モラロジー道徳教育財団 編
B5判 39頁
ISBNコード:978-4-89639-294-4
まえがき
今日、AI(人工知能)など情報通信技術の急速な進歩により、私たちの生活様式や社会の仕組みが大きく様変わりしようとしています。働くこと、生きることの意味が改めて問い直される中で、生きがいと喜びに満ちた人生を歩んでいくために必要なものとは何でしょうか。
また、前例のない少子高齢化、人口減少社会の進展に伴うさまざまな課題を乗り越え、誰もが安心できる、平和で秩序ある社会を築いていくには、何が必要でしょうか。
本書は、法学博士・廣池千九郎(1866-1938)が創建した道徳に関する新しい学問「モラロジー」の考えに基づき、一人ひとりの幸せと平和な社会を実現するには「道徳」が必要であるとの立場から、より良い人生と社会を築いていくための心づかいの指針を提示しようとするものです。
人生100年時代を自分らしく幸せに生きるためには、生涯にわたって学び、新たな自分を見つけ、人間的に成長し続ける生き方が求められます。すべての人に与えられた人生というかけがえのない時間を、何のために、どう使い、生涯を通じて何を志していくのか。正解のない人生を歩むための道筋を示すものが「道徳」です。
モラロジーを初めて学習するためのテキストとして編集された本書を通じて、個人的な悩みと向き合う際の心の指針や、社会の課題を解決する上での指針を得ていただき、喜びの多い人生と心豊かな社会の建設にお役立ていただけることを念願しています。
令和6年4月1日
公益財団法人モラロジー道徳教育財団
目次
第1章 道徳と心づかい
【1】道徳が果たす役割
【2】意識されない日常の道徳
① 習慣化に伴う形式化と配慮不足
② 利己心とその影響
【3】心の力を生かし、道徳性を高める
第2章 思いやりから慈悲の心へ
【1】相手を思いやる心
【2】思いやりの実践に関する二つのポイント
① 相手との関係
② 行動にかかる負担
【3】良いことをしたはずなのに
① 承認や返礼を求める
② 非協力的な人物への批判
【4】慈悲の心づかいに向かって
① 共感する心、受容する心
② 過失や欠点を許し、共に成長をめざす心
③ 相手の成長や幸福を願う心
第3章 感謝の心で親心を培う
【1】「ありがとう」の力
【2】感謝と気づき
①「恵まれていること」への気づき
②「自分以外の力の存在」への気づき
【3】親や祖先の恩を知る
【4】親心を培う── 父母の心をもって人類を愛す
第4章 恩に報いる心で明日へ向かう
【1】自他を愛し、本分を尽くす
【2】大恩に気づき、社会に奉仕する
【3】自分の生き方を変えていく
① 気配りや配慮をする範囲を広げる
② 自分を省みる習慣をつくる
③ 皆がポジティブになれるようにはたらきかける
【4】断えず向上して終身努力す
── 明日に向かって前向きに