リフレクションとは?フレームワーク<KPT法・KDA法・YWT法>や実践方法を紹介

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「毎日同じことの繰り返しで、何か新しいことをしたいけれど、一体どこから手をつければいいの?」
そう思ったことはありませんか。
振り返りを意味する「リフレクション」は、そんなあなたの悩みを解決するヒントになるかもしれません。
過去の経験を振り返り、自分自身を深く理解することで、新たな目標を見つけ、成長へとつながる第一歩を踏み出すことができるでしょう。
この記事では、「リフレクション」は「反省」とどう違うのか、なぜ今、リフレクションが大切なのか、習慣化するメリットや具体的な実践方法についても詳しく解説します。

目次△▼△

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リフレクションとは

リフレクション(Reflection)は「振り返り」と訳されますが、単に過去を振り返るだけでなく、自分の思考、行動、感情を客観的に分析し、そこから学びや成長につなげるプロセスを指します。
いわば、普段は見ることのできない自分自身の心の内を鏡に映し、より深く理解するための行動といえるでしょう。

リフレクションと反省の違い

「振り返り」と聞いて「反省」を思い浮かべる方も多いでしょう。ただリフレクションと反省は、目的とプロセスが異なります。
反省とは「なぜ失敗したのか?」という否定的な視点から、過去の失敗に焦点を当て、それを責める傾向があるのに対し、リフレクションは、過去の経験全体を客観的に捉え、そこから学びを抽出し、未来へつなげることを目的としています。
リフレクションは、よりポジティブな側面に焦点を当て、成長を目指すアプローチといえます。

リフレクションが重要視されている理由

現代社会は、情報化が進み変化が激しい時代です。新しい情報が次々と発信され、仕事や人間関係も複雑化しています。このような状況下では、変化に対応しながら成長を続けるために、自己理解を深め、新たな視点を得ることが不可欠です。
リフレクションは、まさにそのような状況下で求められるスキルといえるでしょう。
過去の経験を振り返り、何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを分析することで、自分の強みや弱みを客観的に把握し、改善点を見つけることができます。
さらに、リフレクションを習慣化することで、変化を恐れず常に成長し続けることができるようになります。

リフレクションを実践する5つのメリット

リフレクションには、自己成長や仕事の効率向上など、さまざまなメリットがあります。

1.自己理解が深まる

自分の強みや弱み、価値観や行動パターンに気づくことができるようになります。
例えば、「なぜこの状況でイライラしたのか?」を振り返ることで、自分のストレスの引き金となる要因を理解することができるでしょう。特定の状況でどのような感情が湧いたのかを振り返ったり、繰り返してしまう非建設的な思考パターンを特定したりすることで、行動の改善につながります。

2.問題の本質を見極める力の向上

過去の失敗や成功をただやり過ごすのではなく、冷静に振り返り分析することで、問題の本質を見極める力が養われます。これにより、同じような状況が再び起きたときに、より冷静に対応ができるようになります。

3.コミュニケーション能力がアップ

自分の発言や行動が相手にどのような影響を与えたかを内省することで、自己中心的な言動が改善され、他者に配慮したコミュニケーションができるようになります。
「自分は相手の話を十分に聞いているか?」と振り返る習慣がつくと、相手の話を意識的に聞く力が鍛えられますし、自分が過去に持った感情や思考を理解すると、他者の感情や状況にも共感できやすくなるでしょう。

4.創造性の向上

リフレクションは、単に過去の出来事を振り返るだけでなく、新たな視点やアイデアを生み出すきっかけとなります。
「なぜ?」「どうすれば?」という新しい問いを意識的に生み出す習慣がつけば、この問い自体が創造性を刺激し、アイデアの出発点となります。また、自分の思考パターンが分かると、「いつもと同じ」から抜け出して新しい視点を取り入れやすくなります。

5.ストレス軽減

リフレクションは、心の健康にもよい影響を与えます。心の中のモヤモヤを言語化することで感情が整理され、自分が何に対してストレスを感じているのかをはっきりとさせることができます。問題が漠然としていると不安が増しますが、原因が特定されるとどのように対処すればよいかが分かり、心の負担は軽減されるはずです。

リフレクションのフレームワーク――比較と使い分け

リフレクションを効果的に行うためには、さまざまなフレームワーク(ひな形)が活用できます。
ここでは、代表的な3つのフレームワーク「KPT法」「KDA法」「YWT法」を比較し、それぞれの場面でどのように使い分けるべきか解説します。

KPT法 (Keep・Problem・Try)

【特徴】
シンプルで使いやすいフレームワークです。行動や結果をKeep(継続)、Problem(問題)、Try(挑戦)の3つの観点から整理して、プロジェクトや活動を振り返ります。

