「三方よし」とは?現在のビジネスにも活きる重要な考え方

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「三方よしの〇〇を」「〇〇な三方よしをめざしましょう」

最近、そのような言い回しを見聞きしたことがないでしょうか。

政府の方針、会社の理念、新聞雑誌の見出しに学校の標語などなど、日本中のさまざまな場面で使われるようになった「三方よし」。

どのような意味の言葉で、なぜ使われるようになったのでしょうか。

目次▼▽▼
三方よしを考える

三方よしの意味とは?

そもそも「三方よし」とはどのような意味なのでしょうか。

「三方」は「さんぽう」あるいは「さんぼう」と読み、3つの対象・立場を表しています。「三方よし」とは、3つの異なる立場の人や組織がすべて「よし」(=満足している、利益を得ている)となっている状態を表した言葉といえます。

三方よしを意味するフレーズで最も知られているのは、近江商人の商道徳のモットーである「売り手よし、買い手よし、世間よし」という表現です。

近江商人とは、江戸時代から明治時代にかけて、近江地方(現在の滋賀県)を拠点として日本全国で商業活動を行った商人たちの総称で、現在では大企業となっている例も少なくありません。

ここでいう「売り手」とは、商品やサービスを提供する自分(自社)側の立場であり、「買い手」とは、その商品・サービスを購入する取引相手の立場です。この売り手と買い手のどちらの利益も大切にする考え方はほかにもありますが、さらに進んで「世間」に対しても配慮しようとする点に、近江商人の考え方の特徴があります。

売り手よし

ここからは、「売り手」「買い手」「世間」が具体的にどのような存在のことをいうのか、さらにそのすべてが「よし」となっている状態について考えてみます。

「売り手」とは、商品やサービスを売る側のこと。

では売り手よしとは、どういう状態になることをいうのでしょうか。まずは提供する商品やサービスが買い手に受け入れられ、必要な利益を得られていることが重要です。ただ、それだけで十分とはいえません。買い手の役に立つことができたという貢献感や、そこに至る創意工夫を通じて自身が成長できたという実感が伴っていてこそ、売り手にとって「よし」な状態といえます。

誠実に「買い手よし」を追い求める中に「売り手よし」は成り立つのでしょう。

買い手よし

「買い手」とは、生産者や事業者から商品やサービスを購入し、受け取る側のことです。

買い手は、売り手側が提供するたくさんの選択肢の中から、いちばん自分のニーズに合う商品やサービスを吟味し、選びます。

そこでもし買い手が、お金を払う側という立場に乗じて、売り手に理不尽な要求をつきつけたり、必要以上の接客態度を強いたりしたらどうなるでしょう。売り手は疲弊し、やがて買い手の要求に対応できなくなるでしょう。売り手は買い手の満足を考え、買い手は売り手に配慮する。そうすることで売り手も買い手も並び立つ「売って喜び、買って喜ぶ」が実現されます。

世間よし

ここでいう世間とは、売り手である自社と買い手である顧客以外の第三者や、自社を取り巻く社会や環境全体のことを指します。

例えば、あるスーパーマーケットが特売セールを行い、たくさんの買い物客が来店したとします。スーパー側は、思惑どおりに商品が売ることができ、客側は安く食品が買えて、「売り手よし」「買い手よし」が成り立ったとしましょう。

ここで視点を変えてみます。例えば、店の駐輪スペースが十分でなく、来店客が停めた自転車が歩道まではみ出したり、レシートなどのゴミが散乱したりしたら、どうなるでしょうか。店を利用しない地域の住民は不快な思いをすることになります。地域に嫌われ、応援されなくなれば、やがて店から客は離れ、従業員の確保も難しくなるでしょう。

