2025年01月15日
人生の目標がある人とない人、どちらが幸せかと問われたら、あなたはどちらだと思いますか?
目標がないことは一見自由で気楽に思えます。ただ、目的地の定まっていない旅行は達成感が乏しいように、目標のない人生は心の充実感も得にくいもの。
この記事では「人生の目標がないことは本当に悪いのか?」という疑問を考えつつ、目標を持つメリットや目標がない人の特徴、目標の立て方について解説します。
結論からいうと、人生に目標がないこと自体が悪いわけではありません。ただ、達成感や充実感、生きがいを得たいと思うのであれば、自分に合った目標を持つことを強くおすすめします。
人生の目標が定まっている人は、日々どのような行いを積み重ねれば、目標に近づけるかを深く考えるようになるため、意味のない行動をとらなくなります。
例えば、資格取得やキャリアアップを目標に掲げる人は、達成への道筋である資格の勉強や自己研鑽に時間を費やすようになるでしょう。めざすものもなく、なんとなく勉強する人に比べて、「なぜ学ぶのか」という目的意識が明確であり、当然モチベーションも高くなります。
人生とは、一日一日の心と言葉と行いの積み重ねです。
(『ニューモラル心を育てる言葉366日』モラロジー道徳教育財団)
人生の目標を心に定めることで、日々の行動に意味が生まれ、仕事や暮らしの充実感も高まります。
人生は、自分の思い通りには運ぶことばかりではありません。「どうして自分がこんな目に!?」という思いがけない困難や逆境に直面した時、どう考え、どう行動するかでその後の人生の行方が変わってきます。
目標がない人は、不条理な境遇を前に、人生の希望を見出せなくなり、自暴自棄な行動をとってしまいがちです。一方、目標がある人は、人生という旅の道中で思いがけない困難に葛藤しながらも、そこに「意味」を見出し、道のさらに先にある目標に向けて自分を奮い立たせようとします。
例えば、スポーツ選手がケガを乗り越えて復帰をめざす過程では、目標が明確であればあるほどリハビリへのモチベーションが高く、回復も早いといわれます。目標が壁にぶつかったときの「心の支え」となり、回復力(レジリエンス)を高めるのです。
困難を乗り越える過程で得られる成長や達成感は、これから起こるであろう困難に耐え、乗り越える原動力になるでしょう。明確な目標が、どのような困難にも柔軟に対応できる精神的な強さを生むのです。
目標を持つと、達成に向けたスケジュールを組んだり、行動計画を立てたりする必要が生じ、この過程で自然と自己管理能力が育まれます。
例えば、「3か月で5キロ減量する」という目標を立てた場合を考えてみましょう。期間内に目標を達成するためには、食事の記録をつけたり、運動時間を確保するために時間の使い方を改善したりするなど、セルフマネジメント力が求められます。
そうして自己管理能力が高まると、日々の行動や感情のコントロールができるようになるため、人間関係においても一時的に沸いてきた感情に振り回されずに済みます。目標をもち続けることによって、結果的に仕事や生活のストレスが減り、心穏やかな人生が手にすることができるのです。
人生の目標がない人は、1日が「なんとなく」で過ぎてしまいがちです。
朝起きてから夜寝るまで、仕事や学校、家事など最低限のやるべきことはこなしても、それ以上に「なのためにこれをしているのか」を考えることが少ない傾向があります。その結果、突発的な出来事や他人の提案に自分の行動を左右されやすく、自分の意思が感じられない生活になりがちです。臨機応変と言えば聞こえがいいですが、長い目で見ると自己成長や達成感の欠如につながり、人生の充実感を感じにくい状態に陥ってしまいます。
目標がない人は、モチベーションの維持が難しいという特徴があります。
それは、何をめざして努力すればよいかが明確でないため、「頑張る理由」を見つけられないためです。趣味を見つけたり、特技を身につけたりしようという意識も薄いため、新しい挑戦を避け、現状維持に甘んじることが多くなります。このような状態が続くと、「自分には何もできない」と思い込み、自分を否定する悪循環が増え、 毎日の活力が不足しがちです。
目標がないということは、将来のビジョンが描けていないということでもあり、人生の不安を抱えがちです。一般的にキャリアの方向性が定まっていない人は、定まっている人に比べて昇進やスキルアップに差がつきやすいとされます。
