2026年01月22日
「もうどうでもいい」「努力しても無駄だ」。そんな気持ちが胸を覆いつくし、行動が投げやりになってしまう。それが、自暴自棄の状態です。
誰にでも一時的に訪れる可能性はある心理的反応ですが、放置すると「挑戦を避ける」「人間関係が乱れる」「自己否定が深まる」「生活リズムが崩れる」など、長期的な心の健康に影響を及ぼします。
自暴自棄は「弱さ」ではありません。むしろ、心が限界を迎えたときの守るための反応でもあります。
このブログでは、自暴自棄の意味や原因、立ち直り方、そして周囲にいる人との関わり方まで、わかりやすく解説します。あなた自身、または大切な人の心を守るヒントとしてお役立てください。
自暴自棄とは、挫折や失敗、喪失などによって、自分への信頼や将来への希望を失い、「どうせ自分なんて」という投げやりな態度が前面に出ている心理状態です。
この状態では、未来への意欲が低下、責任を放棄しやすくなる、感情がネガティブに偏る、「努力しても変わらない」という無力感が強まる、といった変化が見られます。
一時的な感情として収まることもありますが、長期間続けば、うつ状態や引きこもり、対人関係の悪化へとつながる可能性があります。
まずは、自暴自棄になってしまう要因について、そのメカニズムも含めて解説します。
人生の節目で経験する大きな失敗。例えば、受験、仕事、恋愛、人間関係など、期待が大きいほど、うまくいかなかったときのショックも強烈です。
失敗>自己否定>未来への不信>努力しても無駄という流れが進むと、自暴自棄に陥りやすくなります。
失敗そのものよりも、「失敗をどう意味づけたか」が心理状態を大きく左右します。
長期間続くストレスは、心のエネルギーをじわじわ奪います。職場の険悪な人間関係、過剰に背負った責任、経済的プレッシャー、休息の不足などは、小さな負荷が積み重なって、気づかぬうちに「もう無理だ」という限界ラインを越え、投げやりな思考へとつながります。
ストレスを感じるということは、「今のままでは危険だ」と心がSOSを求めているサインでもあります。
「孤独は、毎日タバコを1箱吸い続けるのと同じくらい体に悪い」ともいわれるように、人は本来、つながりによって安心を感じる生き物です。
孤独は心に強いマイナスの影響を及ぼします。相談できる相手がいない、感情を共有できる場がない、周囲と比較して孤立感が深まると、問題を抱え込んだまま出口が見えず、投げやりな気持ちになりやすくなります。
孤立は、自暴自棄の強い増幅因子です。
自尊心が弱まると、「どうせ自分なんて」という思考が定着しやすくなります。自分の価値を低く見積もる癖がある人は、小さな失敗で深く落ち込み、他人の評価に過敏になり、未来への期待を持ちにくくなる、といった心理傾向が見られ、自暴自棄に近づきやすくなります。
過去に心が傷ついた体験があり、それが未解決のままだと、似た状況に直面したときに反応が再発しやすくなります。失敗体験のフラッシュバックや見捨てられた体験が積み重なると、心が守りの姿勢を取るようになり、結果として投げやりな行動を選ぶことがあります。
自暴自棄は、心の奥深くにある「痛み」が原因である場合も少なくありません。

ここで挙げる特徴は「当てはまるからダメ」というものではなく、回復のヒントを見つけるための視点です。
感情の揺れ幅が大きい人は、ネガティブな経験を過度に深刻化しやすく、瞬間的に「もうどうでもいい」という極端な思考に向かいやすくなります。
「100点以外は失敗」という認識を持つタイプは、理想に届かなかった瞬間に、一気に自己否定へ傾きます。完璧主義は達成感を生む一方で、破綻すると深い自暴自棄を引き起こしやすい特徴があります。
他者の評価や承認が自分の価値を測る尺度になっているタイプの人は、期待が裏切られたときに心が大きく沈みます。「他者の反応=自分の価値」になりやすいタイプです。
自己肯定感が低いと、ちょっとした失敗を致命的なものとして扱ってしまい、心が耐えられず投げやりな方向へ進みがちです。
