてみるのも手です。自分と相手の間に境界線を引くことは、決して冷たい対応ではなく、健全な関係を保つために必要な手段です。
一方で、過度な承認要求には距離を取る勇気も必要です。特に、常に褒めを要求してくる場合や批判を一切受け入れない場合、自分が評価されないと怒るような場合は注意が必要です。この状態が続くとあなた自身の心が疲れてしまいます。疲れ切ってしまう前に、返信頻度を少なくするなど物理的および心理的距離を整えることも選択肢であり、相手を変えようとするよりも距離を調整するほうが現実的です。
多くの場合、強い承認欲求の背景には不安があります。果たして自分には価値があるのか、嫌われていないか、必要とされているかといった不安が承認要求という形で現れているのです。だからこそ「あなたの存在そのものが大事だよ」といったメッセージが心に響きます。ポイントは「成果」より「存在」を承認することです。
また、承認欲求が高い人との付き合いが続くと「相手を支えなければ」と思いすぎることがありますが、あなたがすべてを満たす義務はありません。相手の不安はあなたの責任ではありませんから、自分の時間と感情も尊重してよいのです。片方が心身を消耗し続ける関係は健全な関係とはいえません。
承認欲求は誰もが持っている自然な感情です。「認められたい」と思うのは、人とつながりの中で生きる私たちにとって、ごく当たり前のことです。大切なのは、承認欲求そのものの有無ではなく、それに振り回されて生きるか、それとも自分を成長させる力として活かすかどうかにあります。認められたいという感情を正しく理解して、あなたの人生を前向きに動かすエネルギーに変えていきましょう。
ただし覚えておいてほしいのは、たとえ他人に承認されなくても、あなたの価値は変わらないということ。他人から与えられる承認を感じつつ、自分で自分を認める力を少しずつ育てていくことで、承認欲求は、あなたの人生を支える力になっていくはずです。

\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ
ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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