2023年11月15日
仕事でもプライベートでも、何かうまくいかないことがあったとき、すぐに気持ちを切り替えることができますか?
いつもポジティブな人と、何事においてもネガティブな人。前者の生き方がもちろん理想ではあるけれど、現実はなかなか思うようにいかなくて……という人も少なくないかもしれません。今回は前向きになるための方法について考えてみましょう。
なぜ前向きになれないのか。それは、ただ単に「自分がダメだから」というのではなく、次のような原因が潜んでいるのかもしれません。
自分のせいではないこと、自分一人の努力ではどうにもならないことまで「自分のせいだ」と思い込んでしまうことはないでしょうか。
物事がうまくいかない原因は自分にあるだけでなく、環境や相手の存在が影響していることは少なくありません。自分の力ではコントロールできないことも、世の中にはたくさんあるのです。責任逃れをせずに自分の努力でなんとかしようとするのは立派な態度といえますが、それも度を超すと、自分自身を苦しめることになりかねません。
何事においても「自分には無理」「どうせ自分なんて……」などという思いにとらわれてはいないでしょうか。
そうした卑屈な思いに心を支配されてしまうと、例えば仕事がうまくいったときも「自分の努力が実った」というように素直な気持ちで喜ぶことができません。そのため、自信が育つことはなく、ますます自分を否定するという悪循環に陥ってしまうのです。
皆さんの周りにも「いつもポジティブで、すてきだな」と思える人はいないでしょうか。そうした「前向きな人」を観察してみると、いくつかの共通点があるようです。
前向きな人は、日頃からストレスや疲れをため込まないように心がけていることが多いようです。
「心の健康」は「体の健康」と密接につながっています。睡眠不足によるイライラ、過度の飲酒や運動不足からくる倦怠感などは、多くの人に覚えがあるのではないでしょうか。「バランスの良い食事を取る」「睡眠をしっかり取る」「適度な運動をする」など、まずは基本的な生活習慣を整えることから「心身の健康」をつくっていくのも大切なことといえます。
自分の中には「誇れる長所」もあるでしょうが、「できれば隠しておきたい短所」もあるでしょう。前向きな人は、その両面を自覚できているという特徴があるようです。
自分の短所や欠点ばかりが気にかかっているとき、私たちの心は暗く沈んでいきます。すると、ますますそのマイナスの面にとらわれてしまうのではないでしょうか。前向きな人は、自分の短所や欠点を自覚しながらも、その点にとらわれすぎることなく、長所や美点にもきちんと目を向けています。こうして自分自身を正当に評価してこそ「足りない点を補いつつ、良い点を伸ばす」という前向きな努力も可能になるのでしょう。
前向きな人は、自分以外の物事に対しても公平・公正な態度で「良い面」に目を向けることができるようです。
周囲の人に対しても「こういうところが嫌」「何となく苦手」といった思いにとらわれていると、人間関係がギスギスしてくるものです。一方、相手の「良い面」に目を向けたなら、心が幾分穏やかになり、前向きな気持ちで接することができるのではないでしょうか。人間関係を改善する鍵は、そこにあるのかもしれません。
また、仕事上のトラブルや失敗などのマイナスの出来事に対しても、「今回のことで、自分の思い至らなかった点に気づくことができた」というように、肯定的な意味を見いだせる人は、後ろ向きの考えにとらわれることなく、常に前を向いて歩んでいけるのでしょう。
前向きになりたい、前向きになろうと思っても、自分を変えるというのは一朝一夕にできることではありません。これは「すぐに変われない自分」に失望して「やっぱり自分はダメ!」という思いを強める前に、まず知っておくべきことです。
なかなか前向きになれないと感じるときは「ポジティブか、ネガティブか」という両極端で考えるのではなく、まずはフラットに、かつ冷静に考えることを意識してみませんか。また、自分の考えや行動をいっぺんに大きく変えようとするのではなく「小さな改善を積み重ねていく」という意識も大切です。すぐに自分を変えることはできなくても「こうして少しずつでも前進していけば、半年後や1年後にはきっと変わることができる」と思えるようになったなら、それは一つの成長といえるのではないでしょうか。
では、前向きになるためには、具体的にはどのようなことから着手したらよいのでしょうか。ここでは日常生活の中で意識したい事柄を7つ厳選して紹介します。
睡眠不足のときは体調が優れないというだけでなく、頭の中もなんとなくすっきりしないものです。睡眠不足が続くと、やる気や思考能力もどんどん低下してしまいます。
睡眠には、脳や体を休ませて疲労回復を図るだけでなく、感情の整理やストレスの解消など、さまざまな効果があります。例えば、仕事でミスをおかしたりしてネガティブな思考にとらわれそうになった日ほど、しっかり睡眠を取って頭の中をリセットし、マイナスの感情を翌日にまで引きずらないようにする。それはミスの巻き返しを図る上でも大切な心がけといえるのではないでしょうか。
心身の健康を保つには、適度な運動も大切です。
運動には、ネガティブな気分を発散させて、心と体のリラックスを促し、睡眠のリズムを整える作用があるといわれます。これまで運動をする習慣がまったくなかったという方は、ごく短時間のウォーキングやジョギングなど、無理なく続けられそうなものから生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。ささやかなことでも2週間、3週間と続けることができたら、その実績は、自分に対する自信にもつながっていくことでしょう。
自分に自信が持てない……。私たちが前向きになれないのは、心の内を占めるそんな思いにも原因があるのではないでしょうか。
