2024年03月08日
褒め言葉として使われることが多い「素直さ」。
円滑な人間関係や人として成長するために大切な資質のひとつで、さまざまな場面を通して人生に大きく影響を与えます。
ここでは素直な人の特徴と「素直さを身につける方法」について紹介します。
素直という言葉は「飾り気がなくありのままなこと」「性格や態度がひねくれておらず、まっすぐなさま」「心の正しいこと」などを意味します。
よく、素直と取り違えられるのが「わがまま」です。しかし、言葉の意味から見ても、間違ったことや自分のわがままで他人を困らせるようなことをするのは、それがどんなにありのままの自分だとしても、素直であるとは言えません。
では、まっすぐで心の正しい「素直」な人とはどのような人なのか、その特徴を見ていきましょう。
裏表がないオープンマインドの持ち主で、自分の言葉で気持ちや意見を率直に伝えます。
率直にといっても、それは不満やイライラといった負の感情をストレートに出すことではありません。相手にいつも優しい言葉と優しい視線を向けるため、周囲からは「安心して付き合っていい人」「信頼できる人」と好印象を持たれます。
一緒にいても人を不快にしないため、職場でもプライベートでも気がつくと周囲に人が集まります。
他人の意見を聞いたとき、たとえそれが自分の考えと違っていても、異なる視点を尊重しようとします。
「他を受け入れる」という柔軟な態度は素直な人の大きな特徴であり、人の話を聞く際に肯定から入るポジティブな姿勢は周りの人から好かれます。
素直な人は、自らの間違いやミスを認めて反省ができます。
他人から間違いを指摘されてもそれに逆らうことはせず、真摯に自分の誤りを受け止めてアドバイスを実行に移してみるなど、フットワークの軽さもあります。自分と向き合い反省することは、成長のための貴重な機会になります。
素直な人は、他人の助けや支援に対して心からの感謝を示します。
感謝の言葉を伝えられて嫌な気持ちになる人はいないでしょう。「うれしい」「おいしい」「ありがとう」などの感謝の気持ちをストレートに表現するので、気持ちがまっすぐ相手に伝わり、心地よい人間関係を築くことができます。
新しい環境や状況に柔軟に適応し、変化を受け入れます。
新しい世界に飛び込むことを恐れず、不確実な状況でも平静を失わないで冷静に対処することを心がけています。初対面の人とも馴染むので、知らない場所で新しい人間関係を構築するのが上手です。
素直な人の柔軟性やポジティブな考え方は、さまざまな価値観を持つ人が集まって働く職場でもプラスに働きます。
多くの仕事は一人では完結できません。素直な人は、チームとして成果を出すために周囲との協力を大切にするので、職場の人間関係もうまく回り、仕事の効率と成果が向上します。
目標を共にする仲間とのコミュニケーションは、職場に協力的な雰囲気を作り、結果的にチーム全体の士気を高めることにつながります。
上司や同僚からフィードバックがあった際も、そのアドバイスを前向きに受け止め、問題点を改善しようとする意欲と柔軟性があります。
相手の話を聞いて業務改善や自己成長に生かそうとする姿勢は職場でも評価されるので、「あの人なら」と周囲に安心感と期待を与えます。
打ち合せやプレゼンテーションといった自分の意見を発表する場で「何か発言しなくては……」「失敗したらどうしよう……」と気を揉むことがあるでしょう。
自然体で素直な人は、発言を求められるような場でも臆することなく自らのアイデアを積極的にどんどん提案します。「他人にどう見られるか」という不安よりもチームや会社への貢献を大切に考えているからこそでしょう。
続いては恋愛面での特徴を紹介します。素直な人は、相手の懐に飛び込むのが上手で、いわゆる「モテる」タイプが多いようです。
相手が自分と違う価値観を持っていても否定したり、距離をとったりするのではなく、持ち前のオープンマインドで「そういう考え方もあるのか」とポジティブに受け取ります。
状況を理解して相手の気持ちに寄り添おうと努力する姿勢は、誰からも好かれます。
相手に抱く好意はストレートに伝え、相手の気持ちも駆け引きや深読みせず受け取るので、お互いの気持ちを確認した後は関係が進展しやすいタイプです。甘え上手で無邪気な面もあり、男女ともに「かわいらしい」と受け取られることも。
関係が深まることで見えてくる相手への不満も、素直に伝えることができるので、お互いにストレスをため込まず、健全な関係を築きます。
恋人関係になってからも、相手に「察してもらう」ことばかりを期待するのではなく、愛情や不満などの気持ちを伝えることを怠りません。
