2024年01月31日
「今日はなんだか、やる気が出ない……」
うまく人に説明がしづらいけれど、どうにも気持ちが追いつかない感覚。誰しも1度は味わったことのある感覚ではないでしょうか。
なぜ人は急に「やる気」が出なくなるのか。どうすればその状態から抜け出せるのか。
原因と対策を見ていきましょう。
やる気が出ないのは単なる気分の波とは片づけられません。ストレスや睡眠・運動・栄養の「3大不足」が、やる気の低下を引き起こす主な原因とされています。また、めざす目標が不明確であったり、過度なプレッシャーを感じていたりすることも、やる気を削ぐ要因となります。
日々積み重なるストレスは、心身のエネルギーを消耗させ、やる気の低下を引き起こします。ストレスの原因を理解した上で、どうすればその原因をなくしたり、軽減できたりするかと考えることが重要です。
ちゃんと睡眠時間はとれているはずなのに……。それでもやる気の出ない人は「質の高い睡眠」が不足している可能性があります。睡眠の質の低下は、集中力や判断力を下げ、モチベーションの減退につながるもの。時間だけでなく、熟睡感や目覚め感といった「睡眠の質」を意識して、改善できる工夫を重ねることが、やる気を維持する上では重要です。
「栄養とやる気にどんな関係があるの?」と思う人は少なくないでしょう。実は、栄養が足りない状態では、活力ある生活を送る上で不可欠な、脳内の「神経伝達物質」を分泌することができなくなるのです。バランスの良い食事を心がけ、心の健康のために必要な栄養素を十分に摂ることが、やる気をサポートします。
運動不足が積み重なると、体力が落ち、少し体を動かしただけでも疲れを感じるようになります。疲労物質が溜まりやすくなり、それがやる気にも影響するのです。毎日といわずとも、定期的な運動習慣は、ストレスを減少させ、心の健康を保ち、やる気を引き出すのに役立つでしょう。
心理学の研究によると、明確かつ適切な目標は持つことは、モチベーションに大きく影響を与えます。反対に「いつまでに何をやる」という目標がハッキリしていないと、どこに向けてやる気を奮い起こせばいいのか、スイッチが入れづらくなるもの。今日明日の短期的な目標のほか、年単位の長期的な目標を定め、それに向かって努力する習慣が、モチベーションを高めます。
ついため息が出てしまうような職場やプライベートでの人間関係のこじれは、ストレスの大きな原因となり、やる気を封じ込めます。ギスギスしない関係、顔を合わせるのがおっくうにならない良好な関係をふだんから意識して築くことで、精神的な負担が軽くでき、やる気を保つことができます。
ここまで見てきたような「やる気が出ない原因」に対しては、小さな目標を設定したり、適度に休息をとったり、ポジティブな自己暗示をするといった対策を講じることが有効です。
ポイントは、日常生活に簡単に取り入れられるかどうか。生活リズムや環境を大きく変えるような無理はせず、少し頑張れば達成できる「小さな目標」を設定することで、やる気を引き出しやすくなります。
自己暗示とは、「私はこうだ」と自分自身に言い聞かせることで、描いたとおりの方向に意識を向けていくことをいいます。例えば、「私ならできる」「〇〇なら絶対、大丈夫」「ツイてる、運がいい」などと肯定的で、ポジティブな自己暗示をすると、自己効力感を高めることができ、心が健康になります。マイナスな考え方を切り替え、自信を回復し、やる気を引き出すのに役立ちます。
どんなに機能豊かなスマートフォンも充電が切れたら使えなくなるのと同じように、人間も定期的な「充電」が必要です。休息をとって心身のリフレッシュを図ることにより、消耗したやる気を回復させることができるでしょう。まとまった時間が確保できない場合でも、睡眠に時間を割いたり、分単位でもいいので短い休憩を意識して日常に取り入れるだけでも、リフレッシュ効果が期待できます。
心身の「良い状態」をキープする健康的なライフスタイルは、やる気の源泉となります。
バランスのとれた食事、定期的な運動、適切なストレス管理をすることによって、ウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)が促され、日々の活動に対するエネルギーが増加するでしょう。
考えられる対策を講じてみたものの、やる気が出ない状態が改善できない場合は、次のような病気が考えられることがあります。
やる気の低下は、うつ病の一般的な症状の一つです。慢性的な悲しみや興味がわかない、疲れが抜けない状況を伴う場合は、専門家の診断を求めることも考えてみましょう。
過度の心配や恐怖が原因となって起こる不安障害は、やる気や集中力の低下にもつながります。日常生活にマイナスの影響が出てくる場合は、心理的なサポートが必要です。
ベッドに入ってもなかなか寝つけない不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害は、日中のエネルギーレベルを低下させ、やる気にも影響を及ぼします。いろいろ試してみたはものの質の高い睡眠がとれない場合は、医療機関の受診も一案です。
人間が生きるためにとても重要な「甲状腺ホルモン」を分泌する甲状腺に関する機能障害は、自律神経の働きを弱め、エネルギーレベルにもマイナスの影響を与えることがあります。どうしてもやる気が出ない場合は、甲状腺に原因がある場合も考えられますので、機能検査を受けることも考えてみましょう。
やる気が出ない原因は、ストレスや人間関係、睡眠・運動・栄養不足だけとは限らず、病気による症状である可能性もあります。やる気が出ない原因を、自分の努力不足にあると決めつけて必要以上に自分を責めたりせず、どうすればやる気が回復できるかを、多様な観点から考え、できることから取り組んでみましょう。
誰に相談したらよいか分からないという方は、以下の厚生労働省の相談窓口を利用してみましょう。
https://kokoro.mhlw.go.jp/agency/(働く人のメンタルヘルス·ポータルサイト「こころの耳」)
\ この記事の監修者 /
ニューモラル 仕事と生き方ラボ ニューモラルは「New(新しい)」と「Moral(道徳)」の掛け合わせから生まれた言葉です。学校で習った道徳から一歩進み、社会の中で生きる私たち大人が、毎日を心穏やかに、自分らしく生きるために欠かせない「人間力」を高めるための“新しい”考え方、道筋を提供しています。
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