前回は、「言葉のリフレーミング」という
心のストレッチをご紹介しました。
今回は、心のストレッチを
「疲れず」「心地よく」続けるために大切な
「心の土台」について、考えてみましょう!
誰かのために行動したとき、
心にこんなモヤモヤが残ったことはありませんか?
「あんなに頑張って手伝ったのに、感謝の言葉もなかった」
「良かれと思ってやったのに、相手の反応が薄かった」
「いつも自分ばかりが損をしている気がする…」
真面目で頑張り屋な人ほど、
周りを思いやり、一生懸命に行動します。
それはほんとうに素晴らしいことですが、
行動したあとに「疲れ」や「不満」が残っていたとしたら……
それは心の期待値と「現実」とのギャップから生まれているサインかも。
私たちは、常に「正しい行動」をとろうと意識します。
しかし、行動そのものよりも重要なのは、
その根っこにある「動機」です。
なぜなら、動機こそが、あなたの行動が相手にどう伝わるか、
そしてあなた自身が満たされるかを決定づけるからです。
つまり、「何をするか」以上に、
「どのような気持ちで、それをしたか」が重要なんです。
例えば、目の前の人を「手伝う」という行動でも、
動機が違えば、結果は大きく変わります。
【動機A】「見返りを求める」動機
「ありがとう」と言われたい
「優しい人だ」と評価されたい
「助けたのだから、今度は助けてほしい」
手伝うという行動そのものは優しさに見えますが、
これは心理学でいう「外的動機づけ」に近い状態。
脳は「感謝」や「評価」という「報酬」を期待しています。
もし、期待した報酬(感謝の言葉など)が得られないと、
脳は「不足感」を感じ、ストレスホルモン(コルチゾールなど)が
分泌されやすくなります。
これが「疲れ」や「モヤモヤ」の正体!
行動の効果も半減し、相手にもその「期待」が伝わって
かえって気を遣わせてしまうこともあります。
【動機B】「純粋な思い」からの動機
相手に(見返りなく)助かってほしい
ただ、自分がそうしたいからする
これは「内的動機づけ」に近い状態です。
「~されたい」という期待によるものではありません。
このような純粋な利他行動は、
脳内で「オキシトシン」(愛情・信頼ホルモン)や
「セロトニン」(幸福ホルモン)の分泌を促すことが知られています。
手伝う=相手は困りごとが解決して助かる。
これはもちろんそうなのですが、
驚くべきことに、この時、最も強い幸福感を得ているのは、
行動した人自身といわれます(温情効果=Warm Glow と呼ばれます)。
疲れが残るどころか、心温まる気持ちになるというのです。
さらに、世界で活躍する人ほど、
動機を整える習慣を大切にしています。
メジャーリーガーの大谷翔平選手もその一人。
高校時代、目標達成シート(マンダラチャート)に
「運」を引き寄せる行動として「ゴミ拾い」を
書き込んでいたことは有名です。
実際に大谷選手はグラウンドで
小さなゴミを拾うことがあります。
それがもし「良い人だと思われたい」
「監督やファンから評価されたい」という
【外からの報酬を得るための動機】だとしたらどうでしょうか?
きっと、誰かが見ている時だけ拾ったり、
評価されなければ「やっても無駄だ」と
やめてしまうかもしれません。
しかし、誰が見ていなくても、
メジャーリーグという 最高の舞台に立った今でも、
変わらずにゴミを拾います。
それは、大谷選手の動機が
「自分が決めたことを、当たり前にやる」
「(誰かの評価ではなく)自分自身の心を整えるためにやる」 という
【自分の内側から湧き出すような動機】に基づいているからこそでしょう。
つまり、「良い人に見られたい」ではなく、
「自分がそうありたいから」そうしているのです。
この心の方向性こそが、行動の質を決めるといえます。
こうした動機は、脳に安心と幸福のホルモンを分泌し、
行動した本人を満たしていきます。
私たちが普段、グラウンドでゴミを拾うことはないかもしれません。
でも、日常の中で
「誰も見ていないところで丁寧に行動する」ことはできます。
「~されたい」ではなく、「自分がそうしたい」。
この心で日常の小さな選択を続けてみましょう。
それが、私たちの心の筋力を鍛えていきます。
まずは、あなたのその優しさが、あなた自身をまず満たしますように。
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