思いがけない謝恩会 ~学校のちょっといい話~

 私がC中学校で三年を受け持った時のことです。
 卒業間近になったある日、「三年生を送る会」が終わり、三年教員が職員室にもどると、学年委員長と生徒会長、各学級委員が一緒に職員室に入ってきました。そして、私たちに向かって、「今日は、どうもありがとうございました。今から体育館にいらしてください。僕たちは、先生方にお礼を言いたいのです。」と口をそろえて私たちを呼びに来ました。
体育館に行ってみると、三年全員がステージに立っていました。
 体育館の中央には椅子が準備され、先生方が席に座ると、委員長が、「三年間、先生方にいろいろとご指導していただき本当に有難うございました。お陰でここまで私たちは成長することができました。」と言った後、学級委員が次々と、「学年主任で一組担任A先生、二組担任K先生、三組・・・、六組担任S先生、副担任N先生、有難うございました。」と一人ひとりの先生方に感謝の言葉がかけられました。その時、どの先生も受け持ってきた三年間、いろいろと生徒指導や部活指導などで携わって指導してきたことを思い出し、涙ぐんでいました。私も目頭が熱くなりました。最後に、三年生を送る会で練習してきた「河口」をSさんの指揮で全体合唱をしてくれました。どの生徒も精一杯大きく口をあけ、目に涙を浮かべながら歌っていました。

 二十年前にもなりますが、今でもこの光景を思い出します。私たち教員が知らないうちに、生徒たちが計画して、シナリオも自分たちで考え、流れもつくったとのことでした。素晴らしい謝恩会でした。この会は、生徒指導などでいろいろと多くの苦労してきたことを忘れさせてくれました。今思うと、この学年は、自分たちで自主的に行事を計画し取り組んできた生徒で、前向きなリーダーが多く、学年の問題があるとリーダーが集まり、寄り添って取り組み、学年がまとまっていたことを思い出します。
 数年後、同窓会をしました。学年の先生方を招待し、それぞれ自分たちの現況を話してくれました。その時、「先生、もう俺たちは、悪いことはしていないからね、安心してください。」と一番迷惑をかけていたK君が言いました。その言葉を聞いて、更にうれしくなりました。

(『学校のちょっといい話』より)