「感謝って単なる礼儀作法ですよね。
接客マニュアルの決まり文句的なものというか」
以前、ワークショップの会場で出会った方が
こんなふうに話されていました。
わざわざ日常の中で意識したり、
習慣化する意味がわからないという、
率直な思いを持たれていたようです。
つい共感しながら聞いてしまいました。
以前の私も同じように考えていたからです。
空のゴミ箱に目からウロコ
編集者として駆け出しの頃です。
昨日の退勤時は満杯だった私のゴミ箱が翌朝、
職場に来るときれいに空っぽになっていました。
最初はその行為の意味がうまく呑み込めず、
「たまたま手が空いてる人がやってるんだな」と
気にも留めていませんでした。
気持ちの変化があったのは数か月後。
取材がうまくいかず、先輩に原稿直しを命じられ、
締切は迫る‥‥。心に余裕がなくなり、職場に来るのが
しんどくなった朝がありました。
身体を引きずるようにして出勤し、
きれいなゴミ箱を目にした時、こんな思いが湧きました。
「これって、もしかしたら誰かが私を助けようとして、
時間を使ってやってくれているのかも」
そう考えたら、ポジティブな気持ちになれたのを
今でも覚えています。
この時、私が体験したことは
他者の行動に意味や価値を見いだし、自分なりの
物語をつくるという行為だと後で学びました。
感謝は何に効くのか?
当たり前に存在するものや用意された環境に対し
「これは自分にとってどんな意味があるんだろう」
「なぜ、私に用意してくれたんだろう」
とその背景にある物語を想像し、意味づけをすると
自然と感謝の思いがわいてきます。
この感謝の気持ちは、私たちの脳にも良い影響を
与えることが科学的に示されています。
感謝の感情は、セロトニンやドーパミンといった
幸福感に関わる神経伝達物質の分泌を促し、
ポジティブな思考を生み出しやすくするといわれます。
感謝は形だけの礼儀作法ではなく、
日々の小さな出来事の中に「価値」を見出し、
困難な経験の中に「意味」を見出すための、
心の筋トレのようなものなのです。
意識して感謝することで、私たちの感性は磨かれ、
どんな状況でも「自分なりの物語」を
紡ぎ出せるようになる。
そう考えると、自己成長の可能性を感じませんか。
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