【適した使い分け】

〇チームでの振り返り: チーム全体で共有できる目標や課題を明確にする際に有効です。

〇日常的な振り返り: 日々の業務やプロジェクトの進捗状況を振り返るのに適しています。

【メリット】

〇改善すべき点が明確になる

〇次のステップが具体的にイメージできる

【デメリット】

〇抽象的な内容になりがち

〇長期的な視点での振り返りが難しい

KDA法 (Keep・Discard・Add)

【特徴】
シンプルなフレームワークでKPT法と似ています。大きく違う点は、Keep(継続)・Discard(やめるべきこと)・Add(新たに始めるべきこと)のDからわかるように、「やめること」を決める手法だということです。

【適した使い分け】

〇製品開発やサービス改善:既存製品やサービスの顧客満足度や競争力を向上させたい場合有効です。

〇ライフスタイルの見直し:日々の行動や習慣の中の要・不要を整理し成長を促進します。

【メリット】

〇思決定がシンプルになる

〇必要なアクションが明確になる

【デメリット】

〇主観的な判断が混じりやすい

〇判断を間違うと重要な要素が失われるリスクがある

YWT法 (やったこと・わかったこと・次にやること)

【特徴】
シンプルで実践的なフレームワークです。Y(やったこと)を思い出し、W(わかったこ)からチームの学びや気づきにフォーカスし、T(次にやること)でアクションを決めていきます。

【使い分け】

〇業務の改善: 業務の効率化や質の向上を図りたい場合に有効です。

〇目標達成に向けた振り返り: 目標達成までの進捗状況を把握し、次の行動につなげたい場合に適しています。

【メリット】

〇短時間で振り返りができる

〇行動につながりやすい

【デメリット】

深いレベルでの分析が難しい

長期的な視点での振り返りが難しい

それぞれのフレームワークを効果的に使い分けるポイント

フレームワークをより効果的に使い分けるには、目的、時間、内容、状況をそれぞれ考慮して使い分けるとよいでしょう。

【目的】 振り返りの目的を明確にすることで、最適なフレームワークを選択できます。

【時間】振り返りに使える時間によって、適したフレームワークが変わります。

【内容】振り返る内容の範囲や深さによって、使用するフレームワークを調整します。

【チームの状況】 チームの規模やメンバーの特性に合わせて、フレームワークを選びましょう。

リフレクションの3つの実践方法

リフレクションを効果的に行うためには、具体的な方法を知ることが重要です。ここでは、代表的な3つの実践方法を紹介します。

1. 経験学習モデル

「経験→振り返り→抽象化→実践」の4つのステップを繰り返す学習サイクルで、アメリカの組織行動学者デービッド・コルブが提唱しました。次の4つのステップを意識することで、反省を踏まえて考えることができるようになります。


【経験】仕事や生活の中で具体的な経験をする。

【振り返り】その経験について、感じたこと、考えたことを振り返る。

〇何がよかったのか・悪かったのか?

〇どのような感情を経験したのか?

〇どのようなことを学んだのか?

【抽象化】 経験から得られた学びを、一般的な概念として捉えます。

〇この経験から、どのような教訓を得られるのか?

〇将来、似たような状況に直面したとき、どのように行動するか?

【実践】 新しい知識やスキルを活かして、新たな挑戦をしてみます。


経験学習モデルをより効果的に取り入れるには、次の点に注意が必要です。

・感情に振り回されず、客観的な視点で経験を振り返ること。

・経験はより具体的に記述することで、より深く振り返り、理解することができます。

・定期的に経験学習モデルを実践することで、継続的な成長が期待できます。

2. ダブルループ学習

行動の結果だけでなく、その先にある思考の信念や確信まで踏み込むことで、表面的な改善ではなく、根本的な変化を促す方法として、アメリカ・ハーバード大学の名誉教授であるクリス・アージリスが提唱重しました。
ダブルループの対になる考え方としてシングルループ学習があります。これは、過去の成功体験や既存の考え方・行動に基づいて問題解決を図ります。一方のダブルループ学習は、既存の枠組みや前提を取り払い、新しいアプローチを取り入れる方法です。次の手順で行われます。


【現状の分析】問題が発生した状況を詳しく分析します。

〇何が問題なのか?

〇問題の原因は何なのか?

【前提条件の問い直し】問題の原因となった前提条件や価値観を問い直します。

〇この問題に対して、自分はどのような前提を持っているのか?

〇他の考え方や価値観はないか?

【新たな視点の獲得】新しい視点から問題を捉え、解決策を検討します。

〇この問題を解決するために、どのような行動を取ることができるか?

