人の幸せを喜べないのはなぜ?原因や直す方法も解説

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友人の結婚、同僚の昇進、知人が立ち上げたビジネスの成功。「おめでとう!」と笑顔で祝福の言葉を口にしながらも、心のどこかで素直に喜べていない自分にふと気づいたことはありませんか?
自分の嫌な一面を見たようで、いい気持ちはしないかもしれませんが、そのように考える背景を少しひもとくと、さまざまな原因が複雑に絡み合っているものです。今回は「人の幸せを喜べない心理」について一緒に考えてみましょう。

* この記事の要点 *
・人の幸せを喜べないのは心が余裕を失っているサイン。満たされない承認欲求が隠れていることも。
・出世=成功、結婚=幸せなど「幸せの定義」が少ない人は劣等感を抱きやすい。
・幸せの形は人それぞれ違うから、誰かと自分を比べても仕方がない。
目次▽▲▽

人の幸せを喜べない人は多い

SNSや人づきあいをする中で、誰かの充実ぶりを目にした瞬間に胸がチクリと痛む。素直に祝福したり、一緒に喜んであげたりするべきだとは思っていても、内心に生まれた「どうしてあの人ばかり?」「なんだか置いていかれた気がする」といったモヤモヤが消えない。このような気持ちに覚えがある人もいるかもしれません。実はこうした感情は誰にでも起こりうる自然な反応です。
その感情に気づいたとき、むやみに自分を責めたり自己嫌悪に陥ったりするのではなく、気持ちが落ち着いたタイミングで「なぜそう感じたのか?」について考えてみることが大切です。

麗澤大学特任教授の廣池慶一さんが監修した『まんがでわかる とことん優しい人はうまくいく』は、人生をより良く生きるためのヒントが散りばめられた一冊です。
本の中では、一般的に良くないものとして取り上げられることの多い「利己心」について、「自分を守るセンサー」と言い換えて説明しています。ある方面から見れば好ましくない感情であっても、そこに至るまでの過程やその感情が存在する理由があるのかもしれません。

どんなに人柄が良いと言われる人でも、本能的に自分のことを優先させる利己心や生きるための欲は持っています。利己心が完全に悪者かといえば、そうではありません。利己心とは、言い換えれば自分自身を守るセンサーのこと。嫌なことがあればその状況を避けたくなりますし、自分の認めたくない部分から目をそらしたりもします。私たちは誰もが無意識に自分自身を守るセンサーを備えていて、それがときに強く働き過ぎてしまうと誰かを傷つけてしまいます。

出典:まんがでわかる とことん優しい人はうまくいく――い人で損しない3つの法則

人の幸せを喜べない人の5つの特徴

まずは、人の幸せを喜べない人の特徴についてご紹介します。

他人と自分を過剰に比較してしまう

他人の幸せについて耳にすると、人はつい自分の現状と比べてしまうもの。「私だってこんなに努力しているのに」「なんであの人だけうまくいくの?」という感情は“比較”の延長線上で生まれます。比較癖は自己否定を強める一因にもなりますから、人の幸せを素直に喜べなくなってしまいます。

承認欲求が強い

自分の価値を周囲からの評価などを軸にしてはかる「承認欲求が強い人」は、他の人が注目されることで自分が埋もれてしまうような不安を覚えます。
「世間から認められたい」「もっと注目されたい」という欲求の強い人の目には、他人の幸せが自身の願いの妨げになるものとして映るようです。相手のことを素直に祝福することができず、「私の方が幸せだし」などとアピールして相手を辟易させてしまう人も少なくありません。

自己肯定感が低い

自己肯定感は「ありのままの自分」を認める感覚のことですが、これが著しく低いと現在の自分自身について「これでいい」とは感じられず、他人が幸せそうにしている様子を「自分に対する否定」のように感じてしまうことがあります。自分自身の価値を正しく見出せていないせいで、相手に「幸せを見せつけられている」ように受け取ってしまうという認知のゆがみが生じている状態です。

人生に不満を抱えている

仕事、恋愛、家庭、将来への不安など、日々考えることはたくさんありますが、自分の人生に満たされていない感覚が強く、現状に満足できていないと客観性を失いがちです。すると、心に余裕がなくなり、「あの人ばかりがずるい」「自分ばかりが損をしている」などネガティブな感情に振れやすくなり、他人の幸せそうな様子さえ「聞きたくない」「目に入れたくない」という状況になってしまいます。

過去の人間関係で傷ついた経験がある

裏切りや嫉妬など、学校や職場での人間関係で傷ついた経験を持つ人は、他人の幸せに対して警戒心を抱きやすく「素直に祝っても損をするだけ」と考えてしまうことがあります。警戒心は妬みや嫉妬につながることもあり、過去の痛みがフィルターとなって過剰に反応しがちです。

