2023年11月12日
「おはよう」「行ってきます」「こんにちは」「おかえりなさい」
このような日常の挨拶を、照れくささや苦手意識からきちんと言えていないという人は、意外に多いのではないでしょうか。
人と人との関係を築く大切な第一歩でもある「挨拶」ができるようになる方法とは?
挨拶の語源は、仏教語の「一挨一拶」であるといわれています。「挨」には押し開く、互いに近づくという意味があり、「拶」には迫る、すり寄るといった意味があります。
つまり、人と人とが出会い、お互いに心を開いて相手に迫っていくことが挨拶です。
明るく元気な挨拶は、当人だけでなく、はたから見ていても気持ちのいいものです。反対に、元気に挨拶をしても相手の返事がないと、嫌な気分になるでしょう。
挨拶は単なるマナーやルールではなく、仕事や地域の活動などといった共同作業や集団生活をスムーズに運んでいくために必須の要因です。
自分から心を開くとなれば勇気も必要になりますが、少しの勇気を出して挨拶を習慣にすることには、自分にとって大きなメリットがあります。たった一言の声掛けにも、次のような効果が込められているといわれます。
1.相手の存在を認める(あなたは私にとって、大切な人)
2.相手の幸せを祈る(今日も1日、どうかご無事で)
3.相手との良好な関係を願う(今日も1日、よろしく)
もし挨拶とは別の手段で、この3つのことを相手に伝えるとしたら、ひと言ではすまない、時間や労力が必要となるでしょう。挨拶の習慣を身につけている人は、朝のほんのちょっとの行動によって、着実に周りからの好感や信頼を積み上げていけます。逆に挨拶をしない人、できない人は、それだけで周囲からネガティブな印象をもたれてしまう可能性があります。
挨拶を毎日する人としない人との差は、1か月、半年、1年と時間が経つにつれて、大きくなっていくでしょう。
挨拶の短い言葉の中には、“お元気ですか”“お世話になります”“ありがとう”など、感謝や思いやりの気持ちも込められているもの。挨拶は良好な人間関係を築くうえでの最初の一歩です。挨拶がコミュニケーションの入り口となって、自然な会話が生まれ、関係性が深まることは多々あります。
挨拶が苦手な人の特徴として、相手に気を使いすぎてしまうことがあります。
「忙しそうなのに、今挨拶したらタイミングが悪いのでは」
そうして相手のことを考えすぎて、タイミングを逃してしまうのです。
実際のところ、挨拶される側は、朝や退勤時など習慣的な挨拶であれば、どのようなタイミングでされても嫌な思いをしないものです。
もう1つの特徴として、挨拶をしたのに無視をされた経験があり、嫌な記憶や恐怖心を覚えていることがあります。人はいったん心が傷つくと、物事を悪くとらえがちです。
ただ、相手が挨拶を返さなかったのは、体調が悪かったか、考え事をしていたかで、こちらの声が耳に入らなかったのかもしれません。そんなふうに、相手を信頼して受け止めてみるのがコツです。
勇気を出して「思い込み」にとらわれがちな自分を脱してみましょう。
大手航空会社の客室乗務員として活躍した後、現在はマナーや心配りに関する研修等を手がける作法家の三枝理枝子さんは、客室乗務員になるための訓練中に、教官から「挨拶は自分から先にするもの」ということを徹底的に教えられたといいます。以来、飛行機を利用するお客様だけでなく、どのようなときも、どのような立場であっても、出会ったすべての人に対してこれを実践してきたそうです。その心は、こんなふうに表現されます。
あ …… 明るく
い …… いつも
さ …… 先に
つ ……(ひと言)続けて
三枝さんは「挨拶は、その人がいると存在を認めているからこそ、声をかけるもの。挨拶そのものが、相手の存在、価値を認める行為」であるとも述べています。また、挨拶の後に「相手を思いやるひと言」を添えることができれば、会話のきっかけにもなるでしょう。(参考=『人間力のある人はなぜ陰徳を積むのか』)
挨拶が苦手な人は、まず「自分から先に挨拶する」というマイルールを決めて、やってみましょう。「職場の全員と必ずする」など、急に大きな目標を掲げると、無理が多くなって続かなくなりがちです。今日は1人、明日は2人、明後日は3人……と、挨拶する目標人数を小さなところから少しずつ増やして、慣れていきましょう。
自分の存在を認めてもらえたら、誰でもうれしい気持ちになるものです。たったひと言の声かけの工夫によって周りの人たちの心が明るくなり、会話も弾めば、その分、職場が和やかになり、心豊かな時間が増えるはずです。
挨拶をまったくしない人、心はどうであれ形としての挨拶だけをする人、相手に対する思いやりの心を乗せた挨拶をする人……。その差はわずかのようですが、一日一日と積み重なっていけば、やがて大きな差となります。
「今日も元気そうだな、楽しそうだな」
「今日も一緒に仕事を頑張れそうだな」
「おはよう」という1日の始まりの挨拶から、相手の気持ちをポジティブな方向に向かわせることができる人には、きっと温かな人間関係がもたらされるでしょう。
それだけではありません。日々、心をプラスにはたらかせることで、その人自身の心が大きく育っていきます。
例えば、職場に着いてドアを開け、「おはようございます」と挨拶をするときには〝どうぞ今日1日、ここで働くみんなが無事でありますように〟と、プラスアルファの心を添えてみましょう。
不平不満の気持ちで行う挨拶と、相手の幸せを祈って行う挨拶。言葉は同じでも、それを受け止める相手の印象は、まったく違ったものになるはずです。
私たちは日々、人と挨拶を交わすときに、心に何を思うでしょうか。たった一言のコミュニケーションであっても、「相手の幸せを祈る挨拶」と意識して新たに習慣づけてみることで、自分自身の心が豊かになり、おのずと見える景色も変わっていくことでしょう。
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