人間力とはどんな能力?形づくる要素と高め方を解説

ECブログ

「人間力を兼ね備えた選手になってほしいですね」
「働く人の人間力が今、問われています」
最近、よく聞くこんなフレーズ。「人間力」という言葉が、さまざまなシーンで使われるようになっています。もっとも、それが何を意味する言葉なのか、理解できている人はそう多くないでしょう。
そもそも、人間力とはどんな力で、どうしたら高めることができるのでしょうか。


目次

人間力とは?

まずは国が示した言葉の定義から見てみましょう。
内閣府が立ち上げた専門の研究会では、人間力を「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義づけました。
「総合的」とは、いくつかの要素がまとまって構成される力ということです。
ではその要素は何か。次の3つであるとしています。
「知的能力的要素」と「社会・対人間力的要素」、そして「自己制御的要素」の3つです。

1 知的能力的要素

1つ目は「知的能力的要素」。具体的には、学校で身につけるベーシックな知的能力および専門的な知識やノウハウを活用する力であり、またそれらを継続的に高めていく力のこと。また、その応用として、筋道を立てて考え合理的に答えを出す「論理的思考力」や、従来の枠組みにとらわれず独創的な答えを出す「創造力」を含めたものが「知的能力的要素」です。

2 社会・対人関係力的要素

2つ目は「社会・対人関係力的要素」。身近な人との関わりだけでなく、異なる文化・世代・立場の人ともよき関係性をつくり、協働、連携していく力です。また、社会という大きな関わりの中に自分は存在するという自覚のもと、自分だけでなく、相手や社会全体がよくなるよう選択や判断ができ、積極的に行動できる力を含めたものが「社会・対人関係的要素」です。

3 自己制御的要素

3つ目は「自己制御的要素」です。思い描く目標に向かって、自分を正しく方向づける力です。誰しも生きていれば大小の試練や困難に出くわします。思い通りにいかない現実を前にして自分を見失わないためには、あるがままの自分を素直に受け容れ、拠り所となる信念を意識し、前向きに取り組む意欲を回復させる必要があります。衝動、欲求が暴走しないよう制御し、逆境を耐え抜く力、目標に向かってやり抜く力を含めたものが「自己制御的要素」です。

今、人間力が求められる理由

では「人間力」という言葉を最近、頻繁に見聞きするようになったのは、なぜなのでしょうか。日本の主な新聞や雑誌に「人間力」という言葉がたびたび登場するようになったのは、30年ほど前からです。その背景には、近年の日本を取り巻くさまざまな環境の変化があります。
詳しく見ていきましょう。

激変する社会環境

この30年を振り返ると、インターネットの爆発的普及をはじめとするテクノロジーの急速な進化、政治・文化・経済のグローバル化、前例のない気候変動や自然災害、そして新型コロナウイルスによるパンデミックと、これまでに誰も経験したことのない「変化の連続」です。先行きが見通せない、予測困難な時代と言えるでしょう。それにより、社会や会社の経営も個人の生活も長期の計画が立てにくくなり、また計画どおりに運ばないジレンマも増えています。
どうすれば予期せぬ変化に耐え、対応し、持続していけるのか――。その問いに対する一つの解として、注目されているのが「人間力」です。相互扶助と創意工夫によって問題を解決しつづけきた人間本来の能力を引き出し、高め、成長によって成果を導く。変化が日常化する今、「人間力」が求められています。

人工知能には代替できない仕事の重要性

かつてはコンピュータの登場、最近ではAIの進化によって人間の仕事が奪われるとの予測が頻出し、耳目を集めています。特に使われるほど学習し、能力を高めるAIの成長速度は目覚ましく、すでに多くの領域で人間が手掛けてきた仕事が代替され始めました。進化したAIでも奪えない、人間にしかできない仕事とは何か。AIに仕事を任せた分、新たに生まれた余裕時間に何をしていけばいいのか――。人間ならではの能力、役割、そして存在意義がこれまでになく問われる中で、人間にしか持ちえない「人間力」に注目が集まっています。

「物の豊かさ」から「心の豊かさ」重視の流れ

これからの生活で重きをおきたいのは「物の豊かさ」か、それとも「心の豊かさ」か――。政府が毎年行う「国民生活に関する世論調査」によると、1970年代後半に「物の豊かさ」重視派を「心の豊かさ」重視派が上回って以来、その差は開きつづけ、最近では3分の2近くが「心の豊かさ」を期待するようになっています。経済的、物質的に満ち足りた生活よりも、精神的に満たされた生活を望む人の割合が多くなり、「内面的な能力を高めて豊かな人間関係を築きたい」「心を成長させ人間的な成熟を図りたい」というニーズが高まるに伴い、「人間力」への関心が高まっています。

