
国の行く末を左右する局面で、常に天皇は国民の進むべき方向を示された
茂木貞純・佐藤健二 著
四六判・並製 296頁
天皇のお言葉は、かつては「みことのり」「詔勅(しょうちょく)」「勅語」などと呼ばれていました。
今は「おことば」となっています。
正式に発せられた「お言葉」は、日本の2600年余りの歴史の中で、数えられるものだけでも4万5000もあると言われます。
本書は、今上陛下の即位に際しての「おことば」を出発点として、江戸中期の第116代 桃園天皇までの250年間を、天皇のお言葉とともに時代を遡りながらたどったユニークな本です。
◆いつの時代もわが国の危機の打開の中心にいらした天皇
この250年間には、黒船の来航、関東大震災、維新期の動乱、近代国家体制の確立、敗戦・占領・食糧難と、大きな節目や危機が幾度もありました。歴代天皇は、その重要な節目に必ず「お言葉」を発せられ、国民の幸せを願い、祈られてきたことが分かります。
「天皇の人間宣言」を強要したGHQの意図を昭和天皇は自らくつがえし、新しい日本を共に建設していこうと国民に呼びかけられた。
平和を願いながらも大東亜戦争を開戦せざるを得なかった内外の事情を詳しく述べた。
黒船来航という未曾有の国難を若き孝明天皇がどう考え、行動したのか、幕末十年の動向を御自らつぶさに語られた。
中でも、黒船来航時の孝明天皇は、ドラマなどでは歴史に翻弄された気弱な天皇として描かれることが多いのですが、激動の10年を振り返って述べられた「お言葉」には、国内外の情勢を独自に幅広く情報収集され、国民を守っていく決意と、この国の取るべき道をさぐり、自身がその道を切り開いていくとの気概がひしひしと伝わってきます。
◆本書『時代を動かした天皇の言葉』は、難解な「みことのり」を現代人にも分かりやすく味わえるものにした画期的な書です
126代の天皇をいただくわが国には、4万5000以上もの「みことのり」が残されています。しかし、その多くが漢文や宣命体といった難しい言葉であるため、全文が一般書という形で普及することはなかなかありませんでした。本書は、長年にわたり詔勅を研究してこられた國學院大學の茂木貞純先生と、素行會代表の佐藤健二先生によって、「みことのり」の格調高い響きを残しつつ、読み下し文に語釈、時代背景や現代語訳と解説を加え、現代人にも味わえるものになりました。さらに、「みことのり」の中の重要なフレーズを冒頭ページにかかげ、左下には全体の趣意をまとめて入れるなど、編集上の工夫を施しています。
\おすすめポイント/
◆本書『時代を動かした天皇の言葉』は、現代から江戸中期の桃園天皇まで、時代をさかのぼるかたちで20の「みことのり」を収録
【主な内容】
-
まえがき
- 象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば
- 東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のおことば
- 食糧難克服に関する御言葉
- 年頭、国運振興の詔書
- 大東亜戦争終結の詔書
- 米国及び英国に対する宣戦の詔書
- 御践祚後朝見(ごせんそごちょうけん)の御儀に於て下されし勅語
- (摂政御名)国民精神作興に関する詔書
- 戊申詔書
- 教育に関する勅語
- 大日本帝国憲法発布の上諭
- 国会開設の勅諭
- 廃藩置県の詔
- 五箇條の御誓文
- 國威宣布(こくいせんぷ)の宸翰(しんかん)
- 時局を御軫念御述懐(ごしんねんごじゅつかい)の勅書
- 征夷大将軍徳川家斉を太政大臣に任じ給ふの詔
- 賀茂・石清水両社臨時祭の御再興に関する宸翰御趣意書
- 譲位の宣命
- 垂加流神道に関して近衛内前に質し給へる御沙汰書
上皇陛下
昭和天皇
大正天皇
明治天皇
孝明天皇
仁孝天皇
光格天皇
後桜町天皇
桃園天皇
※三大神勅(宝祚天壌無窮の神勅/宝鏡同床共殿の神勅/斎庭の穂の神勅)も収録
◆「天皇の言葉」にふさわしい本づくりをめざして……
情報がぎっしり詰まった帯から、作り手の熱い想いが感じられるようです。デザインや装丁の色、そして紙質も凝って作られている一冊!
そのあたりも、どうぞお楽しみください。
著者略歴
昭和55年國學院大學大学院博士課程神道学専攻修了。神社本庁教学研究室長、総務部長等を経て、國學院大學神道文化学部教授、古宮神社宮司。著書に『神道の祭りの伝統』『日本の暮しと神社』(神社新報社)、『日本語と神道』(講談社)等。
昭和52年國學院大學大学院神道学博士課程修了。駒場東邦中学高等学校国語科教諭、平成23年教頭で退職。東京都教師会会長、新教育者連盟講師等。著書に『民族と文化の発見』(共著・大明堂)『家庭教育の再生』(共著・学事出版)、『日本人を育てた物語』(編著・錦正社)等。
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明治天皇は、近代化に伴う日本の混迷を憂慮し、「教育勅語」という指針を示された。‟人として踏み行うべき道”を求め、実践に努められる皇室のお姿を描き出す。