2024年12月25日
「毎日たくさんのタスクに追われて、なかなか自分の時間が取れない……」
現代社会では情報過多で、何から手を付けていいのか分からなくなることってありますよね。
でも大丈夫!そんなあなたにこそ知ってほしいのが、「クリティカルシンキング」という考え方です。
このスキルを身に付けることで、迷わず決断できるようになり、仕事もプライベートももっとスムーズに進めることができるようになります。
クリティカルシンキングとは、物事を批判的に分析し、正しい判断をくだす能力のことです。「批判的」とは否定的であるという意味ではなく、思い込みや先入観を排除し、客観的に物事をみることを意味します。具体的には、次のような要素が含まれます。
〇情報を多角的に検討する力
〇根拠や事実に基づいて判断する力
〇論理的で一貫性のある思考
この力は、ビジネスや学習、日常生活においても重要であり「意思決定の質」を高めることに役立ちます。クリティカルシンキングを身に付けると、膨大な資料の中から本当に必要な情報だけをスピーディーに抽出できるようになったり、突発的なトラブルに見舞われたりしたときに冷静に状況を判断し、適切な対応策を立てることができるようになり、仕事の効率アップにつながるでしょう。
一見似ているように見える「ロジカルシンキング」と「クリティカルシンキング」ですが、それぞれ異なる役割を持っています。
ロジカルシンキングは、論理的な筋道を立てて結論を導き出すための思考法であり、情報を整理し、順序立てて考えることに重点を置きます。例えば、ピラミッド構造やフレームワークを使った問題解決がこれに該当します。
クリティカルシンキングは、与えられた情報や結論の妥当性を疑問視し、深く掘り下げることを目的とします。つまり、ロジカルシンキングは「正しく考えること」にフォーカスし、クリティカルシンキングは「正しいかどうかを考えること」にフォーカスします。
なぜ、今クリティカルシンキングが求められているのか。そこには大きく2つの理由があります。
SNSやインターネットの普及により、多くの情報が飛び交う中で真偽を見極める力が必要です。増え続けるフェイクニュースに踊らされて、誤った意思決定や選択をし、大きなストレスを抱えたり、人生を誤ったりする人が増えています。情報過多の時代だからこそ、クリティカルシンキングは必須の能力といえるでしょう。
近年、働く人を取り巻く環境はますます複雑化しています。グローバル化が進み、市場の競争が激化する中、お客様のニーズも多様化しています。日々多くのタスクを抱えているビジネスパーソンにとっては、「どの案件を優先すべきか」「限られたリソースの中で、どのように目標を達成するか」といった判断がますます難しくなっているのではないでしょうか。問題が複雑化する現代において、クリティカルシンキングのスキルの重要性は増すばかりです。
ここからは、クリティカルシンキングを身に付けるメリットを4つご紹介します。
クリティカルシンキングによって、表面的な情報に惑わされて判断に困ることが減り、意思決定の質が高まります。
例えば、顧客から新しい要望を受けたが、社内の既存ルールに当てはまらないので対応に困ってしまった……という場合。クリティカルシンキングが身に付いていると、まずは冷静に顧客のニーズを分析しつつ、社内ルールを客観的に再考。その上でルールにとらわれず、顧客の要望を叶えるための新たなアイデアを考え上司に提案する、という流れで対応がスピーディーかつ、的確に進められます。
もし、ルールは厳格に守らなければならないという頭でいたら、判断に迷い、上司と顧客の間に挟まれてストレスは増え、仕事も進まない……という状況になりかねません。
クリティカルシンキングを身に付けることで、ビジネスや日常生活での意思決定の質が向上し、リスクを抑えつつ、より良い結果を得ることが期待できます。
クリティカルシンキングによって、自分の主張を論理的かつ根拠に基づいて説明できるようになります。
例えば、チームメンバーとの間でたびたび意見が食い違い、つい自分の意見を通そうとして感情的な言葉を口にし、チーム全体の士気を下げてしまったとしましょう。
そのようなとき、クリティカルシンキングが身に付いていると、自分の主張をいったん横に置き、相手の意見を冷静に傾聴することができます。相手の視点からも問題を考え、自分の意見との共通点や相違点を明確にするので、感情的な判断ではなく事実やデータに基づく議論ができるのです。あわせて相手への共感の言葉も忘れないので、たとえ議論になったとしても、チームの士気を下げるどころか関係性を深めていけるでしょう。
関係性を損なわずに他者を説得する力を高め、交渉や議論の場での前向きなコミュニケーションを可能にするのが、クリティカルシンキングを実践するメリットです。
情報が多すぎる現代では、不正確な情報に惑わされたり、デマや偏った意見に不安を感じたりすることが少なくありません。