「成功か失敗か」「白か黒か」など、二項対立的な思考のもとでは、少しでも欠けたら全てにおいて意味がなくなってしまいます。このタイプの人にとっては、物事は完璧でなければ意味がないのです。
人間関係においても、極端な思考を持つタイプの人がいます。どんなに仲のいい関係でも、他人と1から10までまったく同じ考えということはありません。違いがあっても「そういう考え方もあるよね」「ここはいいけど、そこだけは譲れない」という具合に、近寄ったり距離を取ったりしながらバランスを取って生きています。思考が極端だと、他人と意見が合わない場合に自分の考えを一切曲げられず、トラブルになることもしばしば。柔軟な視点を失うと、自暴自棄の入り口が開きやすくなるのです。
自暴自棄の状態は、心のエネルギー残量が底をつき、未来に向かう力が止まっている状態です。つまり、立ち直りの第一歩は、未来へ向かうエンジンを急に再始動させることではなく、いったん心の停止状態を理解し、回復に必要な順序を踏むことです。
流れを詳しく見ていきましょう。
自暴自棄の根底には、怒り・悲しみ・孤独・失望など複数の感情が絡み合っています。まず必要なのは、それらを否定せず、「今の自分にはこうした感情がある」と認めて受け入れることです。
感情を受け入れるとは、「感じてはいけない感情など存在しない」という立場に立つことでもあります。感情を書き出す、信頼できる人に話す、泣く、静かに過ごすなど方法は問いません。満ち満ちになって今にも噴き出しそうな心の圧力を下げることが最優先です。
自暴自棄のときは自律神経が乱れ、脳は戦うか逃げるかという緊張状態です。この状態では、冷静な判断をすることはできません。まずは、基本的な回復を優先することが大切です。
十分な睡眠をとり、食事を抜かず、スマートフォンやSNSから距離を置く時間を意識的につくりましょう。
何かを頑張ろうとするよりも、何もしない時間を確保することが回復につながります。休息は怠けではなく、心と体を立て直すために必要なものなのです。
心が休まると、自然と視野が広がり、思考の柔軟性も少しずつ戻ってきます。
自暴自棄は、「自分の価値の崩壊」が引き金になっていることが少なくありません。したがって立ち直りには、少しずつ自分の価値を積み直す作業が欠かせません。
おすすめの方法は、「今日できたこと」を1つ見つけることです。
例えば、朝起きられた、ご飯を食べられた、誰かに挨拶できた、外に出られた、こうした小さな行動です。一見小さく見えても、これらは「行動できた」という確実な証拠であり、自分の価値を再定義する材料になります。小さな「できた」が積み上がることで、「自分は大丈夫」という感覚が回復します。
心が折れているとき、大きな目標は逆効果。未来が遠すぎて、かえって無力感を強めてしまうからです。
こんな時に必要なのは「小さな行動」。5分だけ散歩する、引き出しを1つだけ片付ける、メールを1通だけ返信するといったように。こうした小さな行動が生まれると、脳は「私にもできた。頑張れた」と認識します。これは心理学でいう「自己効力感」の回復であり、立ち直りの鍵です。
孤独は、自暴自棄を強める最大の要素です。心が折れそうな時に最も必要なのは、「たった1人の理解者」です。アドバイスを求めるためではなく、気持ちを分かち合うためだけに相談するので十分です。人とつながることで、自分はひとりではないと感じられ、少しずつ希望が湧いてくるのを感じるはずです。
自暴自棄の状態では、感情が大きく揺れ動き、物事を長期的な視点で判断する力が大きく低下しています。
感情が不安定なときは、判断ミスが起こりやすいため、転職・退職・別れ・大きな買い物など、大きな決断は避けましょう。落ち着いたときの自分が改めて判断するまで、時間を置いたほうがよいでしょう。
一時的な逃避にはなっても、問題を悪化させるだけでなく、依存の危険性もあります。アルコールや薬で心の痛みをまぎらわせるのではなく、根本の回復が必要です。