AIにできない仕事

人間力がある人の特徴とは

次に、人間力がある人はどんなところが際立っているのか。その特徴を見てみましょう。

視野が広く、発想が豊か

人間力のある人は、自分の好みや価値観に固執することがなく、相手や第三者の側に立った、幅広い視点から物事を観察したり、考えることができます。自分とは異なる他者の意見に謙虚に学ぼうとする姿勢があるため、過去の自分にはない斬新な発想が生まれやすく、周囲の人々をひきつけ、巻き込む魅力ももっています。

自分なりの軸があり、ブレない

人間力がある人は、他人の意見に耳を傾ける「柔らかさ」をもつ傍ら、自身がどうしても譲れない価値観とは何かをよく理解しており、周囲の反応や評価にフラフラと右往左往することがありません。また、選択や判断を求められた時の判断軸がはっきりしているため、周辺の環境や人間関係が変化しても、迎合的な態度をとったり、自身の言動を覆すことが少なく、ブレることがありません。

いつも穏やかで一緒にいて心地いい

人間力のある人は、自分をよく理解し、コントロールすることができるため、忙しい時にも自分を見失うことなく、むやみに怒ったり、周囲に不機嫌をばら撒くこともありません。圧力で人を操作するような関わり方をせず、むしろどんな相手も尊重する姿勢をもっているため、一緒にいて心地よく、どんな集団や組織にあっても周囲の人に慕われ、信頼され、応援されます。

人間力を鍛える方法

人間力とは能力であり、能力ですから教育や訓練を通じて向上させることができます。内面的なものですから目には見えず、測ることもできません。ただ筋肉などの身体的能力と同じく、正しい道筋に従って繰り返し反復することで、その力を増大させることができると考えられます。では、その道筋とはどのようなものなのでしょうか。日常の中で人間力を高める方法を見てみましょう。

自分を知る

自分を知り、省みる

まずは自分を正しく知ることから始めましょう。多くの人は自分の好きな食べ物や健康状態については理解しているでしょうか。しかし、自分がふだんどんな考え方で物を見たり、大小の選択や判断をしているのかについては関心が薄く、意識もしていません。お金や時間を大切に使いたいと思う人は多い一方、その使い方を左右しているのは自分の価値観であることに気がついている人は少ないものです。まずは日常の中に、自分自身の思考や行動を、他人が上から見るようなイメージで客観的に観察する時間を持ちましょう。「自分はどんな人間になりたいのか」「そのありたい姿に対して足りていないものは何か」などについて振り返り、自分と対話しながら掘り下げていきます。その習慣が、自己制御力を高めます。
自分を観察する時間をいつ、どう持つか、その方法は一つではありません。ただし、長く続け、習慣化するには①決まった時間や場所に来たら必ずやると決める、②自分一人でできる方法にする、ことを意識しましょう。

相手を配慮し、喜ばせる

人間関係をよくする基本は、自分がされたらイヤなことは人にもしないこと、自分がされて嬉しいことは人にも施すこと、この2つです。自分が「よかれ」と思ってやっている行動が、本当に相手の喜びにつながっているのか。「何をするか」という行動面だけでなく、「なぜするのか」という自身の動機や目的それ自体が、自分本位ではなく、相手本位になっているかを確認する習慣をもちましょう。たとえば、いかによい行動でも、承認欲求という見返り欲しさがみえみえな行動は、相手に喜ばれるどころか、むしろ敬遠されかねません。
一方、相手を配慮し優先するあまり、自分の健康を壊したり、家族との関係が崩れるほどの「無理」はバランスを欠き、長続きがしません。自分も他者も「自他」ともに生きることを目的に、その場に適した方法を選び、行動する習慣が、他人関係力を高めます。

社会の求めに応える

視野を広げるには、自分の半径数十センチの範囲だけでなく、自分以外の人や社会の状況や問題に、誠実な関心を寄せることが出発点です。何事も便利で効率的な現代では、何事も自分の力だけで仕事や生活が完結できそうに錯覚しがちですが、実際は、水や電気、道路などのインフラや安全や衛生、医療なども含め、当たり前の日常を支え合う「誰か」のおかげなくして、この社会は機能しません。「社会が自分に何をしてくれるか」を問うと同時に、それ以上に「自分が社会に何ができるか」を考えるようにすると、視野が広がります。
社会的にインパクトのある物事を成し遂げた人には共通して、世の中の負の側面を解消したい、その役割に自分が応えたいという思いの熱量があります。自分に求められる役割は何か。応えるにはどうしたらいいか。その行動習慣が、発想と創造の源となり、自身の専門性を高めることにつながります。

まとめ

「人間力」は、内面的な能力のため、努力の成果を定量的に測定したり、確認することが難しい一面があります。また、今日やったら明日すぐ高まる、というものでもありません。コツコツとボトムアップでひたすら積み上げていることに集中していると、「ある日突然、効果を実感する時がある」と経験者は語ります。人間関係の変化がわかりやすい一例でしょう。
人間力を確実に高めるコツは、何が獲得できたかという結果ばかりに注目せず、よい習慣を日々コツコツと積み上げる、その行為自体に集中することです。人間力を積み上げるプロセス自体を楽しんで、取り組みましょう。

この記事の監修者

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