SNSの投稿やネット広告で「効果が高い」「120%増」といった情報を目にしたとき、これはすごいと飛びつくか、本当だろうか?と見極めようとするか、どのような対応をとるでしょうか。クリティカルシンキングが身に付いていると、情報を鵜吞みにせず複数の情報源を確認して、その情報に信頼性はあるか、科学的根拠に基づいているか、最新かどうかといったことを冷静に確認しようとします。その上で、情報を適切に取捨選択し、必要なことだけを選び取ることができるようになり、仕事や生活の質を向上させることができるのです。
クリティカルシンキングは、物事の本質を理解し、自分の判断に対する自信を高めます。
例えば、新たな業務に取り組むチャンスが目の前にあるのに、失敗するリスクばかり気になり踏み出せない……。そんな指示待ちな自分に自己嫌悪……という人にもクリティカルシンキングが役立ちます。
新しい業務に挑戦するメリットとデメリットを冷静に洗い出し比較検討をする。その上で「目標」を明確にし、達成するための具体的な計画を立てると共に、リスクを事前に予測して対策を講じることで、失敗するリスクを最大限減らし、自信と勇気をもってチャンスをつかみにいくことができるようになるのです。
クリティカルシンキングを習慣化できれば、意思決定に自信を持ち、やったことのない仕事にも前向きに取り組めるようになるはずです。
ビジネスコンサルタントの三枝理枝子さんは、著書の中で、仕事の目標達成を妨げている自分の弱さと向き合うことで、人間としての力も高まると説いています。
私たちはそうした自分の弱さを直視するのが苦手です。自分の弱いところを見つけると自己嫌悪に陥ったり、つい言い訳をしたくなったりしませんか?
なぜ毎回同じようなところで失敗するのか、同じような課題が生まれるのかを深く考えたことがあるでしょうか。次に気をつければいいと、そのときだけの手ごろな解決策を求めていては、永遠に課題は解決しません。
逆を言えば、仕事の目標達成を妨げている「根深い悪習慣」と真正面から向き合えば、私たちの人間力も高まっていくということです。
(三枝理枝子『幸せを感じる人間力の高め方』モラロジー道徳教育財団)
では物事を「クリティカル」に考えるようになるためには、どんな手順を踏む必要があるのでしょうか。ステップを説明します。
【ステップ1】情報を収集する
まずは、問題や課題に関する情報を徹底的に収集しましょう。多角的な情報源から情報を得ることで、偏りのない視点を持つことができます。
【ステップ2】情報の信ぴょう性を確かめる
次に、集めた情報の信頼性や客観性を評価します。このステップが重要です。情報源は確かなものか、信じていいものかどうかを根拠や他の情報との比較から確かめ、偏見や誤解を排除します。
【ステップ3】仮説を立てる
確かな情報を整理し、問題の本質を見極められたら仮説を立てましょう。この仮説は、問題解決に向けた仮の結論としての役割を果たし、行動の方向性を決定します。
【ステップ4】仮説を検証する
最後にその仮説が正しいかどうかを、具体的なデータや事実を基に検証します。仮説の正確さを確認し、必要であれば修正することによって、より精度の高い結論にたどり着けるはずです。
では、具体的にクリティカルシンキングを身に付ける方法を見ていきましょう。
日常の判断や行動において、自分がどのような思考パターンを持っているかを意識することが重要です。
そのためには、日記やノートに自分が下した判断や決定を書き出してみて、なぜその結論に至ったのかを具体的な言葉にして書き出してみます。普段の考え方や思い込みを振り返り、自分の思考に偏りや偏見がないか確認しましょう。意識的に改善することがクリティカルシンキングの第一歩です。
誰しも自分の足りないところや思考のクセは、自分では気づきにくいものです。他者からのフィードバックを積極的に受け入れ、異なる視点を取り入れることで、より多角的な思考ができるようになります。
身近な出来事や情報を鵜呑みにせず、「本当にそうなのか?」という疑問を持つクセをつけましょう。「当たり前」に疑問を持つことで、物事の本質を探る姿勢が身に付きます。
自分の考え方に固執せず、常に客観的な視点から物事を考えるよう心がけます。あえて自分と反対の意見を持つ人の立場に立ち、「もし私が反対意見を持つ人なら、どのような主張をするだろう?」と、その理由や背景を考えてみるのもいいでしょう。他人の視点や背景を想像することで、物事を多角的に認識するスキルが身に付きます。
クリティカルシンキングは、現代社会で必要な問題解決能力や意思決定能力を高めることにもつながり、より充実した人生を送るための基盤となります。クリティカルシンキングは、単なる思考法ではなく、仕事や人生に向き合う姿勢そのものを変える力です。
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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