『日本の祝日と歳事の由来』より【スタッフエピソード】
行事をもっと楽しむための“ちょっとした豆知識”を、スタッフエピソードをまじえてお届けします。
店長:とみた
冬至
毎年この時期になると、柚子の香りが恋しくなりますね。一年で最も夜が長く、昼が短い「冬至」です。
昔の人は、この日にかぼちゃを食べて栄養をつけ、柚子湯に入って邪気を払う習慣を大切にしたのだとか。
子供の頃、寒い夜に湯船に浮かべた柚子の爽やかな香りを吸い込むと、不思議と心が落ち着いたのを思い出します。母は折々の歳時を意識し、丁寧に暮らすことを心掛けていた人でした。
この柚子湯の習慣には、「一陽来復」という願いが込められていることを知ったのは、大人になってから。冬が終わりを告げ、再び陽の光(良いこと)が戻ってくるという吉兆です。
夜が最も長いということは、もうこれ以上は闇(困難や焦り)が深ま
らないということですね。
つい忙しさに流されがちですが、この日こそ立ち止まり、温かな湯船の中で自分自身を労い、内なる静けさを感じる「心の余白」を作りたい。そんなふうに感じます。
冬至を境に、自然の力が回復に向かうように、私たちも心をリセットし、
再び訪れる光と活力を待つ準備を始めてみませんか。
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副店長:ほしの
除夜の鐘
子供の頃の年末は、餅つきから大掃除、家業の配達の手伝いなど家族総出で大忙しでした。大晦日夕方になるとようやく落ち着き、年が改まる前に地域のお宮にお参りに行くのが定番でした。
除夜の鐘をつくようになったのは高校以降。友人の家がお寺さんだった関係で、「鐘つかない?」と誘われたのがきっかけです。「百八の煩悩を払う」という言葉は耳にしたことはあっても、訳も分からずついていたのが実状でした。とはいえ、頭の左から右へとゴーンと響く鐘の音は、今もしっかり記憶に刻まれています。このイベントは社会人になってからも帰省のたびにやらせてもらい、旧交を温めるよい時間にもなりました。
結婚後は、子供を連れて近くのお寺へ。冷たい空気の中で鐘をついていると、自然と心も改まっていくようです。そして、あの記憶の中の鐘の振動も確かによみがえってきます。子供の成長と共に皆が揃うのは難しくなりましたが、除夜の鐘は家族で過ごせる大切なイベントの一つ。最近は、お坊さんの高齢化や近隣からの苦情でやめるところもあるとか。各々に言い分はあるでしょうが、続いてほしい行事です。
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