2024年02月07日
起きなきゃいけないのに「ずっと寝ていたい」。やらなきゃいけないのに「何もしたくない」。そんなふうに心のスイッチが入らない無気力状態になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。考えられる原因や主な対処法を解説します。
「何もしたくない」という感情は、ストレスや疲労の蓄積、モチベーションの喪失から生じることが多くあります。例えば、仕事上で大きなプレッシャーを抱えたり、プライベートで周囲から過度の期待をかけられると、誰しも心が疲れてきます。もし「何もしたくない」という感情が動きだしたら、それは心身が「休息」を必要としているサインとして理解することが大切です。
過剰なストレスや疲れは、心と体のエネルギーを消耗させます。何かに取り組もうとする気力・体力がなくなり、それが「何もしたくない」と感じさせる原因になるのです。数日程度では解消できない、長期にわたるストレスは、意欲の低下や抑うつ感情を引き起こしやすいとされます。積み重なるストレスや疲労に対しては、十分な休息とリラクゼーションによる状態の回復が不可欠です。
めざしている目標や向かう興味に対するモチベーションが下がると、なにかを成し遂げようとする意欲も減り、無気力感が生まれます。特に、目標を達成した後、打ち込めるものが見いだせなくなったり、情熱を失ってしまう「燃え尽き状態」に顕著です。そうなってしまった場合は、できるだけ小さな目標をつくり、スモールステップ化することで達成感を得やすくすると、モチベーションを回復しやすくなります。
「何もしたくない」という感情は、焦燥感や無力感といった心理状態の表れです。こうした感情は、「自分なんかにできるんだろうか……」という自分への不安や自己疑念、挫折感から生まれることがあります。感情が暴走し、自分に自分が振り回される状況に陥ると、どんどん苦しくなり、悪循環となりがちです。そうならないよう、自分の感情を理解し、ありのままの自分を受け容れることで、ポジティブな変化を自ら促すことが大切です。
感情は自分のものであるにもかかわらず、どうして起こるのか、なぜ今その感情に自分が支配されているのか、よく分かっていないという人がほとんどです。感情は逃れようとすればするほど、心に居座るもの。不安や悲しみといったマイナス感情から目を背けず、ありのままを受け容れることは、勇気がいることです。ただ、その勇気が、心の負担を軽くし、精神のバランスを回復するのに役立つのです。
そうした「自己受容」は、よりよい自己ケアにつながります。無理をせず、自分のペースで感情と向き合い、自分なりの感情との上手な付き合い方を探っていきましょう。
心身の緊張をゆるませる「リラクゼーション」や「瞑想」など、心を落ち着かせる活動を日常の中に取り入れことは、制御できなかった精神の安定を取り戻すのに役立ちます。例えばヘッドスパやアロマエステなどのリラクゼーションには、心を緩め、気分を改善する効果があります。自分に合った方法を見つけ、定期的なリフレッシュを図ることが、心の健康を保つ鍵です。
特別で難しい努力をしなくても、現時点で手を伸ばせば達成できそうな「小さな目標」を設定し、達成感を味わえる機会を増やすことで、自己効力感が高まります。モチベーションが下がっているときは、理想と現状のギャップを一気に挽回しようと、つい大きすぎる目標を設定してしまいがちです。時間の使い方や日常のペースを大きく変えることは、心身に負担がかかり、かえって消耗を早めます。日々の小さな目標を設定し、できた自分を認め、祝福しながら、無理のないスモールステップで前進していきましょう。
運動やアウトドア活動など、ふだんと違う環境で身体活動に没頭することは、気分を転換させ、エネルギーレベルを上げる効果があります。特に運動の習慣を取り入れることは、身体によいだけでなく、精神的な健康(ウェルビーイング)にもつながります。
長期間にわたって「何もしたくない」感情が続く場合は、特定の心理的な病気が原因である可能性があります。日常生活への影響が大きい場合は、独りよがりな自己判断をせず、専門家による評価を受けることが不可欠です。
うつ病は、憂鬱な気分が持続したり、興味や喜びを失ったり、エネルギーが低下するなどの諸症状を特徴とする一般的な心理疾患です。うつ病が原因となって「何もしたくない」と感じることが多くなります。対処としては、定期的な心理療法や、場合によっては専門家による薬物療法による治療などが考えられます。
統合失調症は、現実の歪みや厳格、妄想、思考の混乱などを引き起こす病気です。これにより、日常生活や社会的な機能が著しく低くなり、「何もしたくない」と感じることがあります。専門家による適切な治療とサポートによって、症状の管理と昨日の回復が可能です。
双極性障害は、極端な気分の高揚(そう状態)と沈んだ気分(うつ状態)の間で変動するという特徴があります。そのうつ状態の時に「何もしたくない」という感じることが一般的です。多くの場合、心理療法と薬物療法の組み合わせが効果的な治療法とされています。
不安障害には、全般性不安障害、パニック障害、社会不安障害などが含まれます。これらの障害は、過度の心配や不安を引き起こし、行動に制限をもたらすことがあります。こうした不安障害の場合、認知行動療法や薬物療法が、治療にしばしば用いられます。
このように「何もしたくない」と感じる気持ちが長期間続く場合は、心理学者やカウンセラーなどの専門家のサポートを求めることが有効です。そうすることによって、感情の根本的な原因を理解し、適切な対処法を見つけることができます。プロのサポートを受けることは、自己ケアの一環と考えましょう。そうした自己ケアが、心理的な健康を保つための重要なステップとなります。
つらいのに誰に相談したらよいか分からないという方は、以下の厚生労働省の相談窓口を利用してみましょう。
https://kokoro.mhlw.go.jp/agency/(働く人のメンタルヘルス·ポータルサイト「こころの耳」)
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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