奇跡が奇跡を呼ぶ~学校のちょっといい話~

それは突然の電話から始まりました。
「先生、お久しぶりです。私のことを覚えていますか?
先生に会いたいのですが、いつならばお時間を取っていただけますか」
その声は中学校の部活動で鍛えたことのあるM子からでした。

約束の日になって、M子はI子とともにやってきました。
「あなたはI子さんですよね。初任のときにK市の小学校で教えた子と教員七年目でM市の中学校の部活動で教えたM子さんがどうして一緒に……」
二人を見て一瞬戸惑った私を見て、二人は笑顔でいきさつを話してくれました。
「私は保育園の保育士をやっています。I子は幼稚園の教員をやっています。幼児研究所の研修でたまたま隣同士になり、昔話に花が咲いたのです。そのとき、『会いたい先生っている?』という話になったのです。どちらからともなく『いる』との返事になり、『どんな先生だった?』という話になりました。I子は『そそっかしくて失敗が多いけれど明るくて優しい先生。よく遊んでくれた先生』のことを話してくれました」
とM子。そのあとをI子が引き取って話しました。
「M子さんは『私たちと一緒に練習してくれる活動的で明るく優しい先生』と話すので、その先生のイニシャルを聞くと二人とも『Kがつく先生』ということになったんです。二人とも同じだったので紹介しあったら名前まで同じだったんです」
「そこでまた話が盛り上がって、『機会があったら、また先生に会いたいね』ということになったのです。そのときはそのまま別れたのですが、たまたま通った校門の前で先生が交通安全の旗振りをしているのを発見しました。そこで、先生がこの学校に勤務していることが分かったんです」
とM子。その話を聞いて驚きました。不思議な二人の出会いと偶然の出会いが重なって、こうして三十年も前に教えた子が会いに来てくれました。何の取柄もない教師だと思っていたので跳び上がるほどうれしい話でした。その日は、一日中ルンルン気分でした。

(『学校のちょっといい話』より)