不安感は日常生活にも影響を与えます。何をするにも慎重になり、積極的に行動しようという気力が起きにくくなるため、心の健康にも悪影響がでやすい点は注意が必要です。
人生の目標を立てるためには、まず、自分が本当に興味を持っていること、どのようなことに情熱を感じるのかということを「自己理解」する必要があります。
自分の興味や関心が分からない人ほど、他人と自分を比較してしまうことが多く、他の人の興味や世間の流行に流されて自分を見失いがち。結果として、自分の価値観や「やりたいこと」から紐づいた目標を設定できず、どこか「これは自分の人生ではない」と感じてしまうことがあります。自己理解の不足は、人生の目標が立てられない最大の理由となります。
目標を立てるという行為には、「達成できなかったらどうしよう」という失敗への恐怖も伴います。
失敗への恐怖心は、過去に挫折を経験した人ほど強くなる傾向があります。プロジェクトや試験で失敗した経験がある人は、その記憶が新たな挑戦への足かせとなり、 「また同じような結果になるのではないか」と考えてしまいがち。このような恐怖が目標を立てること自体を避ける原因となり、結果として現状維持でよしとしてしまうのです。
人生の目標を定めるには、失敗や挫折への恐怖心を乗り越えることも必要です。
完璧主義の人は、自分に求める基準が非常に高く、「もし基準に達することができなかったらどうしよう」という不安が前に出がちです。実際に手が届く、現実的な目標を設定することができないのです。その結果、「どうせ達成できないなら目標なんていらない」と考え、行動を起こす前に諦めてしまうことが多くなり、目標が立てられません。
膨大な選択肢が存在している現代では、あれもこれもと迷いが生じ、目標を1つに決めることが難しいと感じる人が増えています。あまりにも選択肢が多すぎて、「これだ!」という決断ができず、身動きがとれなくなる状態は「決断麻痺」と呼ばれ、情報社会ならではの心理現象です。こうなると、目標を1つに定めることができず、自分がどの方向に進むべきかさえ決められないことも……。
目標を立てるためには、自分の将来をある程度、想像しなければなりません。しかし、不確実で先行きが見通しにくい現代では、長期的なビジョンを描くことは難しいもの。何事も効率重視で、目の前のタスクに追われがちな現代の環境も将来を描く余裕を失わせています。
とはいえ、目の前のことに集中してばかりいると、大きな目標を考えることが後回しになり、結果として目標が立てられないという状態になりかねません。
年の始めや年度替わりに、今年こそは目標を立てて頑張ろうと考える方は多いでしょう。目標を立てる際に役立つヒントを紹介します。
人生の目標を立てるには、まず自分自身を深く知ることから始めましょう。
仕事や家事に追われていると、自分の興味や価値観に目を向ける機会は少なくなりがち。休日や少しの空き時間を活用して、じっくりと自分が本当に大切に思っていることを考えることが大切です。
例えば、こんな質問を自分に投げてみてください。
「子供のころ夢中になっていたことはなんだった?」
「最近、心から楽しいと感じたことは何?」
「どんなときに達成感を感じる?」
さらに、自分の価値観を明確にするために、自分が大切だと思うもの(例:家族、健康、キャリア、趣味など)を書き出し、優先順位をつけてみましょう。自分の棚卸しを行うことで、自分の人生で何を優先すべきかが少しずつ見えてきます。
目標設定において効果的なのが「SMART」のフレームワークです。この方法は、具体的で達成可能な目標を立てるために役立ちます。
【S=Specific(具体的)】
目標を抽象化せずに、具体的に表現します。
例えば「健康になりたい」ではなく、「健康維持のために、週に3回30分ジョギングをする」とします。【M=Measurable(測定可能)】
進捗を測る方法を決めます。
「毎月体重を500グラム減らす」など、達成度を評価できる基準を設けましょう。
【A=Achievable(達成可能)】
現実的に達成可能な目標を設定します。
週に3回ではなく、「毎日2時間ジョギングをする」でも問題はありませんが、忙しい日常を忘れず、実現可能な範囲に設定することが大切です。
【R=Relevant(関連性を持たせる)】