自暴自棄のときは、怒りやいら立ちが他人に向かいやすくなります。攻撃的な行動は人間関係を悪化させ、さらに孤立を深めます。
自責は自暴自棄に拍車をかけます。自分を責めるのではなく、今の自分の状態を理解するという姿勢を持つことが回復の近道です。
自暴自棄は自然に治ることもありますが、放置すると慢性化しやすく、心の健康への影響が大きくなります。早めの対処が大切です。

自暴自棄の状態にある人と向き合うことは、周囲の人にとっても精神的に負担を感じやすいものです。そのため、本人だけでなく「支える側の心の安全」も守る視点を入れる必要があります。
ここでは、支える側の心理負荷にも配慮しながら実践できる関わり方を紹介します。
自暴自棄の状態では、本人は理解されない孤独を感じています。そのため、何よりも大切なのは解決策よりも聞く姿勢。
判断せず、否定せず、結論を急がないという心構えを持つだけで、相手の緊張はゆるみます。支える側も何かいいアドバイスを言わなければと焦る必要はありません。そこにいて話を聞くという行為自体が大きな支えになります。
共感とは、「あなたの気持ちはわかるよ」と示すことです。ここで大切なのは、相手の感情に巻き込まれず、感情そのものを理解しようとする態度です。「そんなに辛かったんだね」「それは苦しかったね」というように、「励まし」ではなく「理解」を示すことで、少しずつ相手の心が開いていきます。
「頑張って」「大丈夫だよ」といった言葉は一般的には良い言葉とされています。しかし、自暴自棄の状態の人は「頑張れない自分」を責め、「大丈夫ではない自分」を隠しているのですから、励ましはプレッシャーや孤立感を強める場合があります。ポジティブなことを提示されると、「自分のことを理解されていない」という感覚が強くなってしまうのです。 励ましは本人の回復段階に合わせて、慎重に使う必要があります。
周囲の人がすべてを背負う必要はありません。自分の限界を越えて支えようとすると、支える側が疲れてしまい双方が共倒れになってしまいます。
食事や睡眠に深刻な影響が出ている、自傷をほのめかす、仕事や学校に行けない状態が続くなどの場合は、専門機関、カウンセラー、医療機関への相談を促しましょう。
その場合、「あなたを助けたいからこそ、専門家の力を借りよう」という伝え方が有効です。
最も見落とされがちなのが、支える側の心の安全です。
自暴自棄の人と関わると、何とかしなければという責任感や言葉が届かない無力感、相手の感情に引きずられる疲労、頼られすぎることによる負担などが生じやすくなります。
支える側が疲れ切ると、無意識にいら立ちや距離の取り方の問題が生まれ、かえって関係を悪化させることも。
そのため、自分自身の休息を取ったり、誰かに相談したりすることをお忘れなく。責任を抱え込みすぎず、必要に応じて相手との距離を調整したりすることも大切です。こうした行動は決して冷たさではなく、支援を継続するための健全なセルフケアです。
支える側の心が折れないことが、長期的なサポートには重要です。
自暴自棄は、心が限界を迎えたときに起こる自然な反応です。もしそうなったとしても、自分の中に生まれた感情を否定せず、自分を大切に扱うこと。必要であれば専門家の力を借て、心の立て直しをめざしましょう。「回復が必要だぞ!」という心のアラームを見逃さないでくださいね。

\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ
ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
ニューモラルブックストアでは、よりよい仕事生活、よりよい生き方をめざす、すべての人に役立つ本や雑誌、イベントを各種とりそろえています。あなたの人生に寄りそう1冊がきっと見つかります。



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