泣き虫Kちゃん~学校のちょっといい話~

Kちゃんは、泣き虫です。体験入学で訳もなく泣き出して以来、有名になりました。入学後も、遊んでいる最中でも学習中でもよく泣きました。誉められても涙をこぼすKちゃんに周りはお手上げでした。そんなKちゃんだから、学芸会は大変です。二十人足らずの学級では、みんなが主役、出番が多くあります。Kちゃんは台詞の少ない役でしたが、案の定、舞台で固まってしまいました。
そして、二年生。学校生活にも慣れ、泣く回数も随分減りました。十一月の学芸会も十分に練習を積み、本人も意欲満々で当日を迎えました。しかし、やはり、Kちゃんは泣いてしまいました。一抹の不安が的中しました。暗い気持ちのまま終えたとき、お母さんたちの会話が耳に入りました。「Kちゃんも立派になったね。途中で泣き止んで、最後まで舞台の上にいたものね。」「保育園の時と大違いね。」
劇の流れを止めてしまったKちゃんを非難するどころか、その成長を認める言葉でした。

(『学校のちょっといい話』より)