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人の幸せを喜べない人の5つの原因

続いては、人の幸せを喜べない原因についても考えてみましょう。

幼少期の家庭環境

幼少期の家庭環境や親との人間関係による影響が、大人になってから続いている人は少なくありません。子供の頃に褒められた体験が少なく、日常的に兄弟と比較されるような環境で育つと、無意識のうちに「誰かの成功=自分の敗北」というイメージが固定化されてしまいます。
何かを達成したタイミングでないと親の関心が得られなかったなど「条件付きの愛情」を受けてきたことにより、幸せに対しても「奪い合うもの」というイメージを抱き、他人の幸せを自分にとっての「脅威」と捉えてしまうのです。

成功=競争という思い込み

ある人が利益を得るためには、別の人が必ず損失をかぶらなければならないという考え方を「ゼロサム思考」と呼びます。このような競争原理にとらわれてしまうと、自分以外を常に競争相手として見るようになります。このような思考に陥ると、人間関係において他人を信頼できなくなり、ビジネスにおいても他者と協力する機会を失います。
シンプルに言えば「あなたが得すると私が損する」ということなので、他人の幸せや成功は「自分のパイを奪われたのと同じ」と考えてしまうのです。

自分の欲求が満たされていない

睡眠、食事、人間関係など、基本的な欲求が満たされていない状態で余裕を失い、イライラした気分になるのは当たり前です。自身の“足りていない”感覚が強くなればなるほど、他人が手に入れたものに対して「うらやましい」「ずるい」と感じるようになります。人間の欲求や欲望というものは、いい意味でも悪い意味でも“底なし”です。

俳優デミ・ムーアの体を張った演技が話題になり、多くの映画賞に選出された映画「サブスタンス」の主人公は「若さと美貌」を渇望する元人気女優。50歳の誕生日に長年レギュラーを務めたエクササイズ番組を突然降板することになり、ひょんなことから手に入れた違法薬品を自分自身に注射して、「スー」という名の自身の“分身”を生み出します。
より若く、より美しい自分の上位互換のようなスーとは「1週間ごとに入れ替わらなければならない」という厳格なルールがありましたが、ハリウッドで名声を得たスーが次第に暴走を始め、ふたりの関係はバランスを失っていきます。
華やかなエンタメ業界の闇と自分自身の欲望に飲み込まれた人間を描いたSFホラーです。

感情のコントロールが苦手

どのような人にもネガティブな感情は生まれるものです。実は、そのこと自体は大きな問題ではありません。重要なのは、ネガティブな感情が表出した際にも冷静に自分自身を見つめ、その感情をコントロールできるかどうか。何よりも自分の感情と「うまく付き合うこと」が大切です。
妬みや焦り、不安といった感情をうまく受け流したり整理したりするスキルを持たないと、あなた自身がいつまでもネガティブな感情に支配されたままで生きることになります。それでは他の人に対する「なんであの人ばかり……」という気持ちからは抜け出せません。

幸せの定義がせまい

人それぞれに幸せの形が異なることに気づかず、「出世=成功」「結婚=幸せ」といった固定観念に縛られていると、自分の人生の軸を見失います。多様な幸せのあり方を知らないでいると、集団内での優劣に過敏になってしまうもの。隣にいる人が手にしたものを見るだけで「自分は持っていない!」と劣等感が刺激されてしまうのです。
先ほどご紹介した映画「サブスタンス」の主人公は豪奢な集合住宅にひとり暮らしをしており、お金に困っている様子もないのに、趣味といえる趣味も持たず、家族や親しい友人の存在も感じられませんでした。
もし、彼女がポップスターとしての需要とは異なるところに「人生の価値」を感じられる日々を送っていたのであれば、また違うストーリーがあったかもしれません。

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人の幸せを喜べるようになるためには?

人の幸せを喜べるようになるためにはどうすればいいのでしょうか。前出の『とことん優しい人はうまくいく』では、自分の心の過ちに気づいた際に「省みる」効果について説明しています。

「穴の第一法則」をご存じでしょうか・これは「自分が穴に落ちたと気づいたら、まずはその穴を掘るのをやめることが大事だという教えです。「間違えてしまったかな」「なんだかうまくいっていない」と気づいたら、これ以上悪くならないように、まずは立ち止まることが最優先です。

前掲書

人の幸せを喜べない自分に違和感があるということは、ここで言う「穴に落ちたと気づいた状態」です。すでに自分の課題が分かっているのですから、あとはそれ以上「穴を掘る」のをやめればいいだけのこと。ここからは具体的な方法についても考えてみましょう。

自分の幸せに目を向ける

人の幸せを手放しに喜べないのは、幸せそうな「あの人」の陰に入ってしまったようで、なんだかここにいる自分が幸せじゃない気がしているから、かもしれません。そうやって他人の幸せにばかり目を向けていると、自分の人生が空疎(くうそ)に感じられるもの。
ですが、その幸せは「あの人のもの」であり、あなたが同じ状況に置かれたからといって、同じように幸せになれるわけでないのが難しいところです。
人が考える「幸せの形」はそれぞれに異なり、ひとつとして同じものはありません。人に囲まれることに喜びを感じる人もあれば、ひとりで静かに過ごす時間に幸福を感じる人もいます。お金や若さのように、世間一般的に「あればあるだけいい」と言われるような指標もありますが、それは本当にあなたが心の底から欲しているものでしょうか?

