2024年07月12日
人が生活していれば必ず生まれる作業が「家事」。日常的に家の中の誰かがやらなくてはいけないのに、子供の頃にしっかりと学校で習うこともなく、明確なメソッドが確立されているわけでもありません。
一部の家事研究家などはいるものの、普通は自己流で「なんとかやっている」という人が大半ではないでしょうか?
しかしながら、時には立ち上がる気力を失い、「まったく家事をやる気が出ない」という日もあるでしょう。その理由や解決方法について考えます。
家事には料理や掃除、モノの管理やメンテナンス、整理整頓などさまざまな種類の作業があります。
食事ひとつとっても、まず献立を考え、食材の買い出しがあります。料理ができたらそれを人数分のお皿に取り分ける必要がありますし、食後には使った調理器具や食器を洗わなければなりません。
さらに、それらを食器棚やもともとあった場所に片づけ、テーブルを拭きあげて、やっとすべての作業を終えることができます。
実際に手を動かすまでには無数の選択と判断が存在します。普段から家事をしている人なら当たり前のことですが、実際に調理する時間よりも、その前後の作業に時間がかかったりするものです。
だから、普段から家事をしている人にとっては、家事をときどきしかやらない人がたまたま気が向いた時に「食事をつくった」だけで、その前後に発生する作業を考慮せず、“やったつもり”でキッチンを汚しっぱなしにしているのを見て、イライラしてしまうのです。
どこまでいっても終わりがなく、高みを目指せば頂(いただき)が目の前に立ちはだかる――。禅問答のような日々の作業こそが家事。
さらには、地味で目立たない作業も無数に存在します。たいてい、そのような「名もなき家事」は公平に割り振られず、毎回同じ人に負担がかかることになります。
やる気が出ない理由はひとつではなく、いくつかの要因が同時に存在していることが多いようです。一体どのようなことが家事のやる気を削いでしまっているのでしょうか?
普段から家事がたまりすぎないよう、毎日無理のない範囲で「少しずつこなす」ことが大切ですが、それを知ったところで、疲れすぎて立ち上がれない人にとっては何の役にも立たないことでしょう。
仕事や育児、介護などでエネルギーを使い切ってしまい、家のことをやる気力が残っていないのです。
育休中など、ずっと家の中にいたのに「きょうも何もできなかった」と自分を責める人がいますが、小さな子供がいる空間で家事と子供のお世話をどちらもこなすのは、誰にとっても至難の業です。
先ほど「禅問答のよう」と表現しましたが、家事は繰り返しの作業が多く、それを単調で面白みがないと感じる人がいます。
モチベーションを保てずに「なぜ私がこんなことをやらなくてはならないのか」と憤る人もいるかもしれません。
やり方やアイデア次第では家事に楽しさを見出したり、新しいものを取り入れたりすることもできるはずですが、一度「おもしろくない」と苦手意識を持ってしまうと、それも難しいようです。
本当は興味を持って取り組めば、どこまでも広く深い世界が広がるのが家事ですが、家庭というプライベートな場所で行われるため、それを極めたからといって社会的に評価されるわけでないのも気分がのらない一因でしょう。
家事は嫌いでないけれど「量が多すぎて、どこから手をつけたらいいのかわからない」というケースもあるでしょう。
単身であれば1週間くらい洗濯しなくても大した量にはならないかもしれません。ですが、それが家族4人であればどうでしょうか?
一般的な家庭では1日あたり1人分の洗濯物の量は約1.5キロといわれます。となると、1日あたり6キロですから、もし1週間放っておいたら……なんと42キロ。
やらなければいけないのは洗濯だけではありませんから、目の前の家事の山に萎えてしまう人がいても不思議ではありません。
自宅に自分以外の誰もいないのに、空調の効いたリビングのソファーで昼寝するような状況に対して、自分で自分が許せないタイプの人がいます。
そのような真面目でしっかりした人ほど、普段から「何かしないと!」と追われるように家事に取り組んでいるかもしれません。
家事が好きで好きでたまらないという人は別として、家のことばかり考えていると気疲れしてしまいます。無理に外に出る必要はありませんが、意識して「何もしない」時間をつくることも大切です。
夫婦共働きが主流の時代、家族の誰かひとりに負担がかかりすぎているのならば、役割分担の見直しが必要です。
その人がいないと家庭が回らないような状況は、どの家族にとっても健全ではありません。これからは子供を含め、そこにいる全員が「家族の一員」として主体性を持って家事に取り組む雰囲気づくりが大切です。
数日くらいなら特に問題にはなりませんが、やる気が出ないからといって何もやらずにずっとその状態でいるわけにもいきません。
家事はたまればたまるほど後が大変になりますから、どこかで気持ちを切り替え、「えいっ!」と重い腰を上げる必要があります。
気力が落ちている状態でも、できるだけ気持ちに負担なく家事に取り組めるアイデアを5つご紹介します。
どのような作業でも一度に終わらせようとすると、なんだか重い気持ちになるものです。例えば、片づけなどは、「きょうは玄関と靴箱だけやろう」と場所を区切ることで、終わりが見えて取り組みやすくなります。
ひとつの場所を片づけると、不思議と「他のところもきれいにしたい」という気持ちになるものです。
その勢いで「次はキッチン」「その次は寝室」と移動していくと、だんだんと家の中が片付いてきます。一度きれいな状態を知ると、それをキープしようというモチベーションも生まれます。
同様の理由で時間を決めて作業するのもおすすめです。
朝の時間などに「5分だけ掃除にあてる」とか、夜であれば「ベッドに入る前に洗濯物をたたむ」など、短時間でできることを日々のルーティンに組み込むことで自然と体が動くようになり、家事がたまるのを防げます。
仕事をする際は「こうすればもっと早くできるかも」「この作業は省いたほうがわかりやすい」と効率重視で考えるものです。その感覚を家事にも取り入れてみましょう。
例えば、定番の食材は定期配達を利用して自動化する、夕食の献立をゼロから考えるのではなく一定の期間でローテーションする、ストック品の在庫は残りが○個になったら購入する、いらない郵便物は玄関で処分できるようにしてリビングに持ち込まない……など、物事がスムーズに進む仕組みをつくり、家族にも情報共有します。
一度、仕組みができれば考えなくても体が動くようになります。その後もシステムを見直しながら自分に合うように調整すると、毎日の家事がとてもラクになります。
家事を誰かひとりに任せるのではなく、家族で協力して取り組むと楽しく、すばやく終わらせられます。
例えば掃除であれば、週に1回、あるいは月に1回、全員で家をきれいにする「お掃除デー」を設定してみるのはいかがでしょうか?
