最後の歌、最高の歌 ~がんばる先生奮闘記~

 修学旅行・持久走大会・音楽発表会などたくさんの行事があった小学6年生の2学期。
 学校行事は、子どもたちが成長するために大切なものの一つであると私は思っています。そのため、子ども一人ひとりにその都度メッセージカードを送っています。
 持久走大会。「嫌だ~!」「やりたくない!」の連発だった子どもたち。私の手紙をお守りとしてズボンのポケットに入れている子、直前まで握りしめている子、緊張で声を一切発さずアイコンタクトの子・・・、様々な姿が見られました。それでも、全員参加し、全員が完走。自己目標全員達成の快挙を成し遂げました。見事でした。
 どの行事にも「最後の」がつきますが、全校で行う最後の行事は、学年ごとの音楽発表会でした。
 響きはとてもきれいですが声量が小さく、何と言っても心が一つになれない我が学年にとって、成長できるチャンスの行事でした。予想通り、練習は大苦戦。子どもたちに何が良くて何が悪いのか意見を聞いても、ほとんどの子たちが技術面の事ばかり言っていました。クラスの子たちは、気付いている人がたくさんいました。教室では色々言っていますが、学年の前になると、全く話せなくなる(これが我がクラスの現在の課題)。クラスで、学年で、子どもたちだけで話し合う時間を何度もとりました。
 音楽発表会前日。本番に参加できない子がいたために、この練習がその子にとっても、我がクラスにとってもクラス全員がそろった最後の音楽発表会でした。しかし、やはり一つになれませんでした。
 反省会でも分かっている子たちも何も言わず、ただただ時間だけが過ぎていきました。黙っていた私たち教師が口火を切りました。
「勇気がなくて話せない。みんなの前で話すことが怖い。」などが大半の理由でした。もうそんなことを言っている場合ではない状態に自分の指導力不足を痛感し、悔し涙を流してしまいました。それをきっかけに子どもたちが動き始めました。自分たちで行動し、自分たちで思いをもって歌った当日日の最後の歌、これこそが最高の歌でした。
 12月に入り欠席する子が多く、クラス全員揃うことがありませんでした。2学期も残りあと1日となった日。3人の子たちから「クラスの人数分の紙をください。」と突然申し出がありました。何かと思ったら、「全員揃って終わりたいからみんなでメッセージを書く!」というのです。そう考えてくれていただけでも胸が熱くなりました。3人がクラスで説明をしましたが、みんなは「当然!」という顔をし、どんどんメッセージを書き、あっという間に大きな紙に張り、絵や色を付け仕上げました。みんなの温かい心に嬉し涙が頬を伝わりました。クラスのみんなの力によって、全員揃って2学期を終えることができました。
 自分たちが思っていることや気持ちを少しずつ出せるようになってきた子どもたちに感謝。残りあと三か月しかないと思うと短いですが、一日一日を大切にしていきたいと切に思いました。

(『がんばる先生奮闘記』より)