「世間よし」を考えないビジネスは、短期的には利益を得ても、長期的には存続ができなくなるのです。

反対に、買い手だけでなく、地域がよくなるような社会貢献活動に取り組んだり、地球環境へ配慮した商品やサービスを意識したりするなど「世間よし」を常に考えていくと、社会からの評価や信頼度が高まります。そうなることで、ゆくゆくは善良な顧客や優良な取引先、優秀な人材を得やすくもなるでしょう。
売り手と買い手だけでなく、世間にとっても「よし」をめざす「三方よし」は、誰一人として損な思いをせず、その事業にかかわるすべての人々が利益を得て円満に調和できる、サステナブルなビジネスを可能にします。

さまざまな三方よし

三方よしを実践している企業

こうした三方よしの考え方を深く理解し、経営理念に掲げている企業は少なくありません。

実際に三方よしの実践をめざしている企業の事例を見てみましょう。

イシダ

創業は明治26年、京都に本社を置く「イシダ」は「三方よし」を企業理念とする世界トップシェアの計量器メーカーです。世界120か国で事業を展開しており、「三方よし」を「Three-Way Harmony」として訳して、海外のステークホルダーにも自社の理念を発信しています。

自社と相手の二者だけがよくなるのではなく、それ以外の「第三者」との調和を事業の基本に置き、「地域よし」として、全社員の半数以上が勤務する拠点のある滋賀県で、子供たちの学力や体力、知力の向上を支援するCSR活動を展開。また「地球よし」として、自然環境に配慮した素材の研究開発にも取り組んでいます。

(モラロジー道徳教育財団発行『月刊三方よし経営』令和4年5月号より)

八天堂

新感覚のスイーツパンとして人気の「くりーむパン」を製造販売する八天堂(広島県三原市)の社是は「品性資本の三方よし経営」。
経営を持続させるために大切な要素は、お金の資本だけでなく、社会からの信頼や愛着を得る「品性」にあるとの考えのもと、三方よしとは「自分よし、相手よし、第三者よし」と捉えて、経営のあらゆる場面、判断に役立てています。

八天堂の森光孝雅社長は著書『人を大切にする三方よし経営』(モラロジー道徳教育財団)の中で、こう語っています。 「誰かの犠牲の上に成り立つ事業は、いずれどこかに無理を生じ、結果『三方悪し』となる可能性があるのです。そうならないために、買ってくださる目の前の『お客様』のことだけでなく、仕入先や取引先、外注先、協力業者といった“第三者”の利益にも配慮できているかを、考える習慣を社内に根づかせていかなければなりません」

「社内で企画などを検討する時は『これは相手にとって本当によいことなのか、まず考えてほしい。そして、次に第三者のことを考えてほしい』と社員に投げかけています。相手との二者間関係だけで発想をすると、第三者や社会への配慮を見過ごしがちです。これからの時代、『第三者』には同時代のステークホルダーのみならず、三十年、五十年先の未来の人も含んで考える必要があります」(同書より)

今後、企業は三方よしの考え方が求められる

三者が同じ方向を

近年の研究によると、「三方よし」は戦後になって、近江商人研究者がその経営理念を簡略に示すシンボル的標語として用いた言葉が広がったものとされています。それ以前のルーツを探る研究では、法学博士で、昭和初期にモラロジー(道徳科学)を提唱した廣池千九郎が「自己と相手方と第三者すなわち一般社会とのすべての幸福」と述べて、実質的に「三方よし」にもっとも近い表現を使っていたとされています。

廣池千九郎の視点がユニークなのは、「三方よし」をビジネスだけでなく、家庭や地域での人間関係でも「自分よし、相手よし、第三者よし」を意識し、行動することで無用な衝突を避け、かかわる人々すべてが安心し、笑顔になるような世界を創造できると考えたところです。

「持続可能性」が重視される現代において、誰かを犠牲にして自分だけが利益をえるようなビジネスや生き方は共感、信頼を得ず、社会から孤立します。

自分だけでなく相手も、そして、それ以外の第三者もすべてが調和できるビジネスのあり方とは? さらに今から10年、20年後を生きる世代や地球環境にとってもよい「未来よし」の視点が欠けてはいないか。

そうした「三方よし」の考え方が、これからのビジネスには求められます。

この記事の監修者

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