目標が自分の価値観や将来像に関連していることを確認しましょう。目標がモチベーションを高めます。
【T=Time-bound(期限)】
目標に期限を設定します。
「半年後までに3キロ体重を減らす」など、明確なタイムリミットが行動を後押しします。
このフレームワークを使って、無理なく実行できる目標を組み立ててみましょう。
大きな目標をそのまま追いかけようとすると、達成までの道のりが遠く感じられ、途中で挫折しがちです。そのため、目標を小さなステップに分解することが重要です。
例えば、「語学をマスターする」という目標を立てた場合、「1日30分勉強する」「毎月単語を300個覚える」「3か月後に簡単な日常会話ができるようにする」といったように、小さな目標に分解することで、達成感を味わいやすくなり、モチベーションも維持しやすくなります。
さらに、1日の中で一番そのことに集中して取り組める「ゴールデンタイム」を見つけて取り組むのも効果的です。朝食前の10分なのか、通勤時間なのか、寝る前がゴールデンタイムなのかは人によって異なります。
一人で目標を追いかけるのが難しいと感じたら、ためらわずに周囲の助けを借りることをおすすめします。
家族や友人に目標を共有することでサポートを受けられたり、同じ目標を持つ仲間と一緒に取り組むことでモチベーションを上げたりもできるでしょう。SNSで同じ目標を持つ人々とつながることもいいですね。また、知識やアドバイスを得るためにコーチやメンターを探すのもよい方法です。
目標を立てた後で状況や環境が変化したら、当初の目標にこだわりすぎず、柔軟に見直すことも重要です。
時には予定外の出来事が重なり、目標に掲げた期限を過ぎてしまうこともあるでしょう。そんなとき、できなかった自分を責めるのではなく、目標の内容や期限を調整することで再挑戦するのも手です。
また、一度立てた目標を変えてはいけないという決まりはありません。定期的に進捗を振り返り、「この目標は今の自分にとって意味があるだろうか?」と問いかける習慣をつけましょう。目標を再考することで、より今の自分にフィットする内容に整えることができて、目標を達成しやすくなります。
最後に、よい目標を立てるために、特に注意してほしい3つの視点をお伝えします。
大きな目標は魅力的ですが、現実とのギャップが大きいほど挫折感や無力感を味わうリスクがあります。具体的で達成可能な目標から始めましょう。小さなところから少しずつ達成感を積み重ねていくことで、徐々に大きな目標に近づいていくイメージです。
目標を立てる際に、「家族が期待しているから」「同僚に認められたいから」という理由で決めると、達成する過程が苦痛になることがあります。他人の期待に応える目標は、背中を押されているような感覚を覚えますが、自分自身が心から納得していないとモチベーションを維持しにくいものです。
例えば、本当は芸術の道に関心があるのに「親が期待しているから飲食店の跡を継ぐ」という目標を決めた人が、頑張るプロセス全体がストレスとなり、最終的に燃え尽き症候群になってしまう……という可能性もあるのです。目標は他人ではなく、自分自身の内なる価値観に基づいて設定することが重要です。
目標を立てる際に期限を設けなければ、「いつかやる」「いつか達成したい」といった曖昧な状況に陥り、結局行動に移せないことがほとんどです。
「英語を話せるようになりたい」という目標を立てても、具体的な期限がないと、数か月たっても「何も始めていない」という状態かもしれません。「1年後にTOEICで700点」のような明確な期限を設定することで、計画を立てやすくなり、具体的な行動につながります。
目標設定を失敗しないためには、定期的に立てた目標の振り返りを行い、自分にとって意味のある目標を設定することが成功への第一歩です。
人生の目標がないことは悪いことではありませんが、目標があることで得られるメリットのほうが多いものです。大切なのは無理に大きな目標を立てるのではなく、自分に合ったスモールステップから始められる目標を見つけること。少しずつステップアップしながら、目標を持つ喜びを体感してみましょう。
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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