〇新しい視点に基づいて行動し、効果を検証します。


ダブルループ学習を効果的に取り入れるには、次の点に注意が必要です。

・深いレベルでの分析が必要となるため、時間と労力が必要です。

・チーム全体で取り組むことで、より効果的な解決策を見つけることができます。

3. ジョハリの窓

心理学者ジョセフ・ルフトとハリ・インガムジョハリが提唱した考え方で、自己理解を深め、コミュニケーションを改善するためのツールです。自分の知らなかった側面を知ることで、成長につながるリフレクションが可能になります。
ジョハリの窓は、自分の特性や自分に対する理解を次の4つの領域に分類し、それぞれを「窓」に例えて考察します。


開いた窓(自分も他人に知っている領域)

盲点の窓(他人は知っているが自分は知らない領域)

秘密の窓(自分は知っているがお互いには隠している領域)

未知の窓(自分も他人も未知の領域)


ジョハリの窓を使った自己分析は、次の手順で行います。

【メンバー】すでにお互いのことを知っているメンバー5名~10名程度で行います。

【自己開示】自分のことを積極的に相手に伝え、未知の領域を減らします。

【フィードバック】相手からフィードバックをもらい、盲点を認識します。

【自己探求】 自分のことを深く掘り下げ、秘密の領域を減らします。


ジョハリの窓をより効果的にするには、次の点に注意しましょう。

・メンバー相互の信頼関係が築かれていることが重要です。

・自分のことを正直に開示する姿勢が大切です。

・一度で終わるものではなく、継続的な取り組みが必要です。

どの方法を選べばいいのか

ご紹介した3つのツールはそれぞれに長短があります。状況や目的に合わせて、最適な方法を選び、実践してみましょう。

【経験学習モデル】  日常的な出来事の振り返りや、個人の成長に焦点を当てたい場合

【ダブルループ学習】組織の課題や根深い問題の解決につなげたい場合

【ジョハリの窓】    自己理解を深め、コミュニケーションを改善したい場合

リフレクションをする際の注意点

リフレクションは、自己成長を推し進める力強いツールですが、効果的に行うためにはいくつかの注意点があります。

自己批判ではなく「自己成長」に焦点を当てる

リフレクションは、過去の行動を振り返り、そこから学びを得るプロセスです。しかし、つい過去の失敗ばかりに目を向け、自分を責めてしまうことがあります。
重要なのは、過去の経験から何を学び、未来の自分にどう活かせるかということです。自己成長のためにも、過去の成功体験にも目を向け、自分の強みを認識しましょう。そして、失敗は成長するための機会と捉え、未来の目標達成につなげられるといいですね。

客観的な視点を持つ

分かっているつもりでも、実は自分のことが一番分かっていないもの。自分の行動を客観的に評価することは、リフレクションを効果的に行う上で非常に大切です。
客観的な視点を持つためには、リフレクションの内容を日記やノートに記録することも役立ちます。浮かんでは流れていく感情や思考を文字として留めることで、「自分はこんなふうに考えていたのか」と客観的に自分を見ることができます。

継続的に実施する

リフレクションは、一度行えば終わりではなく、継続的な取り組みです。
毎日、毎週、毎月など、自分に合った頻度でリフレクションを行いましょう。また、すべてを完璧に実践する必要はありませんから、小さなことから始めてみましょう。

フィードバックを活用する

他者からのフィードバックは、自己成長を進めるための重要な要素です。
周りの人に積極的にフィードバックを求めてみましょう。もしも受け取ったフィードバックが否定的なものであっても、それがあなたの人格まで否定しているわけではありません。自己成長の機会として捉えましょう。

過去の行動を正直に振り返る

リフレクションを実践すると、蓋をしておきたかった自分の嫌な面も見えてきます。自分を正しく理解し成長につなげるためには、自分に都合のよいように事実を歪めず、出来事や感情もありのままに受け入れましょう。

リフレクションを継続するためのヒント

リフレクションは継続して行うことでより効果が実感できます。自分に合った「続ける仕組み」を作ってみましょう。

〇リフレクションを実践して改善点や次のアクションを設定したのに「達成するのが難しい」と感じたら、小さな目標に立て直し、少しずつ達成感を味わうことでモチベーションを維持しましょう。

〇仲間とリフレクションの成果を共有することで、お互いを励まし合い、モチベーションを維持することができます。

〇リフレクションを習慣化したら自分にちょっとしたご褒美を設定することで、モチベーションを維持することができます。

まとめ

リフレクションは、過去を振り返るだけでなく、未来を創り出すための前向きなプロセスです。リフレクションを習慣化することで自己理解を深め、問題解決能力を高め、そして自分自身の成長を加速させることができます。自己成長のための強力なツールをぜひ手に入れてくださいね。

ニューモラル出版

\ この記事の監修者 /

ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。

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