しかし「自分は何をやってもダメ」「できることが何もない」ということは、そうそうないはずです。仕事がうまくいかなかったときも、よくよく振り返ってみると「至らなかった部分」だけでなく、何かしらの「この点はできていた」という部分があるのではないでしょうか。前向きな「反省」をするためには、「できたこと」と「できなかったこと」を紙に書き出すなど、言語化してみるのも有効かもしれません。
「反省」とは、後ろを向いて悔やむだけの「後悔」とは異なります。「できたこと」も「できなかったこと」も冷静に省みることは、自分の短所を補い、長所を伸ばしながら前進していく上での大きな力になるのではないでしょうか。
最近、笑っていないな……。そう思ったときは要注意! 知らず知らずのうちに、心がネガティブに傾いているのかもしれません。
笑うことはストレスの発散にもつながるといわれます。「大笑いするほどの楽しいこと」というのは、大人になると、日常の中にはそうそうないものですが、まずは「笑顔で過ごすこと」を心がけてみませんか。表情を和らげると、心の緊張も少し解けて、なんとなく明るく穏やかな気持ちになっていくはずです。その笑顔は、きっと周囲の人たちにも良い影響を及ぼすことでしょう。
私たちは「共に過ごす人の影響」を受けやすいものです。ポジティブな人と話をしていると、知らず知らずのうちに自分まで明るく、生き生きとした気持ちになってくるのではないでしょうか。一方、ネガティブな人との会話は、なんだか自分の心まで暗く、重たくなっていくようです。
とりわけ他人の批判や陰口などに打ち興じるような「仲間」とは、距離を置いたほうが賢明といえるかもしれません。お互いに、重々気をつけたいことです。
例えば今、目の前で、子供がコップに入ったジュースを半分こぼしてしまったとします。そのとき、どのような言葉をかけるでしょうか。
「こんなにこぼしてしまって、あと半分しかないじゃないの。しっかり持っていないから、そういうことになるのよ」
「あら、こぼしてしまったの? でも、まだ半分もあるじゃない。よかったね。これからは気をつけようね」
同じ状況について言っているのですが、言われた子供の気持ちはどうでしょうか。残ったジュースをおいしく味わうことができるか、涙混じりの悲しい味になるか。その分かれ道が「半分しかない」と「半分もある」という、受け止め方の違いにあるようです。
「半分しかない」と思うとき、私たちは前向きな気持ちを忘れています。忙しい毎日の中でもイライラ、ギスギスすることなく、「半分もある」と言えるような前向きな考え方を習慣づけていったなら、私たちの日常はどれほど心穏やかなものになるでしょうか。まずは日常の小さなことから「前向きに考える習慣」を意識してみましょう。
私たちは日々、どのような言葉を口にしたり耳にしたりしているでしょうか。
温かい言葉、冷たい言葉。気持ちが明るくなる言葉、暗くなる言葉。うれしい言葉、寂しい言葉。人を勇気づける言葉、傷つける言葉。安心をもたらす言葉、不安を生む言葉……。
言葉は生きています。私たちは「他人から向けられた言葉」だけでなく、「自分自身が発する言葉」「自分の心の中に浮かんでくる言葉」にも、大きな影響を受けているのです。悪い影響をもたらすネガティブな言葉ではなく、良い影響をもたらすポジティブな言葉を、意識して使っていきたいものです。
例えば「自分ならできる」「頑張ろう」といった前向きな言葉を発することを心がける人と、「自分には無理」「もうダメだ」とばかり言っている人とでは、その習慣を10年、20年と積み重ねるうちに、人生そのものにも大きな違いが生じるのではないでしょうか。
私たちが持つ長所と短所は、表裏一体であることが多いものです。善し悪しを判断しようとする感情をいったん取り除いて、それを単なる「個性」や「持ち味」として冷静に見つめてみると、短所と思っていた自分の個性にも「良い面」を見いだせることがあります。例えば「おせっかい」は「親切」、「しつこい」は「熱心」、「頑固」は「意志が強い」というように。
こうして考えてみると、「ついネガティブな思考をしてしまう」という個性も、必ずしも悪いものとして受け止める必要はないのかもしれません。楽天的ではなくネガティブであるからこそ、物事を慎重に進めることができる面もあるのではないでしょうか。
「前向きになれない自分」を否定し過ぎないこと。これもまた「前向きな生き方」への大切な一歩といえるでしょう。
私たちの感情は、日々の出来事をどのような心で受け止めるかに左右されています。毎日の生活を喜びに満ちたものにするか、あるいは不満や苦しみの多いものにするかは、自分自身の心次第といえるのです。
つらく苦しい出来事に直面したとき、その原因を周囲の環境や他人に求めて「こんな状況のせいで、つらい思いをしなければならない」「あの人のせいで、自分が苦労しなければならない」などという言葉が心の中に浮かんでくることはないでしょうか。確かにそういう面もあるのかもしれませんが、「〇〇のせい」と考えれば考えるほど、自分自身の心が暗く、重くなっていきます。
そのとき、心の中の「〇〇のせい」という言葉を「〇〇のおかげ」という言葉に置き換えてみると、どうでしょうか。……きっと、後に続く言葉が変わるはずです。例えば「この状況のおかげで、『当たり前の日常』のありがたさに気づくことができた」「あの人のおかげで、自分の至らない点に気づくことができた」というように。
このように、どのような出来事、どのような状況をもプラスの心で受け止めることができたなら、心はいつも明るく穏やかで、人生を前向きに歩んでいくことができるのではないでしょうか。
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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