比較ではなく共感を意識する

それほど仲良くない相手から寄せられる「祝福の言葉」に含まれた嫌みや少しの悪意に人は敏感に気づくものです。その分、自分の喜びに共感し、素直に「おめでとう」と伝えてくれる相手には安心感があります。
もともとの相手との関係性もありますが、幸せを手に入れた人と自分を比べて「自分は恵まれていない」「私には関係ないこと」と考えるのではなく、「ここまで来るのに、どれだけの努力をしてきたんだろう」と思いを馳せてみましょう。相手がこれまで積み上げてきたものを認め、「うまくいってよかった」「自分もそうなれたらいいな」と思えたなら、もう大丈夫です。

感情を言語化する習慣をつける

そのときの状況や頭に浮かんだことを、ノートやスマホのメモ機能に書き出してみるのもお勧めです。たとえば、家族がやっと夢をかなえて喜んでいるのに素直に祝福できない。一緒に婚活を始めた友達が先にゴールインして気が焦る。自分が指導係をしていた後輩が大きな仕事を任されて実は悔しいなど、1日の終わりに自分の感情にピントを合わせてみるのです。
ひとりでモヤモヤと考えていると、それがすごく「大きなこと」のように錯覚しがちですが、人の幸せを喜べない自分を責めたり、恥ずかしく思ったりする必要はありません。
そこにある感情をただ言葉で「説明する」だけでも、自分と感情の間に適度な距離が生まれ「まぁ、そういうことあるよね」と状況を俯瞰(ふかん)できるようになるもの。周囲の人に軽く話すのも同じ効果があります。あまりシリアスになりすぎないのがポイントです。

幸せを分け合うマインドを持つ

人の幸せを喜べないのは、あなたが心のどこかで「あの人が取っちゃったから、もう自分には回ってこない」と思っているからではないでしょうか?もしかしたら「自分が手に入れていた」かもしれない幸せを奪われてしまったように感じているのかもしれません。先ほどご紹介した「ゼロサム思考」ですね。
実際のところ、幸せの定量などというものは決まっておらず、宝くじのように1等が○本、2等が○本とも数えられません。むしろ、他人の成功に「私も続きたい」とはっぱをかけられたり、相手に拍手を送ることで自分の心に温かいものが返ってきたりするなど、いい影響の方が断然多いはずです。

小さな成功体験を積み重ねる

人によって幸せの形がそれぞれ異なるとすれば、今できることは目の前にある「やるべきこと」に真摯に取り組むこと。自分がやろうと決めた目標を「達成した」「終わらせた」という体験は「自分ならできる」という自己効力感や自分自身に対する信頼感を高めます。取り組みを続けた先に、あなただけの幸せが見つかることもあるでしょう。
その成果の大小にかかわらず、「1週間継続して運動できた」「先延ばしにしていた仕事をついに片づけた」など、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。ひとつのことに集中していると、周囲の人との些細な優劣もがだんだんと気にならなくなってきます。

SNSから距離を置く

就職や昇進、結婚、出産など、SNSには人々の晴れがましい一瞬があふれています。SNSに投稿される写真や動画は必ずしもリアルな生活を切り取ったものではありませんが、無意識にスマホの画面に映った幸せと自分の日常を比べずにいるのは容易ではありません。
自分自身の状況次第では心がざわついたり、人の幸せを祝福するような気持ちになれなかったりすることもあるでしょう。それで自己嫌悪に陥るくらいなら、SNSから距離を置くのが一番です。SNSやネットニュースを読むことに費やしていた時間を、これからはもっと別のことに使ってみませんか。

他人の努力や背景にも目を向ける

気ままにやっているように見えて、世の中をあっと驚かせる偉業を達成する人もいれば、なんなく成功を手に入れたように見える人もいます。彼らの多くは成功に至るまでの道のりや苦労を延々と語ることは好みませんが、成功の裏に人知れぬ努力や試行錯誤があったであろうことは想像に難くありません。「ここまでくるのに何があったんだろう」と背景に思いを寄せると、心の内から自然と相手に対する尊敬の念が湧いてきます。ここまでくると、もう無邪気に「ずるい」とか「うらやましい」とは言えなくなります。

まとめ

この記事を読んでいる人はきっと「人の幸せを素直に喜べない自分」を居心地が良くないと感じているのでしょう。そんな自分を「直したい」と考えている人もいるかもしれません。
そのような方にお伝えしたいのは、人の幸せを喜べないのは「あなたが嫌な人間だからではない」ということです。自分の置かれた立場や状況によって物事の受け取り方は簡単に変わるもの。今回はたまたまそういうタイミングに当たってしまっただけですから、自分から生まれた気持ちをぜんぶ否定する必要はありません。
もし、今後も相手と接するのがつらければ、静かにそっと離れるのもまた選択肢。自分自身の幸せと真摯に向き合うことを続けていれば、いつか他人の幸せを喜べるようになる日が来るはずです

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\ この記事の監修者 /

ニューモラル 仕事と生き方ラボ

ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。

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