対話を通じて日常的に気持ちのやり取りができるので、長く安定した関係が続きます。
言葉づかいや仕草にも癖があるように、心にも知らず知らずのうちに癖がついています。素直になれない人には、心づかいや考え方の癖があるようです。その特徴をみていきましょう。
「素直」の反対にあるのが「頑固」です。自分の意見に固執し、新しいアイデアや変化を受け入れにくい傾向があります。固定観念に縛られ、先入観や偏見が強い場合もあります。
一度「こうでなければならない」と思い込んでしまうと、他人のアドバイスや批判を受け入れることが難しくなりがちです。
自信のなさから他人のアドバイスを批判ととらえ、自分を守ろうと攻撃的な態度を取ってしまうこともあります。
「ありのまま」の意味を「自分勝手でいい」「わがままでいい」と取り違えてしまうと、自分本位で他人の立場や感情を考慮しない思考になります。
そうなると、他人を広い心で受け入れる隙間はなくなってしまいます。
『素直な心に花が咲く――苦境を乗り切る実践哲学』(モラロジー道徳教育財団刊)の著者で、人格向上のための「素心塾」を主宰する池田繁美さんは、著書の中で「素直さとは人の心や世の中の流れにそった正しい生き方ができることです。また、自分もまた自然の一部だとして、その身を処していくことです」といっています。
素直になるためには何から始めたらいいのか。その方法を見ていきましょう。
上述の池田さんは、「素直である」ためには、人の言うことに反論したくなる気持ちをぐっと抑えて、まずは「はい、わかりました」と心を開いて相手を受け入れることが必要だといいます。
「『はい』という返事は漢字の『排』。つまり「障害物を排除する」というときに使う『排』の字につながります。
ここで「排除」すべきは、自分自身の心であって決して他人ではありません。自分のわがままや、いら立つ感情をすて去るための声かけこそが『はい』という返事です。
(中略)心を開いて「はい」という返事をすると、『排除』の『排』は相手に敬意をあらわす『拝』という字にたちまち変わります。相手よりも自分を優先させようとする気持ちが強いと、どうしても「はい」という返事はすんなりとは出てこないでしょう」(前掲書)
自分自身の強みや弱みを理解し、自己認識を高めることが大切です。先の池田さんは、それを「自己を知り、自己を正す」と説明します。
「『自己を知る』とは、自分の欠けているところに気づくこと。『自己を正す』とは、その欠点を自分自身であらためていくこと」。それは、「『他人の欠点に気づき、他人の欠点を正す』よりも、数倍むずかしく、大切なこと」なのです。
自分の気持ちを受け入れ、正直に表現する練習も有効です。私たちの中にある「自分が自分が」という気持ち、それそのものが悪いわけではありません。その気持ちが大きくふくらみ過ぎて、不適切な形で表に出てきてしまうことに問題があるのです。
たとえ自分の中で生まれた「つらい」とか「苦しい」などの負の感情であっても、気持ちを否定する必要はありません。
自分を優先したくなる気持ちや、負の感情も大切な自分の一部です。まずは、自分の中にそうした感情があることを受け止めてみましょう。そのうえで、負の感情が大きくなりすぎて手に負えなくなる前に、自分でコントロールする術を身につけることが大切です。
気持ちを言葉にするのが苦手な人は、周囲に人がいない場所で「私はこう思っている」と小さく声に出してみてもいいかもしれません。
他人との関わりを改善するためには、相手の意見を尊重して積極的に話を聞く姿勢が重要です。
先の池田さんは、人間関係を良好に保つひとつの考え方として、「相手に『不快さを与えない、さらには安心と喜びを与える』言動が必要」と述べています。
「お互いさま」や「おかげさま」の気持ちを忘れずに、素直な心で周囲との信頼関係を構築することを意識しましょう。
素直という言葉には「ありのまま」という意味がありますが、これは持って生まれたものだけを指すのではなく、普段の生活で意識して実践することで身につけることができます。
素直な人が持つ「他人を受け入れよう」とする柔軟な姿勢や人との信頼関係を築く力は、すべての人間関係において大切な資質でもあります。
素直さを身につけた先には、豊かな人間関係が広がり、より良い未来への道が開かれるはずです。
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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