当日は担当のパートや役割を決め、集中して家族全員で掃除や片づけに取り組みます。
ここで注意したいのは、他のメンバーのやっている作業に必要以上に口出しをしないこと。上から目線な指導は押し付けがましく、やる気が削がれます。
それよりも家族全員が「自分ごと」として、責任を持つ意識を育てることが大切です。家をピカピカにしたら「みんなで焼肉にいく」などの楽しみを設定するとイベント感が生まれ、家族の仲も深まります。
かつては洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビが家庭での「三種の神器」でしたが、現代は食洗器、ロボット掃除機、全自動洗濯乾燥機がそれに取って代わりました。
年代によっては「うちには必要ない」と思う人もいるかもしれませんが、最新の便利家電は使いやすいものが多く、うまく活用すると家事の負担が劇的に軽くなります。
お任せできる家事は機械に任せてしまえば、浮いた時間を違うことにあてられます。便利家電で負担を減らして時間を生み出す――。家事に対するやる気が落ちているのなら、この機会に購入を検討して損はありません。
すべての家事をいつも自分でやらなくてはいけないわけではありません。
仕事が忙しかったり、育児で手が離せなかったりする場合はプロの手を借りると気持ちに余裕が生まれます。もちろん「ただ、やる気が出ない」という理由で依頼してもいいのです。
家事代行サービスを利用する効果は、家事を「誰かにやってもらう」だけではありません。普段は無償である家事作業に対してお金を払うことは、自分にとっても家族にとっても「家事を人に任せるには、これだけのお金がかかるのだ」という気づきになります。
また、依頼をすれば家事のテクニックや整理整頓のコツなどのアドバイスをもらえるところもあります。プロの仕事を間近でみることで学ぶことも多いでしょう。
料金やサービス内容などを比較検討して、自分に合ったところを見つけておくと、今後も大きな味方になってくれるはずです。
家事がつらいのは、やればやるほどに膨大な作業が生まれ、いつまでたっても終わりがないこと。そして、実際に手を動かす当事者以外には大変さがなかなか見えづらいことも、その負担感を大きくしています。
このところ話題の「名もなき家事」とはまさに言い得て妙。トイレットペーパーを替える、シャンプーを補充する、麦茶をつくる、水回りの髪の毛を取り除く……などの作業は誰かがやっているからこそ、他の人たちが快適に過ごせるわけですが、それが「どのくらい大変か」について当事者以外が意識をする機会はあまりありません。
それゆえ、家事の負担を背負う側は人知れず、孤独感や孤立感を募らせていきます。
そんなふうに「誰かひとりにしかできない仕組み」が問題の根底にあるならば、もしも家族みんなが家事を「自分ごと」として取り組んだら、何が変わるでしょうか?家の中のさまざまな作業を個人に依存せず、誰もができる状況だとしたら?
リビングにゴミが落ちていたら拾ってゴミ箱に入れる、顔を洗ったついでに洗面台の汚れを拭きとる、自分の番で麦茶がなくなったら、ポットを洗って中身を補充する……。
どれも小さなことですが、家族のみんなが「当たり前のこと」として取り組めば、誰かひとりに負担が集中することは確実に減るでしょう。お互いに協力し合う体制が当たり前になれば、家族としての絆もますます深まるはずです。
家事は生活をまわし、日々を「生きる力」でもあります。子供がいる家庭であっても、子供はいつか家を離れます。
その時、家事をする習慣が身に付いていると、仕事や学業などの本業との両立がしやすくなります。親としては小さいうちから家事に対してポジティブなイメージを持てるような工夫をしてあげたいものです。
家事をやる気が出ない理由について、作業量やテクニックの問題など目に見えること以上に「家のことをきちんとしなければ」という思い込みや「自分だけがやっている」という不公平感が大きな心の負担になっていることがわかりました。
家庭によって事情はそれぞれ異なりますが、家事をスムーズに回すためには無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。いろいろと試しながら自分に合う方法を見つけてみてください。
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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